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シームレスに連携するクラウドとエッジとは

シームレスに連携するクラウドとエッジとは

2018年12月14日更新

Special Feature 2
Cloud × Edge = NEW Business
クラウドとエッジの融合で生まれる新ビジネス

IoT環境を実現するために不可欠となるのが、センサー(エッジ)とクラウドだ。従来はエッジで取得したデータをクラウドに上げ、クラウド上で解析するような活用が一般的だった。しかし、クラウドにデータを上げる回線負荷や通信によって生まれるラグなどから、エッジでの処理に注目が集まっている。今回はマイクロソフトが提唱する“インテリジェントクラウド”“インテリジェントエッジ”をキーワードに、ハニカムのようにシームレスにつながり、広がっていくIoTビジネスの潮流を探る。

INTELLIGENT CLOUD EDGE

IoT構築の課題を解消する一貫したツール群

“インテリジェントクラウド”“インテリジェントエッジ”言葉は聞いたことがあるものの、それらが何を示すのか、今ひとつ理解できていない人も多いのではないだろうか。今回は日本マイクロソフトの技術カンファレンスから、インテリジェントエッジを中心にその概念とメリットを解説する。

Azureプラットフォームが提供する一貫性

 あらゆるモノとコトがつながると言われるIoTの世界。実際、さまざまな現場でIoTの技術が活用されているが、センサー(エッジ)データの処理といった課題も生まれている。例えばエッジで生まれたデータを全てクラウドにアップロードして処理し、分析や認識を行ってエッジ側に返してアクションを起こすような仕組みで運用していると、アクションを起こすまでに時間を要してしまい、リアルタイム性が薄れてしまう。また全てのデータをクラウドに送る通信負荷もかかる。そうした課題を解決するのが、エッジ側でデータを処理し、必要なデータだけをクラウドに送るという仕組みだ。しかしこの解決策においても、クラウドとエッジに同一のプラットフォームを採用しなければ一貫性のある管理ができないというボトルネックが生じる。

 そこでマイクロソフトは、“インテリジェントクラウド”“インテリジェントエッジ”という概念を提唱している。11月5日から7日までザ・プリンス パークタワー東京で開催された日本マイクロソフトの技術カンファレンス「Microsoft Tech Summit 2018」において、「マイクロソフトのインテリジェント エッジ テクノロジ~Azure Stack から、Azure Data Box Edge、Azure Sphereまで~」と題してこれらの概念にまつわる講演が行われた。

 登壇した日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー ソリューション プロフェッショナル 福原 毅氏は、「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジという概念のインテリジェントエッジにあたるのが、『Azure IoT Edge』テクノロジーです。当社ではクラウドからエッジまで、一貫したツール群を提供しており、一貫性のあるセキュリティ、ID認証、管理とAIおよびパートナーソリューションを提供しています」と語った。このクラウドからエッジまでをカバーするインテリジェントで一貫性のあるプラットフォームを、同社ではインテリジェントクラウド、インテリジェントエッジと定義している。

 同社が提供しているAzureプラットフォームは、Azure IoT Edgeと「Azure Service」の二つに分けられる。Azure Service側には「Microsoft Azure」と「Azure Stack」、Azure IoT Edge側には「Azure Data Box Edge」や「Azure Sphere」などが分類されている。

日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー ソリューション プロフェッショナル 福原 毅 氏

AzureはMSの新たな抽象化レイヤー

「Azureは当社が提供するパブリッククラウドであり、そのAzureの機能をオフラインでも使える環境がAzure Stackです。Azure Stackがあることで、法規制や業界の規定などでパブリッククラウドが使えない場所でも、コンテナやPaaSを利用できます」と福原氏。クラウドにアップロードするとトラフィックや回線費用に負担がかかるようなデータの処理や、福原氏が指摘したような業界の規定などでクラウドにデータを保管できないユーザー企業がIoT環境を構築する上でAzure Stackはニーズがある。また、AzureとAzure Stackはマイクロソフトが提供する新しい抽象化レイヤーであり、さまざまなOSやアプリケーションやサービスをこの上で動作・流通させるために提供している。

 IoT環境を構築する場合は、前述したAzureのようなクラウドとエッジが双方向にデータをやりとりできるようにする必要がある。マイクロソフトでは、クラウドとエッジをつなぐ役割を果たすツールとして、Azure IoT Hubを提供している。Azure IoT Hubはデバイス管理のための新しいプラットフォームだ。IoTデバイスにデバイスIDを付与すれば、エッジとクラウドとの双方向の通信を実現できる。双方向の通信を可能にするためには、デバイス側にモジュールが必要となるが、オープンソースで提供しているため、デバイスを選ばず接続が可能だ。つまり、システム開発を計画して、プロビジョニングし、構成を管理して、IDで管理しているデバイスになにかあったら認識しないように設定するような、ライフサイクルの全てをサポートできるのがAzure IoT Hubなのだ。

 Azure IoT Edgeは、洞察やアクションをIoTデバイス側に送り込む役割を果たしている。Azureには、マシンラーニングやコグニティブサービスなど、さまざまなPaaSモジュールが用意されている。Azure IoT Edgeに展開するには、Azureの管理画面側でそのロジックを作り、Dockerコンテナ化して、一時的にコンテナレジストリにアップロードする。次にIoT Hubからデプロイメントマニフェストと呼ばれる指示書をデバイス側に送信すると、デバイスはコンテナレジストリから必要なコンポーネントを取得して実行してくれるため手間がないのだ。Azure側で作ったコンポーネントをそのまま、さまざまなプラットフォームで動かせる点もメリットだ。

IoTのセキュリティをサポートするAzure Sphere

 エッジ側のデバイスとして、マイクロソフトは新たにストレージゲートウェイであるAzure Data Box Edgeや、IoT環境にセキュリティを提供するAzure Sphereなどをリリースしている。Azure Sphereについて、日本マイクロソフト コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部 IoTデバイス本部 テクノロジーソリューションプロフェッショナル 平井健裕氏は次のように語る。

「Azure IoT Edgeは、IoTデバイスに対してコンポーネントを送り込める製品だと紹介しました。しかしそのコンポーネントは企業にとっては知的財産の一つであり、万が一盗んで使われないようにハードウェアレベルで監視できる基盤が必要になります。その基盤がAzure Sphereです」

 このAzure Sphereに注目しているのがIoTデバイスを開発するメーカーだ。例えば冷蔵庫やテレビなど、IoTのエッジデバイスとして提供されている製品は多くあるが、これらは購入されたあとのファームウェアアップデートはユーザーに任されており、気づかないうちにセキュリティホールが発生している可能性があった。そうしたセキュリティホールを発生させないように、Azure Sphereは10年間更新プログラムを適用し続けたり、機能などを送り込んだりするようなサービスを提供できる。すでにAzure Sphere Development Kitの提供もスタートしており、検証が可能だ。

 マイクロソフトがAzureプラットフォームによって、一貫性のある環境を提供することで実現できるのは、PCの管理と同じようなライフサイクルサポートだ。福原氏は「IoTになじみのないインフラエンジニアは、自分とは違う世界の技術と考えがちです。しかし、今回紹介したように基本的にはPCの管理と同じようにIoTの管理ができるようになっており、エッジデバイスとクラウドの接続もシームレスかつ簡単に行える仕組みが整っています。デバイスとクラウドの接続、管理、データの取得までは、自社だけでも簡単にできると思いますので、今回の講演をきっかけに踏み込んでほしいですね」と語った。

日本マイクロソフト コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部 IoTデバイス本部 テクノロジーソリューション プロフェッショナル 平井健裕 氏

Azure Sphereのデモとして洗濯機のモニタリングを行った平井氏。

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