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デジタル時代の紙を目指したソニーのデジタルペーパー「DPT-CP1」

デジタル時代の紙を目指したソニーのデジタルペーパー「DPT-CP1」

2018年08月21日更新

紙よりも使いやすい紙を追求したデジタルペーパー

DPT-CP1

ソニーのデジタルペーパーは、ビジネスや教育の現場で毎日使う道具としてのデジタル機器を追求し、紙よりも使いやすい紙を目指した製品だ。モバイルPCやタブレットを使い慣れたユーザーには、新鮮な驚きと発見がある。紙よりも紙らしく、IT機器でありながら温かみのある質感や軽さが、これまで電子化の進まなかった多くの現場に新たなビジネスインパクトをもたらす。

デジタル時代の紙をつくる挑戦

 まるで紙を手にしているような感覚になるソニーのデジタルペーパーDPT-CP1は、「読む」と「書く」という基本を追求した製品だ。薄くて軽い本体は約240g。10.3インチフレキシブル電子ペーパーディスプレイ(1,404×1,872ドット)を備え、本体サイズは横約174.2×縦約243.5mmでA5用紙とほぼ同じ。厚みは約5.9mmで、背面の質感にこだわった本体は、大学ノートを手にしているようなホールド感になる。

 DPT-CP1の基本的な機能は、付属のスタイラスペンによる手書きと、PCなどから転送したPDFファイルの表示だ。機能も操作もシンプルで、本体の上部にあるメニューボタンを押すと、使える項目が表示されるので、そこから目的のアイコンをタッチする。例えば、新しい手書きのドキュメントを作成するときには、メニューから「ノートの作成」を選び、表示されたテンプレートの中から使いたいデザインを選ぶと、大学ノートや方眼紙などの「紙」が画面に表示される。あとは、ペンで自由に書いていく。

 この「書く」という感覚が、DPT-CP1は秀逸だ。タブレットにタッチペンを滑らせたり、ペン対応のPCで画面にペンを当てる操作と比べると、圧倒的に「紙っぽい」のだ。その理由は、デジタルペーパー本体の軽さと持ちやすさに加えて、専用スタイラスペンの書き心地にある。デジタルペーパーの画面は、ガラスではなく少しザラザラした樹脂でコーティングされている。そこに、摩擦感のあるペン先を滑らせると、本物の紙に鉛筆で線や文字を描いているような感覚になる。もちろん、「書く」ことを追求した最先端の技術が凝縮されているので、デジタルペーパーの上に手のひらが触れても問題ない。ペン先だけに反応してスラスラと書き込める。

紙のような書き心地でスラスラ書ける。

スマホとも連携してデータをやり取り

 一方の「読む」は、PDFファイルであればノートをめくるような感覚で、指先でページ送りができる。ズーム機能を使えば任意の範囲の拡大表示が可能だ。画面はモノクロだが、写真やイラストなどは16階調のグレースケールで表示される。ビジネス文書や教育向けの文献であれば、ほぼ「読む」のに困らない。

 もちろん、PDFファイルは閲覧するだけではなく、ペンによる書き込みも可能だ。画面では黒く表示されるが、ペンは青と赤の色が選べる。選んだ色は、書き込んだPDFをPCやスマートフォンに転送して確認できる。PDFへの書き込みを応用すると、デジタルペーパーは単なる電子リーダーではなく、編集校正やカルテ、点検チェックなど、業務でも活用できるモバイル端末となる。

 DPT-CP1は、16GBの内蔵メモリーを搭載し、そのうち約11GBがデータ領域として開放されている。約1MBのPDFファイルであれば、およそ1万ファイルは保存できる。本体と他のデバイスを接続するインターフェースは、マイクロUSB端子のほかに、2.4と5GHz帯が利用できる無線LANに対応している。ドキュメントを保護するために、暗号化やWi-Fi認証にも対応する。本体とPCやモバイル機器とのデータ送受信には、ソニーのサイトやAppストアなどから無料でインストールできる「Digital Paper App」「Digital Paper App for mobile」を利用する。

 さらに、「デジタルペーパー連携サーバーソフトウェア(DCSS)」を利用すると、WebAPIを利用して社内の業務システムとデジタルペーパーを連携できる。例えば、複数のデジタルペーパーへの一斉配布や回収などが容易になる。会議で利用するドキュメントや集計データをDCSSで連携させると、紙をプリントして配布する必要がなくなり、用紙やトナー代の節約になるだけではなく、作業時間の大幅な短縮にもつながる。ソニーでは、医療システムとの連携や授業支援システムなどの連携も提案している。

本体も紙のような手触りだ。

ビジネスや教育への応用は無限大

 A5サイズという持ち運びやすいサイズと軽さ、紙の感覚で使える手書き入力、そして1回の充電で約1カ月は使えるロングバッテリーは、これまでにないモバイル端末として、ビジネスや教育の現場で活躍できる可能性を秘めている。すでに、従来モデルは、大学や弁護士事務所、医療機関などで導入されてきた。ソニー社内でも、半導体製品のチェックシートとして活用している事例もある。機能がシンプルで、直感的に操作できる分かりやすさから、これまでモバイル端末の活用は難しいと思われていた現場でも、改めてデジタルペーパーによるソリューションが検討されている。

 個人の読み書きの道具としても十分に楽しいデジタルペーパーだが、PDFの送受信と手書きデータの連携は、これまでソリューションとしての構築が複雑化しがちだったタブレット端末と比べて、シンプルに「紙」を置き換える業務端末としても魅力的だ。また、余分な機能やアプリなどが入っていないので、モバイル端末として配布するときに、ユーザーが余計な操作をする心配もない。NFCによる認証機能も装備されているので、PDFの暗号化と画面ロックによるセキュリティ対策などを組み合わせると、情報の保護も安心だ。

 デジタルペーパーのDPT-CP1は、「紙らしさ」を満喫できる端末として、DCSSを活用したソリューションを構築することで、ビジネスの現場や文教市場に新たなインパクトをもたらす魅力的な商材になる。

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