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ビジネスチャンスが見込まれるLoRa方式

ビジネスチャンスが見込まれるLoRa方式

2018年11月14日更新

工場やオフィスで使われるLoRaネットワーク

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LPWAの主な通信規格にLoRa、Sigfox、NB-IoTの三つがあることは前項で触れた通りだ。中でも販売店にとって今後のビジネスチャンスが見込めるのは免許不要で運用できるLoRa方式だ。本項ではLoRaに対応した製品について、その特長とビジネスチャンスを紹介する。

工場でIoT環境を実現するアプライアンス

 LoRaWANを用いた環境は、広範囲にセンサーを設置するシステムに需要がある。また、LoRaはプライベートネットワークを構築できる特性を持っているため、クラウドなど外部へのデータ送信に抵抗がある製造現場でIoT環境を構築する際に需要が高い。

 ぷらっとホームが提供する「OpenBlocks IDMアプライアンス」は、製造業向けに開発されたIoTアプライアンスだ。例えば工場に設置されたセンサーデバイスから温度データを収集して、蓄積・可視化・分析といった処理を行うデバイスとして利便性が高い。一般的に、工場などの産業施設では施設内にさまざまなセンサーや計測器、製造機器などが稼働している。また各種産業機器、PLC、サポートモーター、インバーター、産業用ロボットなどの生産機器と、照明器具、空調設備、電力設備などの施設機器など、さまざまな機器が用いられている。通常、これらの機器や設備は、それぞれ異なった形式で通信を行い、データの生成に対応する。従来の仕組みでは、こうしたデータは用途ごとに独立して利用され、アプリケーションも固定されていた。そのためデータの多面的な活用は考慮されていなかったのだ。

 こうした全く異なるさまざまなデータを統合的に、矛盾なく扱うためにIoTのデータをマネジメントする仕組みが「IoT Data Management」(IDM)であり、前述した課題を解決するために開発されたのが、IDMに特化したOpenBlocks IDMアプライアンスなのだ。

 PLCはもちろん、工場内の各機器などさまざまな設備をIoT化でき、また工場内における閉域環境での利用も可能だ。クラウドとの接続といった将来的な拡張にも対応しているため、IoT技術の応用で普及が見込まれる予知・予測や人工知能を駆使した新しいサービスも利用可能な拡張性を備えている。

 同社は、このOpenBlocks IDMアプライアンスに、LoRaアプリケーションサーバー機能を追加したことを今年の8月末に発表した。これにより、公衆通信事業者が提供するLoRaWAN(パブリックLoRa)、公衆通信を使用しない自営のプライベートLoRaのいずれのネットワークでもIDMアプライアンスを使ったIoTシステムの構築が可能になった。

ヒトやモノの位置監視にビーコンを使用し、ゲートウェイとアプライアンスの間をLoRaWAN で接続する。
ビーコンはロストが少なく、また市場に広く普及しているためコストを抑えた構築が可能だ。
※ビーコンの数が多すぎるとデータが取得出来なくなる可能性有り

センサーはビーコンで対応可能

 ぷらっとホーム IoTサービス部 部長 後藤敏也氏は次のように解説する。「LoRaは優れた通信方式ですが、システムを実現するためには、LoRaネットワークサーバーより送信されたデータの収集・蓄積・閲覧・分析などの処理を行うアプリケーションサーバーが必要となります。アプリケーションサーバーは通常、目的に応じた個別の開発が必要であり、導入までの時間や費用がお客さまのシステム導入へのハードルになっていました。今回、IDMアプライアンスにLoRaアプリケーションサーバー機能が備わったことで、お客さまはIDMアプライアンスを購入して設定を行うだけで、迅速にLoRaシステムを構築できるようになりました」と対応の背景を語る。

 IDMアプライアンスには、可視化機能や、時系列データベース、Node-REDなどによるエッジコンピューティング機能があらかじめ搭載されている。ダッシュボードの閲覧・分析やデータの収集・蓄積など、ユーザーに最適なIoTシステムを自由かつ柔軟に構築可能だ。
「例えば、管理画面においてデータの見方を変えたいといった簡単なカスタマイズが可能です。特に開発に対する知識のある工場の人たちにとって、カスタマイズができるIDMアプライアンスは非常に重宝されています」と後藤氏。

 同社では、昨年末にIoTゲートウェイ「OpenBlocks IoT VX2」も発表している。本製品は「LoRaWAN通信モジュール」をオプションで追加でき、農業施設や工場、遠隔施設などのIoTシステム構築を支援している。LoRaWAN環境においてVX2をゲートウェイとして運用し、IDMアプライアンスでデータを管理・可視化するという活用も可能だ。

 後藤氏は「通常LoRaWANでIoTシステムを構築する場合、センサーデバイスもLoRaWANセンサーを選定する必要があります。しかし当社のOpenBlocksを活用すると、LoRaWANネットワークを利用しながら、BLEを併用し、ビーコンでデータを収集できるのです」と同社が提供するシステムの特長を話す。ビーコンを管理するにはIDとRSSIが把握できればよく、LoRaWANでも十分にデータを収集できるのだという。

ぷらっとホーム IoTサービス部 部長 後藤敏也 氏

LoRaWANでオフィスを快適に

 IoTサービスの実用化に向けてLoRaWANネットワークを利用したパッケージ製品「LPWAパッケージ」を提供しているのがマクニカネットワークスだ。マクニカネットワークスはネットワーク機器やセキュリティ対策ソリューションを提供しており、LoRaWAN市場に参入したのも、LoRaWANのネットワークサーバーを提供するフランスのActilityと代理店契約を締結したことがきっかけだ。

 マクニカネットワークス LPWA事業推進部 部長 白土 誠氏は「ネットワークサーバーを販売する中で、ゲートウェイやセンサーとセットで紹介してほしいという要望が多くありました。特にIoTシステムは、センサーデバイスを活用して“なにを”“どのように”可視化するかが重要になります。そこで開発したのがLPWAパッケージです」と語る。

 LPWAパッケージでは、スマートオフィスやスマートビルディングに適した三つのユースケースを提案する。一つ目が「トイレ利用モニタリング」、二つ目が「空間環境モニタリング」、三つ目が「駐車場モニタリング」だ。LoRaWANのネットワークサーバー、ゲートウェイに加え、センサーデバイス、表示アプリケーションを一つにまとめたパッケージとして提供するため、導入後はすぐに使用できるという。

 トイレ利用モニタリングでは、トイレのドアの開閉状況を取得するセンサーデバイスを使用して、トイレの利用状況を見える化することで、混在の緩和や利便性向上、体調不良のユーザーの見守りサポートに役立てられるパッケージだ。

 空間環境モニタリングは、室内の温度や湿度を把握するセンサーデバイスを使用して、空間環境の見える化を行う。オフィス内における寒暖差の把握やエネルギーの効率利用、職場環境の向上に寄与できる。

 駐車場モニタリングは、駐車の有無の状況を取得するセンサーデバイスを使用して、駐車状況を見える化する。具体的には、駐車スペースの中央などに赤外線センサーを設置し、駐車されるとそれをセンサーが検知して、使用していることを通知する仕組みだ。人手不足の解消や利用状況の把握、利便性向上などに貢献できる。

マクニカネットワークス LPWA事業推進部 部長 白土 誠 氏

パッケージを提案のフックに

「空間環境モニタリングをLoRaWANで構築する場合、ゲートウェイを圧倒的に減らせるため高いアドバンテージがあります。オフィスで使用する場合、2.4GHz帯はWi-Fiなどで混雑していますが、LoRaWANはサブGHz帯を使用しているため、安定して使用できます」と白土氏。実際に同社のオフィスで利用されていたこともあり、可視化による利便性の高さが裏付けられている。また、同社におけるLoRaWAN通信環境の検証では、市街地において最長2.4km、見通しのよい場所で51km超、屋内で8階差がある環境での通信が可能といった実際の検証結果をベースとした提案を行っている。

 しかし、LPWAパッケージはあくまで、ユーザーに提案するための“フック”だと白土氏は明かす。「具体的な利用イメージが湧きやすいパッケージを用意することで、『こういう使い方ができるなら、こういう用途にも使ってみたい』と、お客さまが持っている課題を引き出せるのです。例えばセンサーが省電力であるなら水漏れを検知するシステムに活用したい、といったお客さまごとの課題に対応したシステム構築の要望を、LPWAパッケージよって引き出せます」と白土氏。

 マクニカネットワークスではセンサー、ゲートウェイ、ネットワークサーバー、アプリケーションサーバーを組み合わせた包括的なソリューション提案が可能であることはもちろん、センサーデバイスはGPSトラッカーから温湿度、CO2センサー、開閉センサー、ボタンデバイスなど多様な製品を取り扱っており、ユーザー企業の課題に合わせた最適なソリューション提案を実現できる。

「日本におけるLoRaWANの規格は、電波法によって使える周波数帯が欧州などとは異なります。そのため、海外ベンダーの製品を輸入しても国内では使用できず、市場の立ち上がりは比較的遅いと感じています。しかし、低消費電力で広域のIoT環境を構築できるLoRaWANは、今後数年かけて大きく成長していくと見込んでいます。LoRaWANに軸足を置きながら、NB-IoTについてもビジネスに取り組んでいきたいですね」と白土氏はLPWAの全体的なビジネスの取り組みについて、展望を語った。

“工場のヒトやモノの位置管理、オフィスの環境モニタリングに、 LoRaWANの活用が見込まれる”

 続きを読む  LoRaWANシステム構築に不可欠な検証を提供

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