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校務支援システムの調達テクニック検証やアドバイザー派遣を実施

校務支援システムの調達テクニック検証やアドバイザー派遣を実施

2018年06月12日更新

多忙な教員の校務負担を低減するため
統合型校務支援システムの実証事業を実施

文部科学省が実施した事業は、プログラミング教育に加えて、情報活用能力の育成や遠隔教育、校務支援、情報モラル教育など多岐にわたる。本項ではその2017年度の成果と2018年度の方向性を解説する。

情報活用能力育成とその効果測定を検証

 次世代の教育情報化推進事業では、情報活用能力の育成に関わる事業も実施している。2017年度「情報教育の推進に関する調査研究」を担当した文部科学省 生涯学習政策局情報教育課 池浦一寛氏は次のように語る。「新学習指導要領の実現を見据え、推進校を指定し、教科等横断的な情報活用能力の育成に係るカリキュラムマネジメントの在り方や、主体的・対話的で深い学びを実現するICTを効果的に活用した指導方法の開発のための実践的な研究を実施したのが本調査研究です」

 具体的には、カリキュラムマネジメント事例の創出として、情報教育推進校(IE-School)を21自治体、主体的・対話的な学びを実現する指導事例開発としてICT活用推進校(ICT-School)が5自治体採択され、調査研究が実施された。これらの調査研究については2018年度も継続して行う。

 また2018年度の調査においては、情報活用能力を育成するにあたり、その能力が本当に児童生徒に身についているのかを検証する必要があることから、2020年度以降の全国調査に向けて、情報活用能力検証の問題作り等も進めていく。「現在議論中ではありますが、子供たちが授業でICT機器を活用することで健康面に生じる影響などについても検証していきます。電子黒板やデスクトップPCなど、視力への刺激も大きいので、ICT機器を活用することでどういった影響が身体に生じるかを検証し、次年度以降にどのように取り組んでいくか議論していきます」と池浦氏は語った。

教員の校務負担低減を実現するシステム実証をスタート

「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業」(2017年度)を担当した文部科学省 生涯学習政策局 学習情報係長 窪田 徹氏は「本事業は2015年度から2017年度まで二つの実証研究を行いました。一つ目が『学校教育におけるICTを活用した実証研究』、二つ目が『社会教育におけるICTを活用した実証研究』です」と事業内容について説明する。学校現場に関わりがあるのは一つ目の学校教育におけるICTを活用した実証研究であり、端的に表現すると遠隔教育の実証研究のことだ。

 学校教育におけるICTを活用した実証研究では、学校統廃合の困難な小規模学校に対して、ICTを活用して他の学校と結び、児童生徒同士の学び合い体験を通じた学習活動の充実などを図った。取り組みの成果として、年間を通してICTを活用した合同学習などの指導方法の開発や、効果の検証ができたため、2018年度の「学校ICT環境整備促進実証研究事業」においては多様性のある学習環境や、専門性の高い授業の実現など、児童生徒の学びの質の向上を図る「遠隔教育システム導入実証研究事業」を行うことが決まった。

 2018年度の遠隔教育システムの実証事業は、小規模校に限定せず、多様な環境での遠隔教育を実施していく予定だ。具体的には、ALT(外国語指導助手)を活用した外国語指導や、特別な配慮を必要とする児童生徒へのきめ細やかな指導の充実などにおいての実証を行う。

「学校ICT環境整備促進実証事業」では2018年度から新たに「統合型校務支援システム導入実証研究事業」がスタートしている。本事業は、教員の業務負担軽減およびそれを通じた教育の質の向上を図る観点から、学校における校務の情報化を効率的に進めるため、都道府県単位での統合校務支援システムの共同調達・運用の促進に係る実証事業だ。なお、2017年度はすでに統合型校務支援システムを導入している自治体に調査を行い、勤務時間削減の効果などをとりまとめたという。「小規模自治体の負担も踏まえながら2018年度の本実証事業では、統合型校務支援システムを導入していない自治体に対して、いかに導入させていくかといった調達テクニックや、校務を効率化させていくための効果的な使い方などを検証していきます」と窪田氏は語る。

 これら統合型校務支援システムは自治体が主導して導入を進める事業だ。しかし自治体によってはICT環境に課題を持っており、それによって校務支援システムなどの導入・運用等がうまくいかない場合もある。そうした自治体に対して、アドバイザーを派遣する事業が「ICT活用教育アドバイザー派遣事業」だ。2015年度からスタートしている事業で、ICT環境の整備を図ろうとする自治体のニーズに応じてアドバイザーを派遣し、ICTを活用した教育の推進計画や、ICT機器整備計画の策定について助言を行っている。

 本事業を担当する文部科学省生涯学習政策局 情報教育課 庶務係 宇佐美大輔氏は「ICTを活用した教育の効果検証や、実態に応じた調達手法などを検証、アドバイスを行っています。毎年採択した自治体にアドバイスを実施しており、環境整備が上向いていくきっかけづくりにもなっています」と語る。本事業は2018年度も継続して実施され、自治体ごとのICT環境整備のサポートを進めていく方針だ。

 自治体のICT環境整備にまつわる予算は、地方財政でまかなわれる。派遣されるアドバイザーはICT教育に精通した教育委員会担当者や大学の教授などが中心となっており、自治体や学校現場に求められるICTシステムや導入方法等のアドバイスを実施する。

「学校現場のICT環境整備状況についても、毎年調査を実施しています。都道府県、市区町村別にグラフにし、Webページ上で公開しています。近隣市区町村の整備状況などが分かるため、周辺自治体と比較した自身の自治体のICT環境整備状況を客観的に知ることが可能です」と宇佐美氏。

(左)文部科学省 池浦一寛氏
(右)文部科学省 窪田 徹氏

情報モラル教育の推進で子供たちをトラブルから守る

 近年、子供たちにスマートフォンが急速に普及したことなどに伴って、インターネットに関連するトラブルが頻発している。そうしたトラブルを未然に防ぐためにも、情報モラル教育を推進していく必要がある。そこで、情報モラル教育に関する教員の指導力向上を図り、児童生徒の情報モラルの向上、およびICT機器の適切な利活用を推進することを目的とした「情報モラル教育推進事業」が実施されている。

 文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 情報教育振興室 専門職 村中田博氏は次のように振り返る。「2017年度は、都道府県および市区町村教育委員会の指導主事等を対象にした情報モラル教育指導者セミナー、小学校・中学校・高等学校等の教員を対象にした情報モラル教育推進フォーラムの開催、また、児童生徒向け啓発資料の作成、配布を行いました」フォーラムやセミナーに参加した指導主事や教員の反応もよく、学校現場で指導する上でも役立てられそうだったという。

 2018年度も情報モラル教育推進事業は継続して実施され、「情報モラル教育の推進に係る指導資料の改善」を新たに行う。これは2015年に作成した情報モラル教育の指導資料について、新学習指導要領に対応した改訂を実施するとともに、児童生徒を取り巻くインターネット環境の変化やそれらの利用に伴うトラブルや犯罪被害等の最新の状況・動向も踏まえて内容の改善・充実を図るものだ。

 新学習指導要領では、従前に引き続き情報モラルの育成を重視し、学習指導要領解説においては、インターネット利用に伴う犯罪被害の防止の必要性や、児童生徒の発達段階に応じて情報や情報技術の特性についての理解に基づく情報モラルを身に付けさせることを強調している。これらの内容を踏まえた指導資料の改善を進めていく方針だ。

(左)文部科学省 宇佐美大輔氏
(右)文部科学省 村中田博氏

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