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プログラミング教育普及推進に向けた情報発信を進める

プログラミング教育普及推進に向けた情報発信を進める

2018年06月11日更新

文教プロジェクトの昨年度の成果とこれからの方向性

教育の情報化は従来から推進されてきたが、ここ数年はプログラミング教育の必修化や電子黒板の普及など、さらに進んできている。そうした中で、文部科学省と総務省は2017年度どのような事業を行い、どのような成果を得たのか。2018年度の事業予定も含めて解説していく。

官民が連携して推進するプログラミング教育
指導事例の創出と位置づけの明示が普及の要に

教育の情報化と一口に言っても、プログラミング教育からタブレットの導入、コンピューター教室の整備まで幅広い。本項では教育の情報化の歴史と、今最も注目を集めるプログラミング教育について、文部科学省の昨年度事業概要に基づき紹介する。

段階的に進められる教育の情報化

 教育の情報化が進められている。さかのぼれば文部科学省の臨時教育審議第1次答申(1985年6月)においてその重要性が指摘されており、特に同審議会第2次答申(1986年4月)では、情報および情報手段を主体的に選択し、活用していくための個人の基礎的な資質が、読み、書き、そろばんに並ぶ基礎・基本と位置づけられているなど、情報教育の重要性とともに、ICT環境に関する条件整備の必要性が指摘されていた。

 しかし、必要性が指摘されていたものの、教育の情報化については、国家戦略等に掲げられた政府目標を十分達成するに至っていなかった。そうした中、2020年度に向けた教育の情報化に関する総合的な推進方策として2011年4月にとりまとめられたのが「教育の情報化ビジョン」だ。教育の情報化ビジョンでは、21世紀を生きる子供たちに求められる力を育むため、「情報教育」「教科指導における情報通信技術の活用」「校務の情報化」の三つの柱を打ち出した。

 また、第2期教育振興基本計画(2013年6月14日閣議決定)をもとに発表された「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」では、教育用コンピューター1台あたりの児童生徒数3.6人、電子黒板・実物投影機の整備1学級あたり1台、超高速インターネット接続率および無線LAN稼働率100%、校務用コンピューター教員1人1台といった水準の目標が掲げられていた。

 上記のように、学校現場のICT環境整備は段階的に進められており、2017年12月に発表された「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018〜2022年度)」では、これまでの活用状況や、新学習指導要領におけるプログラミング教育必修化などの背景を踏まえて、学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度整備、指導者用コンピューターを授業を担任する教師1人1台整備するといった整備目標を発表している。また、教育のIT化に向けた環境整備4か年計画においては数値として明確に言及されていなかったICT支援員を4校に1人配置するよう記載されているなど、実際に運用した場合の課題を踏まえた新たな水準も盛り込まれている。

文部科学省 相川修二氏

授業におけるプログラミング教育の位置づけを明示

 このように、政府が取り組む教育の情報化は、整備計画や年度ごとに実施する事業内容を踏まえて、段階的に広まりつつある。文部科学省では特に教育の情報化における実証事業等を中心に行っており、実際に教育現場で目的とする効果を上げるためにはどのような取り組みが必要となるか、といった教育効果の検証を実施している。それでは、文部科学省が2017年度に実施した教育の情報化に関わる事業の成果はどのようなものだったのだろうか。

「次世代の教育情報化推進事業」のプログラミング教育に関わる事業を担当している文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 情報教育振興室 情報教育推進係長 相川修二氏は次のように語る。「次世代の教育情報化推進事業は、全国の小・中・高等学校において新学習指導要領の趣旨を踏まえ、すべての学習の基盤となる『情報活用能力』の育成に取り組めるよう、優れた指導事例の創出・普及や教員研修用教材の開発などの支援策を講じるものです。特に2017年度は、同年3月31日に公示された新学習指導要領において新たに必修化された小学校におけるプログラミング教育を普及推進させていくため、情報発信や手引の作成等を実施しました」

 具体的には、小学校におけるプログラミング教育必修を浸透させていくための情報発信や、「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」を2018年3月に公表し、各学校の教員がプログラミング教育を導入するにあたって、小学校プログラミング教育の狙いと位置づけをわかりやすく明示するとともに、初めてプログラミング教育に取り組む教員でも無理なく取り組めるような、具体的な教科などでの指導例を掲載している。

総務省と連携し具体的指導例を創出

「同手引において小学校におけるプログラミング教育の必要性やその意義などをわかりやすく解説し、周知徹底を図っています」と相川氏は語る。また2018年度においては、次世代の教育情報化推進事業内において、「小学校プログラミング教育支援推進事業」を新規に立ち上げ、小学校プログラミング教育の円滑な実施に向けて、以下の事業を実施する。

①全国の小学校のおいて参考となる、新学習指導要領の趣旨を踏まえたプログラミング教育の指導事例(GP)の創出と普及
②各小学校の校内研修において活用できるわかりやすい教員研修用教材(映像教材やeラーニング教材)開発・提供や、地域の研修リーダーとなる教員等を対象としたセミナーの実施

 特に注目したいのが、①のプログラミング教育の指導事例創出だ。学校現場の教員の中にはプログラミング教育をイメージできない教員も多くいる。そうした教員に対して2018年度は国が示す指導事例を創出していき、プログラミング教育の普及を推進していくのだ。今後は、文部科学省、総務省、経済産業省の3省と、民間企業が官民協働で取り組んでいる「未来の学びコンソーシアム」とも連携し、手引きに示した指導事例を踏まえた、より具体的な実践事例などについて情報提供するとともに、小学校プログラミング教育の手引の内容についても適時更新を進めていくという。

 特に総務省は、2016〜2017年度にわたって「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」を実施しており、プログラミング教育のノウハウの蓄積がある。「学校だけでプログラミング教育を学んでいくには授業時間数の限りがあるため、学校外でプログラミングについて学べる総務省の事業と連携し、未来の学びコンソーシアムで情報発信を続けていきたいですね」と相川氏は語った。

▲官民連携で取り組む「未来の学びコンソーシアム」のWebサイト。プログラミング教育の具体的な指導事例などを配信している。

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