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仮想デスクトップ環境が実現する生産性向上とBCP

仮想デスクトップ環境が実現する生産性向上とBCP

2018年08月17日更新

約2,300名の従業員が実践する働き方改革
仮想デスクトップの利用で業務継続をスムーズに

ネットワークインテグレーターのネットワンシステムズは、2009年から段階的に働き方改革に取り組んでいる。そのノウハウを紹介すると同時に、東日本大震災が発生した2011年3月当時についても話を聞いた。

マネジメント層からスタートした働き方改革

 ネットワンシステムズは、1988年に設立されたネットワークインテグレーター企業だ。昨今ではネットワークインテグレーターとして培った長年の技術力をもとに、ファシリティ、セキュリティ、プラットフォーム、ユニファイドコラボレーションにわたるソリューションをマルチベンダーで提供している。


 ネットワンシステムズは設立以来、ネットワーク市場の拡大に伴って成長を続けてきた。しかし、成長スピードの速さから課題も生じてきていた。同社 市場開発本部 ICT戦略支援部 ワークスタイル変革チーム マネージャーの手塚千佳氏は、当時の課題を次のように振り返る。

「設立当時はベンチャー企業としてスタートした当社ですが、インターネットが爆発的に普及したことでビジネスが大きく拡大し、従業員数も急速に増加しました。しかし、従業員が増加していたにもかかわらず、働き方が“個人商店型”のベンチャー企業のまま成長してしまい、そこに課題が生じていました」

 一般的にベンチャー企業は、多彩な人材が個人の力でそれぞれのビジネスを牽引しているケースが多く、ネットワンシステムズも例外ではなかった。しかし企業規模が拡大し、顧客からの期待が高まる中で、個人プレーからチームプレーへ、働き方を変えていく必要が出たのだ。

 上記の働き方に危機的意識を持った経営層は、従業員の業務パフォーマンスを上げ、社内全体の生産性を高めるため、働き方改革に着手することを決めた。2009〜2010年にかけてトライアルとして、部長レベルの上層部からPCをシンクライアント端末にリプレースし、仮想デスクトップ環境による業務に切り替えた。

「まずはマネジメント層から運用をスタートしました。また、フロアの一部をフリーアドレス化して、固定席を撤廃しました。固定電話もスマートフォンやフィーチャーフォンに切り替え、段階的な働き方改革を進めました」と手塚氏。

 シンクライアント端末とモバイル端末を導入したことで、外出先でも承認などの作業が行えるようになり、業務のフローがスムーズに進むようになった。また、コミュニケーションツールとして、Web会議システムなどを導入し、離れた相手ともコミュニケーションが取れる環境を整えた。

ネットワンシステムズ 市場開発本部 ICT戦略支援部 ワークスタイル変革チームマネージャー 手塚千佳氏

テレワーク環境の整備が震災後の混乱を防いだ

 同社は2013年5月に、本社を天王洲から現在の千代田区に移転している。この移転を契機に、フロアの一部のみだったフリーアドレスを全社に整備し、仮想デスクトップ環境も全従業員に導入した。

「本格的なツール導入は2013年からでしたが、2011年4月からは働き方改革を正式に全社をあげて進めていこうと動いていました。ちょうどその2ヶ月前となる2011年3月に東日本大震災が発生しましたが、テレワークを行える環境を事前に整備していたため、震災後の余震の危険性や交通網の混乱に従業員が巻き込まれることなく業務を継続できていました」と手塚氏は当時を振り返る。一方、実際に震災を経験したことで、改めて必要なシステムや環境整備を見直せたという。

 2016年度には、ヴイエムウェアのMDM製品「VMware AirWatch」(後継製品:「VMware Workspace ONE」)を導入した。従来からモバイル端末の運用は行っていたものの、よりモバイル端末の業務で利用しやすくしたAirWatchによる管理で、移動中の利便性をさらに向上させた。手塚氏は「例えば当社ではシスコシステムズのWeb会議システム『Cisco Webex Meetings』を利用しており、チャットツールとして『Cisco Webex Teams』を活用しています。チャットなどの簡単なやり取りであれば本ツールを利用して移動中でもスマートフォンでやり取りできますし、2017年度から導入したクラウドストレージ『Box』のデータにアクセスして資料の閲覧や簡単な編集も可能です。同年にMicrosoft Office 365の利用も開始しましたので、メール確認や予定表の参照、ファイルの編集などもしやすくなりました」と利便性を語る。AirWatchによって端末が管理されているため、万が一紛失してもリモートワイプでデータの消去ができ、セキュアな運用が可能だ。

ネットワンシステムズの働き方改革ノウハウを集約した「Innovative Office」。

利便性とセキュリティ性を両立させたテレワーク

 スマートフォンの利便性とセキュリティ性を両立させた運用は、ノートPCの運用にも生かされている。仮想デスクトップ環境の運用により、PCのローカルにデータを残さずに業務を行えるセキュリティ性を担保しつつ、現在では全従業員のPCをBYODで運用している。それぞれ個人のパフォーマンスが最大限に引き出せる端末を選定して、業務を行っているのだ。

「ノートPCやスマートフォンで利用するアプリケーションは、全てシステムから配信されるため、従業員が逐次設定する必要がなくすぐに業務に取り掛かれます。前述したように仮想デスクトップ環境にノートPCからアクセスするため、オフィスにいても自宅にいても、外出先からでも同一の環境で業務が行えます」(手塚氏)

 また、Web会議ツールやチャットツールを有効に活用し、フリーアドレスオフィスであっても従業員間で声をかけやすい環境を整えている。遠隔地のオフィス間でも、Web会議ツールを利用して、スムーズな意思疎通を実現している。

 このような場所にとらわれない働き方や、離れた場所からでもコミュニケーションを取りやすい環境が整備されているため、同社の女性授業員の多くが出産・育児といったライフイベントを経て職場復帰を果たしている。「私自身も子供がいますし、私のチームの12人のうち4人はママ社員です。子供が突然熱を出すこともありますが、仮想デスクトップ環境で自宅からでもオフィスと変わらず業務が行えるため、上長の許可を得ればすぐに在宅勤務に切り替えられます」と手塚氏は語る。

 在宅勤務への切り替えは、台風の接近に伴う交通機関の乱れが見込まれたときなどにも適用できる。もちろん上長の許可は必要になるものの「私のチームですと、『明日は出社しなくていいよ』とリーダーから指示が出されますので、出社しなければならない予定が入っていない限りは全員在宅勤務で作業しています」と手塚氏は笑う。実際、在宅勤務によるテレワークで業務を行ったほうがパフォーマンスがよいケースもあるといい、働き方改革によって効率的な働き方が実現できているという。

① 1 人で業務を行いたい人のためのデスクスペースやテーブルスペースを用意。
②オフィスの至るところでWeb 会議がスタートできる環境を整えている。
③ 6 人がけの大型テーブルが並ぶエリアは、個人業務のほか打ち合わせなどにも適している。

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