
デジタルホワイトボードやWeb会議専用端末の販売機会も期待できるCiscoWebex Teams
クラウド+専用機の提案
Cisco Webex Team(旧 Cisco Spark)
Cisco Webex Teamsに名称を変更
ネットワーク市場を牽引するシスコシステムズは、チームコラボレーションツールとして「Cisco Webex Teams」を提供している。Cisco Webex Teamsは、従来まで「Cisco Spark」の名称で提供されてきたツールだ。今年の4月からCisco Webex Teamsへと名称が変更された。これは、シスコシステムズのクラウドコラボレーション戦略として、Web会議ツールの「Cisco Webex」とCisco Sparkのプラットフォームを集約する過程で実施された。従来のCisco Webexは「Cisco Webex Meetings」と名付けられ、Cisco Webexのブランドのもとに、会議ツールのCisco Webex Meetingsと、チームコラボレーションツールのCisco Webex Teamsがラインアップされるようになった。
ビデオファーストがうたわれるCisco Webex Meetingsは、ビデオ会議の性能や機能がより洗練されていくようだ。すでにUIはビデオ中心に刷新された。モバイルデバイスやWebにも最適化され、新しいデスクトップアプリでは、会議への参加がワンクリックで行えるような機能追加が図られている。
Cisco Webex Meetingsと比較して、チームコラボレーションの機能に特化しているのがCisco Webex Teamsだ。モバイルデバイスの普及や働き方改革の影響もあり、現在は、さまざまな場所で業務が行えるようになっている。そのような状況の中では、「リアルタイムの対応が必要な仕事が増えてきて会議をする時間がない」「社員がさまざまな場所で働いているため会議の調整に時間がかかる」「場所にとらわれず素早く確実に情報を発信、共有、ディスカッションしたい」といった課題が発生する。
その解決策として、「バーチャルなチームスペースでチャット、資料共有、会議機能を活用して誰とでもコラボレーション」が可能なCisco Webex Teamsをシスコシステムズは提案している。「働き方改革の視点で言えば、移動中などの隙間時間を活用したコラボレーションもCisco Webex Teamsは実現するのです」とシスコシステムズ コラボレーションアーキテクチャ事業担当 コラボレーション営業 部長の石黒圭祐氏は話す。
「あらゆるユーザーにとって利用しやすいUI、そしてUXを目指しています」
シスコシステムズ 谷内健治氏(左)
「Cisco Webex BoardやCisco Webex Roomシリーズなどの付加的な提案まで期待できます」
シスコシステムズ 石黒圭祐氏(右)
コミュニケーション機能を網羅
Cisco Webex Teamsは、メッセージ(チャット)、ミーティング(スケジュール)、通話(ビデオ、音声)、ファイル共有、ホワイトボードの機能を一つにまとめたチームワークツールだ。コミュニケーションに必要なツールが全てクラウドを通じてアプリケーションで提供される。実際にCisco Webex Teamsでは、チームもしくは1対1でやり取りできるスペースを構築でき、そのスペース上で、チャットやファイルの共有、手書きが行えるホワイトボードの活用、ビデオ会議、ミーティングのスケジューリングまでが可能だ。
チャットはリアルタイムで応答しなくても、隙間時間を利用して返信したりできる。共有できるファイルは一つにつき2GBと大容量で、メールで送受信できないやり取りを軽々と実現する。チャットを行いながら、必要に応じてビデオ通話への移行も可能だ。ビデオ会議はOutlookの予定表と連携させてスケジューリングでき、Outlook上のスケジュールに表示されるURLをクリックするだけで、Cisco Webex Teamsを利用したビデオ会議が始められる。もちろんビデオ会議をしながらファイルの共有も行える。ホワイトボード機能を利用すれば、手書きで自由なアイデアのやり取りが実現する。
シスコシステムズはCisco Webex Teamsがもたらすメリットとして、次の3点を挙げている。
・コミュニケーションの応答速度
・コミュニケーションの密度
・ディスカッションの連続性
Cisco Webex Teamsの導入によって、決断や意思決定を迅速化し、組織を強化できるとシスコシステムズは説明する。これは、質問や情報共有のやり取りを次の会議までため込むことがなくなり、成果物の完成スピードなどを早くできることを意味している。実際には、電車で移動中に商談の成果を報告したり、プロジェクトの課題をチャットで共有してアドバイスをやり取りしたり、大容量の資料を共有して空き時間に皆でコメントしたりするようなチームワーク環境が構築できるようになるのだ。
シスコシステムズ コラボレーションアーキテクチャ事業 ネクストジェネレーションミーティングセールスマネジャーの谷内健治氏は、「メールの代わりに利用していただきたいですね。チームコラボレーションの強化によって業務効率が確実に向上します」とアピールする。
Cisco Webex Teamsは、いつでも使える環境を目指すモバイルファーストによって、モバイルアプリのUI開発に力を入れている点もポイントだ。「一部のユーザーではなくあらゆるユーザーにとって利用しやすいUI、そしてUXを目指しています」(谷内氏)
Cisco Webex Teamsは、ファイル共有、メッセージ、ビデオ通話、ミーティング設定、ホワイトボード機能が利用できる。特にモバイルアプリの使いやすさが魅力だという。
セキュリティに特化したオプション
Cisco Webex Teamsは、Webプラットフォーム「Cisco Webex Control Hub」でCisco Webex Meetingsとの統合管理が可能だ。Cisco Webex Control Hubでは、プロビジョニング、ユーザー管理、サービスの利用状況などが把握できる。「eDiscovery」という機能を利用すれば、何か問題が発生した際に、Cisco Webex Teamsのスペース内でやり取りされたメッセージやファイルを検索できる。例えば、社内のコンプライアンスに抵触するような問題が発生した場合に、過去にさかのぼってスペース内のやり取りを検索できるため、コンプライアンス違反の抑止と問題発生時の調査が可能になる。
Cisco Webex Control Hubに用意された「Pro Pack」というセキュリティオプションを利用すれば、よりセキュアな環境の構築も可能だ。「メッセージの暗号化など通常でも必要最低限のセキュリティは備えていますが、セキュリティに特化したPro Packを利用していただければ、さらに強固なセキュリティ環境を構築できます」(石黒氏)
Pro Packは次のような機能を利用可能にする。
■ファイル共有関連
・ファイル共有の禁止
・ファイルのダウンロードの禁止
・ファイルのダウンロード、アップロードのログ取得
・(対応予定)BoxやMicrosoft SharePointなど外部ファイルサーバーとの連携
■メッセージ関連
・他ドメインとのメッセージ利用の禁止
Cisco Webex Control Hubに登録しているユーザー間のみのメッセージのやり取りに限定
■端末管理関連
・リモートログアウト
端末紛失時に管理者が管理画面からログアウトの操作が可能
・Pin Lock Mobile Device
モバイル端末からのログイン時のPINを設定
■暗号化関連
・暗号キーの自社管理
セキュリティに厳しい金融関連やクラウドサービスのセキュリティに不安を持っている企業も、セキュリティオプションであるPro Packが存在するからCisco Webex Teamsの導入を決定したというケースが少なくないという。
専用端末の提案まで
働き方改革の後押しもあり、国内企業における導入が伸びているというCisco Webex Teamsは、付随的なハードウェア提案の可能性も秘めている。
例えば、Cisco Webex Teamsと連携して創造的な会議の実現に貢献する「Cisco Webex Board」の提案機会を増やすことが可能だろう。この製品も以前は「Cisco Spark Board」と呼ばれていたが、4月に名称をCisco Webex Boardへと新しくしている。55インチと70インチの画面サイズが用意されたCisco Webex Boardは、以下の三つの機能を備えている。
・ワイヤレスプレゼンテーション
プロジェクターの代わりに、プレゼンテーションや資料の共有がワイヤレスで可能。画面は4K UHD
・デジタルホワイトボード
ホワイトボードや、共有した資料への書き込みが行える。作成したコンテンツはCisco Webex Teamsに自動保存
・ビデオ会議システム
参加者の位置や音声を感知して自動でズームアップするなど、臨場感のある会議を実現
単なるホワイトボードと異なり、資料を投映したプレゼンテーションから書き込み内容の共有や保存が可能なデジタルホワイトボード、そして話者を投映したビデオ会議の3役をこなすCisco Webex Boardは、Cisco Webex Teamsを利用した会議時のクリエイティビティを大幅に向上させてくれるだろう。Cisco Webex Teamsの利用提案は、会議室を利用した会議に適したWebex Meetingsの活用と、会議用の専用端末である「Cisco Webex Room」シリーズなどの提案にまでつなげられる。
例えば、建設事業を営む鹿島建設では、モバイルデバイスを活用したコラボレーションを効率化するために、Cisco Webex TeamsとCisco Webex Boardを導入している。建設現場では、モバイルデバイスを使った図面データの確認や撮影データの共有などが進んでいるが、そうしたやり取りをモバイルデバイスで実行する上でCisco Webex Teamsが利用されているのだ。Cisco Webex Teamsを使った会議においては、大画面に図面資料などを投映できるCisco Webex Boardが役立っているという。
ドラッグストア事業会社などを傘下に持つサツドラホールディングスは、Cisco Webex Teamsと会議専用端末Cisco TelePresenceを連携させた多拠点間のコラボレーション環境の整備によって、スムーズなコミュニケーションによる働き方改革や経営層の迅速な意思決定などを実現した。
「お客さまに提案する際は、いかに広がりのある提案が可能かどうかも重要です。そうした観点では、Cisco Webex Teamsは、クラウドサービスの提案だけでなく、Cisco Webex BoardやCisco Webex Roomシリーズなどの付加的な提案まで期待できるチームコラボレーションツールとなります」(石黒氏)
Cisco Webex Control Hub では、利用状況の分析から各種セキュリティの設定までが可能だ。
AIの活用を進める
今後、Cisco Webex TeamsをはじめとするCisco Webexのサービスやビデオ端末は、AIの活用による機能強化が予定されている。例えば、音声認識による会議時の発話内容の文字起こしや、人物を認識して名前を画面に表示するといった機能の実装だ。Cisco Webex Boardには、AI市場をリードするNVIDIAのJetson TX1というAIプラットフォームがすでに採用されている。「AIのエンジンはGoogleと提携して開発していきます」(石黒氏)
AIによるノイズ抑制機能なども実装していく。会議時のタイピング音や資料をめくる音などをAIが判断し、その音を自動的に小さくして会話の邪魔にならないようにするのだ。
「Cisco Webexの会議システムは、人の動きなどを感知するIoT機器としての役割も果たしていくでしょう。それによって、より快適な会議、心地よい働き方を実現していきます」(谷内氏)
Cisco Webex TeamsやCisco Webex Meetings、そして専用会議端末は、AIを利用した会議の効率化によって、チームコラボレーションのさらなる強化に貢献していきそうだ。
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