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アイコとTalkQAがオフィスの「困った!」を解決

アイコとTalkQAがオフィスの「困った!」を解決

2018年10月15日更新

Special Feature 2
同僚はスマートスピーカー

スマートスピーカーは家庭で利用するデバイス。そんな先入観にとらわれていないだろうか。実は企業のさまざまな業務を代替できるポテンシャルを持つスマートスピーカーは、近い将来私たちの同僚として、オフィスで働く可能性を秘めている。

受付や総務は彼らに頼もう

オフィス

まずは身近なオフィスから見ていこう。声で応対するスマートスピーカーは、受付や総務の一部業務を任せられる存在だ。同僚に話しかけるようにして質問を投げかけたり、来訪者に取り次いでくれる彼らの仕組みを聞いた。

AI スピーカーが声で受付

 対話型の音声操作に対応したスマートスピーカー。現在、スマートホームなど住宅の中のIoTデバイスを操作する要として、また、音声によって調べ物や買い物ができるデバイスとして、注目が集まっている。

 スマートスピーカーは現在、コンシューマー市場向けのデバイスと考えられがちであるが、音声をUIとしたスマートスピーカーは、法人利用が拡大する可能性を秘めている。例えば、まるで我々の同僚のように業務の一部を担ってくれる存在として、今後導入が進む可能性があるのだ。

 例えばオフィスの受付業務。受付専属のスタッフを配備している企業や、従業員が持ち回りで受付対応をしている企業などさまざまだ。しかし、受付業務に人を配置できない企業も存在する。そうした企業は、タブレットを利用した受付システムなどを導入して対応しているケースもあるが、企業ごとにシステムの操作が異なる場合が多く、来訪者を戸惑わせてしまうことも少なからずある。

 そこでタブレットタイプの受付システムを、スマートスピーカーに置き換える利用が期待できる。人と対話するように操作できるスマートスピーカーであれば、操作に迷うことなくアポイントを取った人物につないでもらえるからだ。

チャットツールと連携

 そうしたスマートスピーカー向け受付アプリを開発しているのがコグラフだ。同社では、「Google Home」をはじめとしたスマートスピーカーで受付業務に対応できるアプリ「AI受付ガールアイコ」を開発し、今年の3月より先行予約販売をスタートしている。アイコという名前は“AI”とコグラフの“コ”から名付けられたそうだ。プロフィールなども設定し、ロボットよりも親しみやすい、人間味があるキャラクターとして受付に活用してもらえるように工夫されている。

 アイコをGoogle Homeで活用する手順は以下の通り。まず、「OK Google、受付のアイコさんと話す」 ※とスマートスピーカーに話しかけると、同社が開発した受付アプリが起動し、来訪者がアポイントメントを取った担当者の名前を問いかける。担当者の名前を伝えると、アイコの管理画面から登録された社員リストデータと照合して該当の人物を部署名とともに確認してくれる。その後、来訪者の所属する企業名と名前を確認し、音声や「Slack」などの社内チャットツールを利用して、担当者に来訪者が到着したことを知らせてくれる。人と会話するようにスムーズな受付が可能で、来訪者は聞かれた内容に答えていくだけでよい。

 コグラフ代表取締役/ CEO森善隆氏は「すでに複数社でテスト導入を実施しており、本番利用に向けて動いています。アイコの料金体験は1~ 10人規模企業向けのライト・エディション(月額1,980円)、11~ 100人規模企業向けのスタンダード・エディション(月額300円/人)、101人以上規模企業向けのエンタープライズ・エディション(個別問い合わせ)を用意していますが、最も多いのがエンタープライズ・エディションの利用です」と需要を語る。特に、システム開発を行う中堅・中小企業や、企業規模の拡大を続けるスタートアップ企業などからの引き合いが多いのだという。一定の従業員数や部署を持つ企業ほど、受付が持ち回りであったり、他の業務と掛け持ちで受付対応をしていたりするケースが多いため、その課題を解消する手段としてアイコの導入を検討する企業が多いのだ。

※ Google Homeのアップデートなどで変更される可能性有り。

「スマートスピーカーをはじめとしたボイスUI市場には、非常に可能性を感じています」
(左)コグラフ BPサービス事業部 マネージャー 増澤秀一 氏
(右)コグラフ 代表取締役/ CEO 森善隆 氏

ボイスUI 市場に大きな商機

 コグラフ BPサービス事業部マネージャー増澤秀一氏は「当社でも受付にアイコを利用して、来訪者の対応を行っています。当初は、来訪者が来たことを担当者にのみ Slackで通知していましたが、担当者が離席していた場合、通知に反応できないという課題が生じました。そこで、アイコの通知を受けるための代表のチャットルームを作成し、そこに繰り返し通知をするように仕組みを変更するなど、運用の上で感じた課題は逐次改善するように努めています」と話す。Slackでは担当者に対して、来訪者の名前、部署名がテキストで発信される。担当者がSlackの通知の「対応する」をチェックすると、アイコ側で担当者が応答中という処理がなされ、万が一応答が遅れた場合でも、来訪者が再びアイコに話しかければ、現在受付に向かっていることなどを教えてくれる仕組みになっている。

 森氏は「スマートスピーカーの仕様として、人から話しかけなければコミュニケーションが取れないため、アイコ側から『いま向かっています』と告げるなどの対応はできません。その代わり、現在は来訪者の所属や名前を尋ねた後に、『しばらく経っても応答がない場合は、また声をかけてください』といった促しを入れることで、現在の担当者の状況を問い合わせられるようにしています」と語る。今後は現在の対応状況を画面で表示させたり、担当者が対応していることを通知したりする仕組みを実装していく予定だ。

 すでにテスト導入を実施している企業からは高評価を得ているAI受付ガールアイコ。今後は導入企業から強い需要のあったADサーバーの社員情報と連携するなど、今年の秋の本格展開を目標にバージョンアップを進めていく。

「昨年の秋からスマートスピーカーの受託開発案件が増加しており、ボイスUIの市場には非常に可能性を感じています。これはスマートスピーカーではありませんが、例えば会議室の壁にスマートスピーカーのような仕組みを設置して、ミーティングが終わった段階で次のミーティング予定を声で指示し、会議室を予約するなど、ボイスUIを採用した業務システムの需要は至る所にあり、そうした市場に対して、ソリューション展開を進めていきたいですね」と森氏は語った。

コグラフの受付では、アイコを活用した来客対応を実施している。スマートスピーカーの応対に答えていくだけで受付が完了するため、煩わしさがない。

社内Q&A システムに活用

 対話による応答が求められるのは、受付ばかりではない。例えば、社内で必要となる各種申請のやり方など、総務部に確認する必要がある内容についても、スマートスピーカーが代替できる。例えば、チャットボットの仕組みを用いれば、その企業専用のQ&Aをスマートスピーカーが答えてくれるようになる。そうしたチャットボットの仕組みを提供しているのが、エクスウェアだ。

 エクスウェアは、従来からIBM Watsonを活用したAIチャットボットサービス「TalkQA」の提供を行っていた。LINEや人型ロボットなど、複数のプラットフォーム上で使えるように開発しており、企業での導入事例も数多くある。そのTalkQAが今年1月よりGoogle Homeと連携し、企業向けソリューションとして利用できるように展開をスタートしている。

 TalkQAについて、エクスウェア代表取締役滝本賀年氏はその特長を次のように語る。「基本的にはSaaSで提供しているAIチャットボットサービスで、IBM Watsonをエンジンとして採用しています。複数のAIエンジンを切り替えて使える特長を持っており、Google Cloud Platform(GCP)の一部もエンジンに利用できます。当社独自のAIエンジンも提供できるため、金融機関などクラウドサービスを社内利用できない企業に対して、オンプレミスのシステムを提供することも可能なのです」

「オフィスだけでなく市役所や介護施設でも、スマートスピーカーによる対応は需要があります」
 エクスウェア代表取締役 滝本賀年 氏

顧客問い合わせ対応も自動化

 スマートスピーカーでのTalkQA活用は、大きく分けて二つのパターンがある。一つ目は企業内での利用だ。例えば前述したように、各種申請のやり方や制度を総務部に確認する際に、直接部署に問い合わせるのではなく、スマートスピーカーに質問をするのだ。従業員自身が必要な情報を手軽に調べることができ、総務部の業務負担も削減できるメリットがある。

 二つ目は一般コンシューマーに対して、企業どは、企業の基幹システムにTalkQAをつなぎ、ユーザー側が利用料金をスマートスピーカーに質問すると、料金を教えてくれるというサービスを提供しています。これは実証実験段階ですが、こうした利用は徐々に増えていくのではないでしょうか」と滝本氏。

 地方自治体での導入事例もあるという。例えば市役所などは、手続きによって窓口やフロアが異なる。従来は市民が自らフロア案内を確認したり、市役所の職員に手続きの内容をもとに案内したりしてもらう必要があった。しかし、スマートスピーカーを導入すれば、市民は職員に尋ねるようにスマートスピーカーに問い合わせるだけで、スマートスピーカーが該当の窓口に案内してくれるようになるのだ。

手軽さがスマートスピーカーの長所

 導入事例が増えていく中で、ユーザー企業から「音声による会話だけでなく、その内容をログとしてモニターに表示させたい」という要望が出てきたという。そこで同社は、Androidタブレットとスマートスピーカーを連携させて、会話の内容を表示させる仕組みも提供している。滝本氏は「企業内でチャットボットを利用している場合、声で問い合わせるスマートスピーカーももちろん需要はありますが、手元にキーボードがあるケースも多いためWebページを用いたテキストベースの問い合わせの方がなじむかもしれません。逆に自治体の窓口などでは、キーボード操作に不慣れな人も来訪しますので、スマートスピーカーの優位性は高いのではないでしょうか」と語る。自治体での問い合わせにおいては、タブレットと組み合わせることでフロアマップを表示させ、音声にとどまらない案内ができる点もメリットとして挙げられた。

「TalkQAはロボットでも利用可能です。スマートスピーカーと比較すると、人が話しかける上で抵抗感がないのはロボットです。しかし、ロボットは導入コストがかさんだり、作りが複雑で故障しやすかったりという課題もあります。スマートスピーカーは導入コストが抑えられ、なおかつ故障もしにくいため、利用しやすいというメリットがあります。例えば介護施設などで、認知症予防のリハビリとして職員と対話をするサポートが求められるケースがありますが、その対話対応をスマートスピーカーが代用するという研究も進んでいます」と滝本氏はロボットと比較したスマートスピーカーの可能性を語った。

エクスウェアが提供する AIチャットボットサービス「TalkQA」は、会話のログを確認できるようタブレットとも連携できる。

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