
意外と多いクラウドのNAS利用ニーズ
ハイブリッドクラウド環境の課題を解決する
プラットフォームごとに展開されたONTAP OS
クラウドとオンプレミスを使い分けるハイブリッドクラウドのニーズが高まっている。しかし、ハイブリッドクラウド環境の運用を進めていく上で課題となるのが、データ連携と管理だ。今回は「データファブリック」の戦略を打ち出すネットアップが、ハイブリッドクラウド運用に最適なツールを解説する。
Lesson1 データ連携と管理がハイブリッドクラウドの課題
オンプレミスとクラウドを組み合わせて活用するハイブリッドクラウドに、昨今注目が集まっている。また、複数のクラウドを組み合わせるマルチクラウド環境を構築しているユーザーも増加傾向にある。そうした環境で課題となるのは、混在するプラットフォームにおけるデータ連携と管理だ。
ストレージベンダーとして広く知られているネットアップは現在、「データファブリック」を同社の戦略の柱に据え、そのコンセプトに基づいた製品展開を進めている。ネットアップ アライアンス営業推進本部 パートナー営業推進部 チャネルセールスマネージャー 得能北斗氏は、同社のデータファブリックについて、次のように説明する。
「データファブリックとは、データを縦横無尽にどこでも使えるようにしましょうという考え方です。当社はもともとストレージベンダーの印象が強かったと思いますが、現在はデータマネジメントカンパニーとして、データを統合管理していくためのソリューションを展開しています。例えば、当社では以前からストレージOS『NetApp ONTAP』(以下、ONTAP)をストレージにインストールして提供してきました。現在このONTAPは、クラウド上や仮想化基盤上に展開できるように進化しており、シームレスなデータ連携や管理を実現できるストレージOSとして利用されています」
複数のインフラ基盤上でONTAPを利用することで、オンプレミスでもクラウドでも均一な可用性や柔軟性、管理性を実現できる。同社では前述したデータの統合管理ソリューションの一つとして、クラウド向けのストレージOS「Cloud Volumes ONTAP」(旧名称:ONTAP Cloud)を提供しており、特にハイブリッドクラウド環境におけるシームレスなデータ連携の実現に寄与している。
Lesson2 オンプレミスとクラウド間で同一のOSを使用
Cloud Volumes ONTAPについて、同社のアライアンス営業推進本部 パートナーSE部 担当部長 青柳博史氏は次のように語る。
「ONTAPは、もともと当社が販売するストレージにインストールされていたOSでしたが、昨今はデータファブリックの考え方に基づき『ONTAP Select』を提供しています。これは汎用サーバー上の仮想マシンでONTAPが動作するSoftware Defined Storageです。ONTAP Selectのクラウド版となるのがCloud Volumes ONTAPであり、AzureやAWS(Amazon Web Services)でONTAPを動かすことが可能です」
オンプレミス環境でもクラウド環境でもONTAPという同一のOSを利用することで、シームレスなデータ連携と管理を実現している。例えばデータ連携のポイントでは非同期型のミラーリングソリューションである「SnapMirror」を提供しており、オンプレミスとクラウド間のネットワーク帯域が細い状態でも差分でミラーリングデータを転送し、オンプレミスとクラウドで同一の環境を構築できる。
また、クラウド間の連携を行う上でもSnapMirrorは利便性が高い。例えば海外では、AWS上に構築した環境をAzure上にも構築したいニーズが多いという。そうしたクラウド間の同期においても、SnapMirrorでデータ連携するとスムーズだ。従来、クラウド間でデータを同期するとダウンストリームで課金が発生してしまうため、コスト面の課題があった。しかし、SnapMirrorを使えば差分データのやりとりしかないため、コストを抑えたデータ連携が可能になる。
Lesson3 意外と多いクラウドのストレージ利用ニーズ
ハイブリッドクラウド環境を運用する上で、統合的な管理は欠かせない。ONTAPではその課題にも対応できる。「OnCommand Cloud Manager」を利用すればWebブラウザーの管理コンソールを活用して、オンプレミスとクラウド上のONTAPを一元管理できるため、ハイブリッドクラウド環境を運用する際の課題となる管理の煩雑さも解消されるのだ。
ユーザー企業のユースケースとして、得能氏は「クラウドでNASを使いたいというニーズが多いです。従来クラウド上でファイルを共有する場合、Linuxのファイル共有の機能を使ったり、Windowsであれば共有ディレクトリを構築したりしていましたが、用途がファイル共有であればNASでよいのです。Cloud Volumes ONTAPであればAWSの中にスナップショットでNASの構築ができ、効率的に運用管理が可能です」と語る。
また、DR対策としてクラウドにオンプレミスと同一の環境を構築するニーズもある。SnapMirrorを活用すれば安価にDR環境が構築でき、かつ統合的に管理にできるからだ。
「ハイブリッドクラウド環境において、最近になって各社がクラウドとオンプレミスの連携を打ち出してきました。しかし、ネットアップはデータファブリック戦略を3年前から打ち出しており、他社と比較して大きなアドバンテージがあります。例えばクラウドとオンプレミスの環境は、バックアップソフトを使えば連携が可能になりますが、製品戦略として全てのプラットフォームのデータマネジメントができる製品をリリースしているのはネットアップくらいだと自負しています」と青柳氏は語る。
Lesson4 販売店のビジネス機会を拡大するONTAP OS
ネットアップが提供しているONTAPがインストールされたストレージ製品は、25年前から国内販売されている歴史の長い製品だ。インストールベースが多いOSであるからこそ、Cloud Volumes ONTAPの提案機会も多いと得能氏は指摘する。
「Cloud Volumes ONTAPによって、ビジネスメリットを得られる販売店は数多いと予想しています。例えば、既存の販売店の中でAzureやAWSなど、クラウドメインの製品提案を進めている販売店にとって、クラウドをNASとして利用できる本OSは提案の幅を広げられるツールになり得ます。また、これまでオンプレミスのNASを提案していた販売店は、今後ハードウェアビジネスが先細りしていく中で、クラウドビジネスのとっかかりとしてCloud Volumes ONTAPを商材としたビジネスをスタートするとよいでしょう」と得能氏。具体的には、オンプレミスのDR環境をクラウド上に構築するようなサービスを、ONTAPを活用することで提供できるようになる。
青柳氏は「当社では今年度からストレージ、コンバージドインフラ、クラウドデータビジネスという三つのビジネスユニットを編成しており、クラウドは注力ビジネスの一つです。今後もサービスを提供していく予定で、すでに『Cloud Volumes Service』というクラウド上で簡単にNASを作成できる製品を提供しています。こちらはまだSnapMirrorに対応していませんが、今後は使えるように機能強化を進めていきたいですね」とクラウドビジネスの強化方針を語った。
本日の講師
(左)ネットアップ アライアンス営業推進本部 パートナーSE部 担当部長 青柳博史 氏
(右)ネットアップ アライアンス営業推進本部 パートナー営業推進部 チャネルセールスマネージャー 得能北斗 氏
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