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受託開発のノウハウを生かしたクラウド提案とは?

受託開発のノウハウを生かしたクラウド提案とは?

2018年07月23日更新

受託システム開発で培った開発力で
クラウド提案に付加価値を生み出す

クラウドビジネスの良さは、モノを売って終わりではなく、販売するクラウドサービスに、自社で付加価値をつけられる点にある。そのため従来はシステム開発を行っていたSI企業が、クラウドビジネスに参入するケースも少なくない。今回はMicrosoft Office 365(以下、Office 365)やMicrosoft Azure(以下、Azure)の取り扱いをスタートしたことで、ハードウェア販売までビジネスが拡大したアイシーソフトに取材した。

Lesson 1 開発のノウハウを生かしクラウドビジネスに参入

 アイシーソフトは、名古屋城にほど近い愛知県名古屋市中区に本社を置くシステム開発会社だ。2004年に設立し、受託システム開発を中心にビジネスを展開していた同社だが、2015年よりOffice 365で運用できるグループウェア「Taskal Cloud」(タスカルクルー)を開発し、クラウドビジネスをスタートさせた。

 受託開発からクラウドビジネスに参入した背景について、アイシーソフト 代表取締役 鈴木良明氏は次のように語る。「受託開発を行っていた頃から、支社のある東京でSharePointの構築などのマイクロソフトの技術に特化した仕事をスタートさせていました。そのため、マイクロソフトが提供している基盤技術への知見をもった技術者が多く在籍しています。そうした環境に加え、AzureやOffice 365といったクラウドサービスへの注目度が増しており、これらのクラウドサービスを基盤にシステム開発を行うことで、新たなビジネスチャンスが開拓できると考えたためです」

 そこで同社が開発したのが、前述したTaskal Cloudだ。「次世代テンプレート型クラウド」と銘打たれた本製品は、Office 365とAzureを活用したグループウェアで、既存のグループウェアからOffice 365に移行するユーザーがとまどうことなく利用できるよう、工夫を凝らしたUIで使いやすい機能を提供している。

Lesson 2 Office 365を使いやすくするテンプレートを提供

 アイシーソフト クラウドビジネス本部 営業マネージャー 橋澤 聡氏は、企業が抱えるOffice 365に対する不満を次のように語る。「Office 365はビジネスユーザーにとって需要が高いOfficeソフトが利用できることに加え、スケジュール連携やメール、Web会議などグループウェアに搭載されている機能を備えています。しかし、グループウェアではワークフロー管理など、日本の商習慣に根付いた独自機能が提供されており、国産のグループウェアからOffice 365に移行した場合、細部に不満が生じる結果となっていました」

 Taskal Cloudでは、上記の課題を解決するため、Office 365の機能をより使いやすく、直感的に作業できるUIを採用している。それに加え、使い勝手に合わせてカスタマイズ可能なポータルサイトや、組織階層アドレス、ワークフロー管理など、既存のグループウェアに搭載されていた機能を直感的に利用できるように構成されている。

「特に評価が高いのは、スケジュールの見えやすさです。見た目も国産グループウェアのデザインをベースに開発しており、既存のグループウェアからOffice 365に移行したユーザーが、戸惑うことなく利用できることを目指しています」と橋澤氏。

Lesson 3 要望に応じたカスタマイズを実施

 Taskal Cloudは現在Azure上で構築し、運用を行っている。「リリース当時は当社の開発ノウハウを生かし、マイクロソフトのSharePoint上でTaskal Cloudを構築していました。しかし、レスポンスがあまり良くなく、動作が遅くなりがちという欠点がありました。そこで最近、SharePointからAzureへTaskal Cloudを移行し、動作速度の改善を実施しました」と橋澤氏。Azureへのインフラ移管といった大きな変更だけでなく、ユーザーの要望に応じて頻繁にバージョンアップを行い、より使いやすいツールになるよう開発を進めている。

「業種によっては現在のTaskal Cloudでは運用しにくい場合もあるため、個別のカスタマイズに対応するケースもあります。特に企業規模が大きい場合、従業員数が多く、既存の環境から突然Office 365に移行すると反発が大きくなるケースも少なくありません。そのため、別途カスタマイズ費用をいただき、以前利用していたグループウェアのUIに近づけるといったカスタマイズなども実施しています」(鈴木氏)

 カスタマイズのみならず、保守サポートや教育マニュアルの提供、管理者教育など、Taskal Cloudにプラスアルファのサービスを提供することで、新たに利益を獲得している。「ライセンス販売だけでなく、Taskal Cloudをベースにしたシステム開発や保守サポート等のコンサルティングビジネスも手がけていることで、受託開発よりもクラウドビジネスのほうが単価が高くなっています」と橋澤氏。1から開発するシステム開発と比較して、予めテンプレートとして使えるTaskal Cloudを用意していることで、開発コストを抑えながら顧客から高い満足度を獲得できているのだ。

Lesson 4 ライセンスからハードウェア販売まで拡大するビジネスチャンス

「実はクラウドビジネスをスタートしたことで、ハードウェアの販売も手がけるようになったのです」と鈴木氏。Taskal Cloudの提案を行う中で、クラウドサービスの導入と同時に携帯しやすいモバイルPCが欲しいと要望される場合があるのだという。アイシーソフトはOffice 365などのライセンスをDISから仕入れているため、このようなハードウェアについても仕入れやすい環境が整っている。

 同社では今後Azureの販売にも力を入れていく方針で、2018年4月1日にはAzure上で開発した顔認証による出退勤システム「Taskal Time-Card」をリリースしている。現在はタブレットを設置して、そのカメラに従業員が顔を向けて認証することで、出退勤のログを取得する仕組みのシステムだが、今後の開発によって動画カメラからこれらの記録を取得するシステムを実装していきたい考えだ。

 また、情報システム部門がWebアプリケーションをAzure上で簡単に開発できる「MUKABA」(ムカバ)のリリースも予定しており、現在開発を進めている。「情報システム部門が必要なWebアプリケーションを簡単に作れることにより、Azureを手軽に活用してもらえるようになると考えています。ユーザー企業自身が開発ができる環境を提供するというのは自らの首を締めているような気もしますが、簡単なシステムを自社で作っていただいて、実際に本格的なシステムで運用してみたいとなったとき当社にお声がけいただけたら、クラウドとシステム開発の両側面からビジネスを拡大できるようになると考えています」と鈴木氏は今後の展望を語った。

本日の講師
(左)アイシーソフト 代表取締役 鈴木良明 氏
(右)アイシーソフト クラウドビジネス本部 営業マネージャー 橋澤 聡 氏

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