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高知県須崎市がデル、インテルと協力してITによるまちづくりを推進

高知県須崎市がデル、インテルと協力してITによるまちづくりを推進

2018年09月27日更新

ITによる働き方改革でまちづくりを加速
〜高知県須崎市がデル、インテルと連携事業〜

高知県須崎市は、デル、インテルと連携して2018年4月からITを活用した働き方改革によるまちづくりに取り組んでいる。デルとインテルは、タブレット機能を備えた2in1 PCやテレビ会議システムなどを提供。須崎市は、これらを活用して2015年に策定した地域活性化計画「すさきがすきさ産業振興計画」の目標達成を目指している。具体的にどのような取り組みなのか、見えてきた課題、目標などを聞いた。

「産業振興計画」の将来性が評価された?

 須崎市は、高知県中央部に位置する人口約2万2,200人のまち(2018年6月末時点)。沿岸漁業とカンパチ、鯛、ハマチなどの養殖漁業などが盛んに行われており、農業においてはハウス栽培によるミョウガ、キュウリ、ピーマン、シシトウなどが主要作物だ。特にミョウガ栽培は、全国一の販売額となっている。さらに、貿易港として貨物取り扱い量は県内一を維持している。

 その須崎市も全国の地方自治体と同様に人口減少、産業縮小、防災対策、財政難といった問題を抱えている。デルとインテルによる支援は、ITで地域の総合力を強化し、働き方改革を推進してまちづくりを支援、ICT教育にも注力していくものとなる。デルとインテルが地方自治体を支援するのは、2016年の福井県鯖江市に続いて2例目。2社との連携の背景を須崎市 元気創造課の有澤聡明係長は次のように語る。

「自治体が抱える課題に取り組むため、須崎市では2015年から『すさきがすきさ産業振興計画』を策定し、12分野56項目で数値目標を設定しました。産学官の連携でさまざまな取り組みを進めています。デルとインテルの両社からは振興計画の将来性やユニークさを評価していただいたのでしょう。当市の事業には自治体職員だけでなく、民間業者やNPO法人と一緒に進めているものもあるので、民間も巻き込みながらITによって働き方の改革を進められます。そういう文脈の中でデル、インテル両社と連携して取り組めるのはとても光栄です」

 デルが須崎市を支援するきっかけとなったのは、2016年の鯖江市での成功事例だったようだ。鯖江市に電子会議システム、モニター、タブレット、デスクトップなどの機材を提供。その成功事例をもとに次の候補を探していたところ、須崎市が進める産業振興計画の「働き方改革の推進」「ICT教育への注力」「ITによる町おこし」という三つの柱が一致したという。

「鯖江市では空き家を活用したIT企業の誘致に成功した事例があるそうですが、須崎市も、形は違いますが空き家活用の事例があります。そのような取り組みが評価されたのではないでしょうか」と有澤氏は言う。

しんじょう君事業などを2in1で推進

 須崎市は、デルとインテルとの連携による働き方改革で「すさきがすきさ産業振興計画」の2019年度の目標達成に向けて取り組みを加速させる。その主な取り組みは、「情報発信力を強化」「海外と須崎をつなぐ」「生産地・加工施設と消費者をつなぐ」「ゲストハウス運営と移住を支援」の四つだ。取り組みの具体的な内容をみてみよう。


①情報発信力を強化……しんじょう君事業

 須崎市マスコットキャラクターの「しんじょう君」を活用した情報発信の取り組み。しんじょう君は、日本かわうそと地元B級グルメの鍋焼ラーメンを組み合わせたキャラクターであり、全国1,412キャラクターが参加した「ゆるキャラグランプリ2016」で優勝している。

「しんじょう君は人気者なので、出張も多く、職場に担当者がいなくなることも少なくありません。提供していただいた機材の活用によって、全国のイベント会場への移動中でもSNSやブログなどの編集・公開が可能になりました。しんじょう君に活躍してもらうことで、2020年までに現在のツイッターのフォロワー数を6万人から10万人に、フェイスブックのフォロワー数は8,000人を1万7,000人に、ブログのPVを100万から250万にする目標を立てましたが、スタートして3カ月目にツイッターのフォロワー数は9万人を超えました」(有澤氏)

 うなぎ上りの人気を背景に、しんじょう君のアニメ化も進んでいる。制作費4億円の出資を国内外の企業から募り、日本だけでなく中国、台湾、香港など海外での放送を目指している。早ければ来年の秋から放送開始の予定だという。


②海外と須崎をつなぐ……須崎アンバサダー事業

 インバウンドの観光と海外販路拡大の事業。仏パリで開催された「Japan Expo 2017」に出展するため、須崎アンバサダーを任命。須崎産品やしんじょう君が大人気だったという。今後は、フランスのファンと須崎市民の交流を2in1 PCを介して実施したり、海外での取り組みを現地から中継したりすることで、インバウンドを推進していく。外国人観光客に須崎を体験してもらうためのツアーを開催する活動も開始した。

 2020年3月までに須崎アンバサダーを3カ国10人以上にすること、2027年3月にはインバウンド観光客2万人の達成を目標として設定している。


③生産地・加工施設と消費者をつなぐ……ふるさと納税事業

 須崎市のふるさと納税額は、2014年度は200万円程度だったが、しんじょう君の情報発信力によって2015年度には6億円を達成。昨年度は11億円を得た実績がある。これを2019年度には20億円にするのが目標だ。

 ふるさと納税の商品ページは市役所の担当者が作成しているが、労力的に限度がある。ふるさと納税の返礼品に参加している企業(50社)に2in1 PCを渡し、企業側が更新したり魅力的な情報を発信できたりする環境を整備していくという。


④ゲストハウス運営と移住を支援……暮らすさき事業

 NPO法人の「暮らすさき」を通じて須崎市への移住を促進する。古民家素泊まり宿の「暮らしのねっこ」をこの4月にオープンした。1階の共有レンタルスペースに2in1 PCなどを設置し、国内外からの問い合わせにSkypeを活用して情報提供を行ったり、部屋の様子をビデオチャットで見せて案内したりといった活用を進めている。入り口付近には、手作りケーキやパン、須崎市の名物を販売する「Cona-Cafe」という店舗も入っている。

 移住を推進するために、須崎市に泊まってもらったり、移住相談や空き家案内、ゲストハウス利用者への情報提供などを行ったりし、2020年3月までに移住者数20家族40人、相談受付160件を目標として設定している。

しんじょう君のホームページ。

セキュリティのハードルが高くなる

「提供機材をこうした四つの事業で活用しています。疑問や課題をデルとインテルの両社に相談し、ノウハウや知見などを提供していただいています。一方、産業振興計画の取り組みとは別に、小中学校などの教育現場での機材活用の提案も受けました。その際に、教員を対象とした講師の紹介もしていただきました。どんなに素晴らしいIT機器が整っても、使いこなせなければ導入の意味がありませんから。両社のサポートに感謝しています」(有澤氏)

 ITの推進は全国の自治体に共通の課題であるが、マイナンバーの取り組みを含め、推進すればするほど、自治体にとって情報のセキュリティが非常に厳しくなる。いい環境を整えようとするほど、セキュリティの部分で制限される部分が出てきてしまうと有澤氏は語る。

「例えば、無線LAN環境を公共施設で整備して、業務で使用する場合でも、セキュリティのハードルが高いのが実情です。デルからの機材提供で、Skypeを利用した会議が行えるようになり庁内に広めたいのですが、セキュリティの部分でどう折り合いをつけるか困る部分があります。まだまだITを使いこなせていないですね。セキュリティの問題が解決できれば、今回のシステムは公共の場でもかなりスピード感を持った運用やサービスが実現できるのではないかと考えています」

 有澤氏が感じているもどかしさ。IT活用が進むほど、どこの自治体でもクローズアップされる課題になりそうだ。

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