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米デル VR/AR担当者が語るデルのVR戦略

米デル VR/AR担当者が語るデルのVR戦略

2018年07月02日更新

VR Readyモバイルワークステーションを刷新
デルのVR市場の取り組みと国内施策

Virtual/Augmented Reality

 デルは6月12日、同社の17インチと15インチのモバイルワークステーション「Precision 7730」「Precision 7530」の販売を開始した。筐体を一新し、前世代製品よりも約15%の小型化を実現。第8世代のインテル Core iプロセッサーやXeonプロセッサーの搭載が可能だ。NVIDIA Quadro P3200の採用でVR Ready構成にも対応する。

 製品の発売に合わせて来日したDell ワークステーション・VR/AR担当ディレクターのGary Radburn氏はVRやARについて、「産業界で投資対効果をあげ始めている」と話す。IDCの調べによると、2018年の世界のAR/VR市場の出荷台数は前年比48.5%増の1242万台、2022年には6894万台に達すると予測している。2017年〜2021年のAR/VRヘッドセット市場の年間平均成長率は52.5%だ。法人市場においては、2016年に出荷台数が184万台だったVRヘッドセットは、2021年には1810万台へ成長すると予測している。

 Radburn氏はVRやARの産業界での利用例として、次のようなケースを挙げる。

・オイル&ガス
トレーニング、シミュレーション、3Dプレゼンテーションなど

・メディア&エンターテインメント
広告、PR、ゲームコンテンツなど

・開発&製造
デザイン、視覚化、コラボレーション、トレーニング

・ヘルスケア
インタラクティブな教育、治療、手術計画、トレーニング

Dell VR/AR担当ディレクター Gary Radburn氏

エモーショナルコネクションを実現

 例えば、自動車メーカーのジャガー・ランドローバーは、デルのPrecisionを利用したVR環境を構築して、新製品開発や新製品の発表会を行った。

「新製品開発では、遠隔地にいるデザイナー同士がHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の装着によってVR空間を共有し、VR空間内でデザインを進めるような試みが行われました。VRを利用することで、遠隔地にいるデザイナー同士が会議のために集まる時間や費用を抑えられるのです。2016年に行われた新製品発表会では、ロサンゼルスとロンドンに集まった66名の記者にHMDを装着してもらって新製品のインタラクティブなデモなどを同時に体験してもらいました。VRによって“エモーショナルコネクション”が実現し、より強いインパクトを与えられるのです。ジャガー・ランドローバーが、2016年に引き続いて2017年もVRを活用した発表会を行っていることが、成功の証です」(Radburn氏)

 メンタルヘルスの分野では、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療にVRが活用されているという。VR空間内でトラウマの現象を再現して、PTSDを克服するような試みが進められているのだ。メディカルの分野では、ARのヘッドセットとデルのデジタルキャンバス「Dell Canvas」を組み合わせて、手術のシミュレーションなどへの利用が開始されている。「複数の医師がCTのスキャン結果をARヘッドセット上で同時に確認したり、手術のシミュレーションによって成功率を向上させたりしています」(Radburn氏)

 ロサンゼルスでは、労働人口の高齢化などに対応するためにARが活用されている。ARによるトレーニング環境の整備で、技術習得や技術伝承の期間を短縮する試みが実施されているのだ。「ARを利用し、熟練工が新人をトレーニングすることで、従来よりも新人の技術習得の期間を短くできるのです」とRadburn氏はそのメリットを説明する。 

国内でVR研究会を発足

 ユーザーのVR体験を向上させるためにデルが取り組んでいるのは、システム全体におけるVR環境の最適化だ。「ベンチマークの数値だけでなく、実際にエンジニアが体験した上でシステム全体がVR Readyとして適しているかどうかを判断しています。デルは、VRにおけるプレミアムエクスペリエンスを目指しているのです」(Radburn氏)

 VRやARの市場開拓はデルだけで実現できるわけではない。「VRなどで利用するコンテンツは、パートナーに制作していただく必要があります。当社では優れたパートナーと協業して、VRやAR市場におけるビジネスを進展させていきます」(Radburn氏)

 日本においても、デルは製品の提供だけでなく、市場を開拓するための施策を講じている。それが今年3月に発表された「VR研究会」の発足だ。産業向けのVRの普及推進のため、エヌビディアなどとともに立ち上げたのだ。デル 最高技術責任者 黒田晴彦氏は次のように語る。「パートナーやユーザーをつないだ情報共有や意見交換などが行える場です。VRの利用や提案方法に迷っているユーザーやパートナー双方にメリットがある研究会となります」

 同研究会では、VR関連の情報共有、製品の動作検証、技術情報の発信、セミナーやイベントの開催、導入事例の発表などが行われる。デルは、VR研究会を通じたVR分野における共同検証やサービス開発による情報発信で、産業向けVR市場を開拓するとともに、ユーザーが安心して利用できるサービスやソリューション、インフラの提供を目指す。

「コンテンツクリエイター、SIer、ディストリビューター、ISV、デバイスベンダー、ユーザー企業、関連団体などに幅広く参加していただいて、VR市場を盛り上げていきたいですね」と黒田氏は期待を語る。

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