
Apple Pencilへの対応で提案の幅が広がった「9.7インチiPad」
驚くほど高速なiPadが手頃な価格に
9.7インチiPad
初代のiPadが登場したのは2010年。iPhoneの使い勝手をタブレットに結実したiPadは、発売と同時にヒット商品になった。そのiPadの最新モデルが、4K動画も編集できる高性能で手頃な価格で登場した。新しいiPadは、8年前を彷彿とさせる人気を広げるのか。最新のビジネス事例や周辺デバイスと合わせてレビューする。
優れたコストパフォーマンスで進化
今回の新製品で第6世代になる新型iPadは、iPhone 7に搭載されている64ビットアーキテクチャのA10 Fusionチップを搭載している。4Kビデオの編集や最新のAR(拡張現実)アプリも体験できる高性能な設計になっている。一世代前のiPad Proを凌駕する性能を実現して、価格は従来モデルと変わらないので、コストパフォーマンスはかなり高い。これまでビジネスにiPadを活用してきた現場はもとより、まだタブレットの活用が進んでいない市場でも、新型iPadならば提案力がある。
そんなタブレットの王道となるiPadは、iOS 11によってアプリの使い勝手も向上している。何よりも大きなポイントは、複数のアプリを並列して表示できるマルチウインドウの実現にある。マルチウインドウを活用すると、動画を再生しながらメールをチェックしたり、Webブラウザーで資料を開いて、レポートを書くといった複数のタスクを手早くこなせるようになるのだ。
個人的には、iOS 11によって強化された数々の新機能やユーザーインターフェースは、iPhoneよりもiPadで利用すると便利さを実感できると思う。それほど、iOSはタブレットの使い勝手の向上に合わせて進化している。そのiOSの進化を優れたコストパフォーマンスで利用できる最新タブレットが、今回の新型iPadになる。
Apple Pencilに対応
新型iPadは、これまでProシリーズでしか使えなかったApple Pencilに対応し、ペンによる入力や編集が楽しめるようになった。それは、単にお絵かきや手書き文字で使えるだけではなく、電子カルテや点検シートなど、ビジネスにペンの利便性をもたらす。すでに、iPad Proでは数多くのビジネス事例があるApple Pencilだが、今後は新型iPadでも同様の提案が可能になる。
Apple Pencilの使い勝手だが、限りなく実際の筆記具に近い操作性を追求している。ペン先の反応が優れているので、紙に鉛筆で文字や絵を描くような繊細なタッチを味わえる。セットアップも極めて簡単で、Apple Pencilのキャップを外してLightningコネクターをiPadに差すだけでいい。それだけで、iPadとのペアリングは完了し、メモやKeynote、描画アプリでペンが使えるようになる。
フル充電で12時間の連続利用に対応するので、作業の途中でバッテリーが途切れる心配も少ない。実際に、Apple Pencilを手に取ると、それが電子ペンであるという感じはしない。軽くて手に馴染む質感は、上質な筆記具を使っているような気にさせる。紙と鉛筆のような感覚は、まさに教育市場に適しているが、ビジネスの市場にも新たな「手書きソリューション」をもたらしてくれるはずだ。
なぜなら、Apple Pencilの利用だけは、これまでiPad Proに限られていたからだ。そのため、導入の敷居が少し高かった。それが新型iPadで対応したことにより、ビジネスから教育まで幅広い市場に、優れたコストパフォーマンスで提案できるようになる。特に文教市場ではペンの需要が期待される。小学校の低学年からでも、ペンが利用できれば授業でiPadを活用する幅が広がる。
一方で、ARにも対応した高性能な処理能力は、教育用アプリの活用の可能性も拡大させる。例えば、生物学では人体モデルのような模型の導入にはコストがかかるが、ARならば生徒が自由に3Dモデルを探索できる。また、文教市場だけではなく、企業のトレーニングツールとしてもARの効果は期待できる。こうした現場で、新型iPadは活躍できるだろう。
8年前から変わらない基本設計が肝
初代iPadから最新の第6世代iPadに至るまで、Appleのタブレットは一貫して変わらない基本設計を貫いてきた。その基本は、大きくて見やすい画面に、すべての作業の起点となるホームボタンの存在、そして、電源と音量、サイレントモードなどへの切り替えスイッチというシンプルなボタン配置と、スピーカーとイヤホンジャックだ。
ハードウェアの基本設計を比較すると、第5世代と第6世代では、画面の解像度やサイズに違いはない。こうしたシンプルで分かりやすい基本設計と、直感的に理解できるUIを実現したiOSの組み合わせで、初めてiPadを手にした人でも、さまざまなアプリを使いこなせる。また、どの世代のiPadを使っていても、ユーザーは戸惑うことなく新しいモデルを活用できる。それは、教育や業務で使うデバイスとして、とても優れた設計思想だ。さらに、アプリの利用も業務に合わせてインストールする内容を自由にカスタマイズできるので、iPadを業務の専用端末としても活用できる。
新型iPadの最大の提案ポイントはApple Pencilの利用にあるが、それ以外にサードパーティー製のBluetoothデバイスも商材として期待できる。特にBluetoothキーボードは、iPadの入力デバイスとして、とても重宝する。メールやリポートに見積もりや企画書など、仕事で使うデバイスでは文字や数字を入力することが多いからだ。
新型iPadには、iPad ProのようなSmart Keyboardは用意されていないが、その代わりに保護ケースとしても利用できるBluetooth Keyboardが数多く揃っている。Bluetoothデバイスというと充電を心配しなければならないと思いがちだが、中にはコイン型電池で4年間の利用が保証されている製品もある。こうした多機能なBluetoothデバイスを組み合わせてiPadを活用すれば、ビジネスの用途も広がる。
スマートフォンの大画面化で、タブレットを使う人が減ってきたという意見もある。だが、ノートPCに代わるモバイルデバイスとして高性能な処理と機動性や、ペンやキーボード活用といった魅力を備えた新型iPadは、ビジネスから教育、さらにはエンターテインメントまで、個人で持ち歩く1台として訴求力に溢れたガジェットと言えよう。
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