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ファーマシストオンラインが薬剤師をサポート

ファーマシストオンラインが薬剤師をサポート

2018年10月16日更新

薬の在庫を教えてくれる優れたアシスタント

薬局

スマートスピーカーは飲食店や薬局など、接客応対業務がある場所での利用効果も高い。手元にキーボードやスマートフォンが常に存在するわけではないため、声で簡単に問い合わせができるスマートスピーカーの存在は、良質なアシスタントとなり得るからだ。

薬の使用状況を問い合わせ

 ユーザー自身の声で操作するスマートスピーカーは一般的なオフィスはもちろんのこと、両手がふさがってしまい、PCやスマートフォンを操作できない環境においても利便性が高い。例えば患者に対して薬を処方する調剤薬局などがそうだ。

 ファーマクラウドは、薬局の生産性向上のため、処方箋送受信システム「空飛ぶ処方せん」や、不動在庫のシェアリングエコノミー「Med Share」などの薬局特化型SaaS「PHARSAS」(ファーサス)を開発し、提供を進めている。

 自身も薬剤師でありながら独学でプログラミング技術を習得し、薬局特化型SaaSの提供をスタートさせたファーマクラウド代表取締役山口洋介氏は、薬剤師が抱える業務課題を次のように語る。「薬剤師の仕事は、患者さまの健康状態をよくするためにコミュニケーションを取りながら、処方する薬剤の服用の仕方や副作用などについて説明して健康促進を支援することです。しかし、薬を処方するためには、適切な在庫管理をしながら、今後の処方を予測して薬の発注をする必要があるなど、患者さまと向き合うところ以外での業務負担が課題になっていました」

 その課題を解消するため、ファーマクラウドでは調剤薬局における薬の使用状況をクラウドで管理し、LINEで問い合わせることでその月の使用状況や、データベースから判断した今後の使用状況予測などを応答してくれるチャットボットを開発し、薬剤師をターゲットに提供を進めていた。しかし、チャットボットによる応答は便利である半面、スマートフォンで問い合わせる必要があり、片手がふさがってしまうという課題も生じていた。薬の発注業務は、薬の空き箱を確認しながら、既存の在庫状況を参照して今後の処方を予測し、別途PCで発注するというフローで対応するため、片手がふさがることに煩わしさを覚えてしまうのだ。

「薬剤の在庫管理をスマートスピーカーで対応すると、約80%の省力化が実現できます」
 ファーマクラウド代表取締役 山口洋介 氏

約80店舗の調剤薬局に導入

 そこで同社は、Googleアシスタントに対応した薬剤師アシスタントAIアプリ「ファーマシストオンライン」を開発し、今年2月から提供を開始している。ファーマシストオンラインは、同社のMed Shareのデータとリンクさせ、問い合わせ薬剤の調剤人数、調剤量、処方予測はもちろん、導入先の薬局が任意に設定したグループ内の他薬局の調剤情報についても、スマートスピーカーが回答する。「音声のみで操作が完結するため、PCの在庫管理ソフトに比べて約 80%の省力化を実現できます。LINEのチャットボットを利用していたときと比較しても、両手が自由になるためストレスなく使えて利便性が高いですね」と山口氏。

 Google Homeでのファーマシストオンラインの使い方は次の通り。まず「OK Google、ファーマシストオンラインにつないで」と話しかけると、自薬局の調剤情報に問い合わせ、どの薬剤がどれだけ出ているか、過去の三ヶ月のデータを参照して、今後どの程度処方されそうかなどを回答してくれる。人と会話しているような自然さで応答するため、ストレスなく在庫管理が可能だ。すでに80店舗ほどの調剤薬局に導入されているなど、活用も進んでいる。

「今年3月にはファーマシストオンラインに『小分けサポート機能』を追加しました。これは薬剤師がほかの薬局に医薬品の在庫状況を問い合わせられる機能で、スマートスピーカーに『(医薬品名)はどこかの薬局にない?』と話しかけると、任意に作成したグループの薬局の中から、医薬品の在庫がありそうな薬局を回答してくれるのです」と山口氏は新機能を語る。従来は、自薬局に在庫していない医薬品が急に必要になった場合は、近隣の薬局に在庫の有無を一軒一軒電話で問い合わせていた。しかし、ファーマシストオンラインの小分けサポート機能を用いれば、データから各薬局の在庫状況を推測して、問い合わせするべき薬局をスマートスピーカーが提示してくれる。電話番号もスマートスピーカーに尋ねれば回答してくれるため、調べる手間が大幅に削減されるのだ。

「薬局間での在庫のシェアは、任意のグループを設定して申し込みができるため、例えば近所の薬局同士が連携したり、系列の薬局同士が連携したりするなど、非常に柔軟な設定が行えます」と山口氏。

薬局や医師からの需要が高い

会話するように情報の問い合わせができるスマートスピーカーは、薬局の間で非常に需要が高く、ジェネリック医薬品の名前から先発医薬品の名前を調べたいといった要望や、ジェネリックと先発品の薬価差を知りたいといった要望などが寄せられているという。山口氏は「薬局だけでなく、ドクターからのアプリ開発依頼も寄せられています。例えば、慢性腎臓病患者の薬物投与量は、その病状に応じて変化しますのでドクターも辞書を引きながら飲む量を定めています。この薬を飲む量を計算する機能をスマートスピーカーで担えるよう、現在腎臓内科医と共同開発を行っており、まもなくリリースを予定しています」と語った。

薬剤の在庫状況や処方人数などを質問すると即座に回答してくれる。在庫状況をファクスしたりメールで送信することもスマートスピーカー単体で対応できる。

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