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ファブレスの強みを生かし業界に先駆けて7nmプロセスを製品化したAMD

ファブレスの強みを生かし業界に先駆けて7nmプロセスを製品化したAMD

2018年12月07日更新

市場をリードする7nmプロセス

INNOVATION2 AMD

AMDがサーバーやPC市場で存在感をアピールしている。業界における「ファーストランナー」にあるというAMDは、7nmプロセスのプロセッサーで、企業のIT投資の効率化を促す。

集積度は従来プロセスの2倍

 GPU市場でのRadeonシリーズへの評価なども背景に、サーバーやPC向けのプロセッサー市場で、存在感を示し始めているのがAMDだ。同社の強みについて日本AMD代表取締役 林田 裕氏は次のように断言する。「ファブレスで自社工場を持たない点が最も大きなポイントです。最新の技術をいち早く取り入れた生産体制が柔軟に構築できるからです。実際、7nmプロセスのプロセッサーを生産するために今回、製造工場をGLOBALFOUNDRIESからTSMCに変更しました。競合他社よりも一足先に7nmプロセスの量産化を実現しており、業界におけるファーストランナーのポジションを維持しています」

 同社によれば、7nmプロセスのプロセッサーは、集積度が従来プロセスの2倍になり、消費電力は半分、そして同じ電力あたりの性能は25%高まっているという。

 そもそも、新しいテクノロジーは、IT投資の効率化やより多くの利益享受を実現させると林田氏は言う。「限られた予算の中で効果的なIT投資を実現させるためには、既存のソリューションよりも高い処理性能や省電力性能などを実現する新しいテクノロジーを採用した製品を導入すべきでしょう。その点においてAMDは、最先端のプロセス技術で実現するプロセッサーの提供で、お客さまの効率的なIT投資を支援できるのです」

 AMDでは今後のロードマップとして、7nmプロセスの「Zen2」マイクロアーキテクチャを採用したサーバー向けCPU「Rome」の来年の出荷と、7nm+プロセスの「Zen3」マイクロアーキテクチャを採用するサーバー向けCPU「Milan」の開発を発表している。GPUにおいても、14nmプロセスを採用した現行の機械学習向け「Radeon Instinct MI25」の次世代モデルで、7nmプロセスが採用された「Radeon Instinct MI60」が第4四半期に出荷される見通しだ。

「いずれも順調に開発が進んでいます」と林田氏はアピールする。ファブレスの強みを生かした生産体制が、7nmプロセスというテクノロジーの製品化への道筋を強力に後押ししている。

(中央)日本AMD 林田 裕氏、(左)鷲島正三氏、(右)中村正澄氏

「AMDは最先端のプロセス技術で実現するプロセッサーの提供で、お客さまの効率的なIT投資を支援しています」

1ソケットを常識に

 実際にAMDのプロセッサーはどのような優位性を備えているのか。日本AMD データセンター・エンベデッド・ソリューション営業本部 ソリューション・アーキテクトの中村正澄氏は、現行世代のサーバー向けCPU「AMD EPYCプロセッサー」について、次のように紹介する。

「AMD EPYC 7000シリーズプロセッサーは、最大32コア(Zenコア:14nm)、PCIe Gen3のレーンが128、メモリーチャネルは8、トータルのメモリー量はソケットあたり2TBと、豊富なリソースが特長のCPUです。複数のダイを組み合わせたマルチチップモジュールが採用されているのもポイントです。小さなダイを組み合わせてサーバー向けのプロセッサーを製造できるため、新しいプロセスもいち早く取り入れることが可能なのです」

 AMD EPYCプロセッサーは2ソケットでも競合を凌駕する非常に高い性能を発揮するが、さらに1ソケットでも2ソケットにひけをとらない性能を備えている点が、ユーザーや販売パートナーから支持されているという。「1ソケットでも最大32コアと多くのリソースが詰め込まれているため、2ソケットのCPUにも負けない性能が期待できます。単純にハードウェア面でのコストを下げられることに加えて、ソケット課金などで販売されるソリューションを利用する場合においても、性能を下げずにTCOを抑えられるのです」(中村氏)

 ストレージシステムにもAMD EPYCプロセッサーは適しているという。「PCIeのレーンが128本あるので、NVMe SSDなどを大量に接続できます。効率の良いストレージシステムが構築可能なのです」(中村氏)

 昨年の出荷からすでに1年以上が経過し、エコシステムも充実してきた。システムパートナー(ハードウェアベンダー)は15、サーバープラットフォーム(AMD EPYCプロセッサーを搭載したハードの種類)は50以上、そしてネットワークやストレージ、アクセラレーターなどのIHVエコシステムも充実している。さらに、AMD EPYCプロセッサーを搭載したハードを採用するクラウドサービスプロバイダーが、マイクロソフトやAmazon、オラクル、Dropboxなどをはじめとして拡大している。インターネットサービスプロバイダーのヤフーやサイバーエージェントなども、性能の確保とTCO削減などの観点からAMD EPYCプロセッサーを採用した。

「1ソケットでも必要な性能を発揮できるAMD EPYCプロセッサーは、サーバーは2ソケットという常識を変えられる存在です。サーバー台数、ライセンスコスト、消費電力、メンテナンスコストなど、いずれも従来サーバーと比較して低減できるでしょう。現在の寡占市場に風穴を開けて、新たな提案チャンスを切り開くのが、AMD EPYCプロセッサーなのです」(中村氏)

AMD APUの採用で働き方改革

 AMDが提供するPC向けのプロセッサーは、APU(Accelerated Processing Unit)と呼ばれている。これはCPUとGPUが一体となった統合プロセッサーを指す。同社の法人向けPCプロセッサー「AMD Ryzen PRO APU」は、ZENコアのCPUとVEGAというGPUが採用されているが、こうした構成が可能なのは、CPUとGPUを自社設計しているAMDの強みだ。法人向けの機能としては、セキュリティや運用管理を実現する各機能が搭載されている。具体的には、ネットワーク経由で電源をオンにできたり、ハードウェアベースのセキュリティチップが搭載されていたりする。AMD Ryzen PRO APUでは、エントリーモデルからこうした法人向けの機能が利用できる。

 実際に法人向けのノートPCプロセッサーとしては、「Radeon Vega 10グラフィックス搭載AMD Ryzen 7 PRO Mobile 2700U」「Radeon Vega 8グラフィックス搭載AMD Ryzen 5 PRO Mobile 2500U」「Radeon Vega 6グラフィックス搭載AMD Ryzen 3 PRO Mobile 2300U」が提供されているが、いずれも高い処理性能の発揮がベンチマークソフトなどで証明されている。「特にグラフィクスデザインや3Dレンダリング、3D CADの利用時には、GPUと一体となった当社プロセッサーの優位性が明らかです」と日本AMD コマーシャル事業部 マネージャー 鷲島正三氏は説明する。

 AMD Ryzen PRO APUを搭載した製品の提案ポイントとして同社は「働き方改革におけるユーザーエクスペリエンスの向上」と「投資の最適化」の2点を挙げる。「いつでもどこでも仕事ができる環境整備において、クラウドサービスやWeb会議の利用が増加していきます。その際、グラフィクス性能に優れたAMD Ryzen PRO APU搭載製品は、優れたユーザーエクスペリエンスを提供できるのです。競合他社より安価な価格設定をしているため、その分、メモリーの増設などシステム性能を強化したり、付加サービスや周辺機器の購入を可能にしたりするなど、限られた予算の中で最適な投資を実現します。販売パートナーの皆さまにとっては、差異化をつけた提案が可能でしょう」(鷲島氏)

 その言葉通り、AMDプロセッサー搭載製品の採用で、経営層からのPC予算の圧縮要請に対応しつつ生産性を向上させたユーザー事例や、AMDプロセッサー搭載製品の提案で不要な値引きを抑えて受注できた販売パートナーの事例もあるという。

 なお、法人向けのAMD Ryzen PRO APUを搭載した製品としては、ノートPCだけでなくデスクトップPCもラインアップされており、通常のAMD Ryzen APUを搭載した法人向けPCも各社から提供されている。競合製品と差異化をつけた提案を可能にするAMDプロセッサーの存在によって、チップで製品を選択する時代がまた到来しようとしている。

Radeon Vegaグラフィックス搭載AMD Ryzen PROモバイル・プロセッサー

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