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観光案内業務を多言語で行うAI観光コンシェルジュ

観光案内業務を多言語で行うAI観光コンシェルジュ

2018年10月17日更新

訪日外国人への観光案内は彼にお任せ

自治体

さまざまな場所で訪日外国人を見かけるようになってきており、多言語で対応できる人材が求められている。しかし、そうした対応が可能な人材は一握りだ。スマートスピーカーであれば、1台導入すれば多言語で観光案内をスムーズにこなしてくれるため、今後不可欠な存在となりそうだ。

訪日外国人をもてなす観光案内役に

 訪日外国人観光客の増加に伴い、さまざまな場所で多言語対応が求められている。特に対応が必要となっているのが、観光案内所だ。訪日外国人のみならず、観光地にやってきた人はまず観光案内所でおすすめスポットの情報や、行きたい観光地の情報などを収集する。しかし、観光案内所に勤めるスタッフの中で、訪日外国人への対応が可能な人材は一握りであるケースが多い。そのため、観光案内所の入り口には訪日外国人が列をなしていることも少なくない。

 そうした観光案内業務をスマートスピーカーが代替する動きがある。アジアクエストは、スマートスピーカーによる「AI観光コンシェルジュ」を8~ 10月にかけて開発している。開発したAI観光コンシェルジュサービスは、11~12月の期間に大分県別府市において実証実験を実施する予定だ。

 アジアクエスト SI事業部 部長 岩崎友樹氏は、今回開発するAI観光コンシェルジュについて「イメージとしては、多言語対応できるチャットボットを用いて、スマートスピーカーで応答できる仕組みを提供する予定です。裏側には観光情報のデータベースを用意し、AIを用いて観光客におすすめの観光スポット情報などを発信していくシステムを構築していきます」と語る。

 AI観光コンシェルジュを稼働させるスマートスピーカーは、現在コンシューマー向けに提供されているスマートスピーカーではなく、BtoB向けに開発された製品の採用を検討している。その背景には、スマートスピーカーでアプリを起動させる際のトリガー(OK、Googleなどのかけ声)を口にすることに抵抗感がある利用者や、フラストレーションがたまる利用者がいる可能性があるためだ。そのため、実証実験においては、特定のキーワードを口にしなくても反応できるような仕組みを整えることも視野に入れている。

 大分県別府市で行う実証実験では、観光案内所をはじめ、温泉施設、宿泊施設などにAI観光コンシェルジュを配置し、訪日外国人に快適な観光を提供すると同時に、受け入れ側のインバウンド対応負荷の軽減を目指す。実際の効果検証としては、観光案内所などで待機している訪日外国人がどれだけ減少したかといったポイントや、AI観光コンシェルジュの回答に対する満足度などを中心に測定を進めていく方針だ。

「労働需要が高まる宿泊業において、スマートスピーカーを活用したAI観光コンシェルジュの存在は大きいでしょう」
 アジアクエストSI事業部 部長 岩崎友樹 氏

人手不足の解決にも役立てる

 今回のAI観光コンシェルジュ開発には、訪日外国人向けに観光情報やマップ情報を発信している昭文社と、温泉に特化した観光情報を提供しているゆこゆこホールディングスと連携し、AI観光コンシェルジュで提供する観光情報をより充実させる。また、AI観光コンシェルジュ上で学習するAIにより、国籍や性別、年齢層などの属性に合わせた最適な観光情報を提供し、外国人観光客の観光に対して、より満足度を高めていく。多国籍から学生が集まる立命館アジア太平洋大学とも連携し、学生からインバウンド対応のソリューションアイデアを募りつつ、さまざまな国や地域の学生からの評価をAI学習に反映させることも予定している。

「観光案内所はもちろんですが、大分県別府市の実証実験でAI観光コンシェルジュの需要を見込んでいるのが宿泊業です。大分県内では宿泊業に関わる労働需要が高まる一方、担い手不足が顕著です。そのため、人だけでなくITやモノによる解決方法の確立が急務となっており、そうした課題にAI観光コンシェルジュが対応できるのではないかと考えています」と岩崎氏。また、大分県内では2019年にラグビーワールドカップ開催を控えているため、今後ますます訪日外国人が増加していく可能性が高い。2020年の東京オリンピック・パラリンピックなど、インバウンド需要を獲得する手段の一つとして、スマートスピーカーの需要はますます高まっていきそうだ。

 今回取材した4社は、昨年から今年春頃にかけて、スマートスピーカーに関する問い合わせが増加していると口をそろえる。アジアクエストの岩崎氏は「秘書の代わりとしてスマートスピーカーを使いたい、という問い合わせもあります。特に会社の新規事業としてスマートスピーカーを活用した取り組みを検討している企業が多いですね」と語る。

“声”をインターフェースに、多様な操作を可能にするスマートスピーカー。まだまだ市場は立ち上がったばかりだが、企業での活用事例も出始めている。業務の一部を代替する存在として、また人手不足を解消する存在として、スマートスピーカーという“同僚”を提案する準備を進めていきたいところだ。

別府地獄巡りの青地獄など、実証実験を行う大分県別府市は観光名所が多く、それだけに訪日外国人の対応に人手が必要だ。

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