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個人の肌環境にあったスキンケアをIoTが提案

個人の肌環境にあったスキンケアをIoTが提案

2018年09月20日更新

常に変化する肌環境に適した
スキンケアシステムをIoTで提供

センサー技術を活用して、人の健康状態を把握するようなIoTシステムは、すでに存在する。しかし活用されるのは、運輸業や製造業などが主だ。化粧品の製造・販売を行う資生堂は、スマートフォンのアプリと専用デバイスを活用して、人の肌環境を測定し、その時々に適したスキンケアを提供するIoTシステムを開発し、β版の提供をスタートしている。その仕組みと、化粧品業界におけるIoT活用のメリットを探った。

肌環境と気象情報などを元に
最適なスキンケアを提供する

 化粧品の製造・販売を行う資生堂は、肌環境に合わせたケアを専用マシンが提供するIoTスキンケアシステム「Optune」(オプチューン)を開発した。3月22日よりβ版の提供をスタートしており、利用ユーザーの声を元に製品化を進めている段階だ。

 Optuneの開発に携わった資生堂ジャパン ブランドマネジメント部 新規接点開発室 デジタルフューチャーグループ ブランドマネージャーの川崎道文氏は、「Optuneは1人ひとり、その時々の肌環境に合わせて変わる“パーソナライズスキンケアシステム”です。スマートフォンにダウンロードした専用アプリ『Optune App』(オプチューン アプリ)※による肌測定データや、温湿度などの環境データを独自のアルゴリズムで分析し、その時々に合わせたスキンケアを専用マシン『Optune zero』(オプチューン ゼロ)から提供します」と、Optuneで提供するシステムの概要を語る。

 Optune Appによる肌測定は、スマートフォンのアウトカメラで肌を撮影(連写)するだけでよい。画面上の指示に従って肌を撮影すると、肌のきめや毛穴、水分量などを分析してくれる。その肌測定データのほか、Optune zero本体のタッチパネルを使用して、その日の気分など入力していく。それらのデータはOptuneのクラウドサーバーに送信され、気温や湿度などの環境データ、ユーザーの月経周期などの情報と合わせてアルゴリズムで分析する。Optune zeroには五つのスキンケアカートリッジ「Optune Shot」(オプチューン ショット)が搭載されているため、分析結果から最適なスキンケアパターンを決定し、それぞれのセラム(美容液)とモイスチャライザー(乳液)を組み合わせて、その日の肌環境に最適なスキンケアをOptune zeroから提供できるのだ。
※ 現在iOSのみ対応

スキンケア状況を可視化
デジタル技術がCRMを変革

「従来化粧品メーカーが提案してきたスキンケアは、同一のスキンケア商品を継続して使い続けていただき、肌環境を整えるというものでした。しかし、人の肌環境は気候などの外的要因や、気分やコンディション、ホルモンバランスといった内的要因、年齢などによって変化するため、同一のスキンケアを継続して使っていても、肌環境によっては合わなくなるケースがあります」と川崎氏は語る。

 従来は化粧品販売の店頭で、肌環境の測定サービスを提供していた。しかし、前述したように人の肌環境は日に応じて変化するため、測定時の肌環境で常に生活している訳ではない。また、肌測定器がある店頭で化粧品を購入するユーザーばかりではないため、実際の肌環境を知らないユーザーも多くいる。

「お客さまの生活環境に応じて、肌環境を気軽に測定してもらい、最適なスキンケアを提供するためには、デジタル技術の活用が不可欠だと考えました。当社では2017年9月末に『肌パシャ』※というアプリをリリースしています。肌パシャもスマートフォンのアウトカメラを使用して肌環境を測定するアプリで、この技術をOptune Appに用いています。それにIoT技術を組み合わせたのが、今回のパーソナライズスキンケアシステムであるOptuneなのです」と川崎氏は語る。

 Optuneによってユーザーのスキンケア状況をデータベース化できるようになったことで、CRMも大きく変化すると川崎氏は期待を口にする。店頭やネット販売の場合は、誰がいつどんな商品をどこで買ったか、といった情報をCRMに活用できていた。それに加え、Optuneの場合は、スキンケアの使用状況も分かるため、データを元にユーザーに個別のフォローをすることも可能になる。例えば最近Optuneを使っていないようであれば、ユーザーに直接メールや通知を送るなどして、現在の状況を確認できるのだ。IoTによってアフターサポートする手段が拡大したことで、スキンケア商品を使い続けてもらうマーケティングが可能になる。
※ 現在iOSのみ対応

専用マシンとアプリは無償で提供
継続的な利用で利益を獲得する

 Optuneの料金プランは、Optune zeroが無料レンタル、Optune Appが無料提供となっている。Optune Shotは初回購入価格1本2,800円(税抜)×5本で提供されており、二回目以降は同社が運営する総合美容サイト「ワタシプラス」から追加購入可能だ。また、900円(税抜)の月額基本料金がサービス利用料として必要となっている。

「現在提供しているのはまだβ版ですが、3月22日に数量限定で販売開始したところ、予定数を大幅に上回る応募をいただきました。そこで7月10日に追加購入者への販売を行うなど、お客さまからの興味や関心が非常に高い製品です。今後お客さまからのフィードバックなどを元にOptuneの改善を進めていきたいですね」と川崎氏は語る。本格販売は現在のところ未定だが、将来的にはスマートフォンで測定している肌環境を、洗面台に専用デバイスなどを設置して、ユーザーが意識することなく測定できるような環境を構築する案などもあるという。

「IoTの技術によって、化粧品の使用状況が把握できるようになり、最適なマーケティングを行える環境になったことは大きなイノベーションだと思います。すでにβ版を使用しているお客さまからのフィードバックも増えてきているため、分析を行い本格展開に到達できるよう、開発を進めていきます」と川崎氏は意気込みを語った。

Optuneの利用イメージ

①Optune Appをインストールしたスマートフォンで肌環境を測定。
②測定した肌環境のデータをOptuneのクラウドサーバーで取得。クラウドサーバー側で気候情報などと組み合わせて解析する。
③カートリッジから、測定した肌環境に合わせたセラムとモイスチャライザーが抽出される。
④肌のコンディションは日々変化するため、同じ人が利用しても、抽出されるセラムとモイスチャライザーは日によって量も種類も異なる。

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