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アフターフォローから継続的ビジネスにつながる

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2018年05月18日更新

IT導入補助金交付にあたっての加点条件とは

ITツールを導入してユーザー企業の生産性を向上させるためには、まず交付申請を採択してもらう必要がある。本項では採択にあたっての加点条件や、業種ごとの導入実績、そしてIT導入補助事業者としてサポートすることで生まれるビジネスチャンスを解説する。

IT導入補助金交付にあたっての加点条件とは

 交付申請にあたっての加点条件として、後藤氏は「『おもてなし規格認証』や『地域未来牽引企業』といった経済産業省が主導する認定を取得している企業に対しては加点されます。また、経済産業省が公開している企業の経営状態を把握するための経営診断ツール『ローカルベンチマーク』による診断結果をもとに、自社の強みや弱みを分析して、その弱い部分にITツールを導入していこうとする姿勢がある企業に対しては、今回のIT導入補助事業に対しての適応性が高いため加点要素になっています」と話す。また、今年度からIT導入補助金を受ける企業は「SECURITY ACTION」の一つ星以上の宣言をすることが必須条件になっている。SECURITY ACTIONとはIPAが実施しているセキュリティ対策自己宣言の取り組みで、中小企業自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度だ。一つ星ロゴマークを使用するには、中小企業の「情報セキュリティ対策ガイドライン」(https://www.ipa.go.jp/files/000055520.pdf)付録の「情報セキュリティ5か条」(https://www.ipa.go.jp/files/000055516.pdf)に取り組み、宣誓するだけでよい。

 交付申請は、IT導入補助金のホームページから申し込める。「昨年度から完全電子申請に変更しましたので、全てのやり取りを電子データで行います。また、交付決定までの期間をできる限り短く設定しており、補助事業者の生産性向上に必要なITツールをできるだけ早く導入し、生産性を向上できるよう努めています」と後藤氏。

 それでは、実際にIT導入補助金の対象となるITツールとはどのような製品なのか。具体的に見ていこう。

 前述したように、IT導入補助金対象となるITツールは「ソフトウェア製品/クラウドサービス」「オプション」「役務」の三つの区分から構成される。このうち、「ソフトウェア/クラウドサービス」の導入は必須であり、「オプション」および「役務」の導入は任意だ。これら三つの区分は、以下のような内訳となる。

■ソフトウェア製品/クラウドサービス
オンプレミス製品、クラウドサービスの他、ホームページ制作費用(社外・社内向け)が含まれる。

■オプション
ソフトウェア製品/クラウドサービスの導入に伴い必要となるオプション製品。機能拡張品やデータ連携ソフト、ホームページ利用料などが含まれる。

■役務
ソフトウェア製品/クラウドサービスの導入に伴い必要となる役務。保守サポート費(上限1年)や導入設定、業務コンサルテーション、導入研修などが含まれる。

昨年度導入実績から見る補助金利用の効果

 例えばIT導入補助金を利用して、現在ホームページを有していない企業が新しくホームページを制作する場合、ITツールとして登録されているホームページ制作受託サービスなどを選択し、オプションでホームページ利用料やクラウド年間利用料、役務でセキュリティ対策や保守・サポート費を含めた費用を、IT導入補助金として申請可能だ。なおクラウドサービスは1年分の利用料のみが申請の対象となるので注意したい。

 具体的な業種別で見てみると、飲食サービス業であれば顧客管理システム、卸売業・小売業であれば在庫管理システム、保育・介護事業であればコミュニケーションツールの新規導入といったように、企業の課題に合わせたITツールの導入が可能だ。実際昨年度のサービス産業主要7業種における導入例を見てみると、飲食・サービス、保育、医療、介護などスタッフ間でのコミュニケーションが求められる業種についてはコミュニケーションツールの導入が最も多かった。宿泊では顧客管理、卸・小売では販売・店頭、運輸では原価管理・業務管理といった、業種ごとの課題を解決する業務機能を有したITツールの導入がトップとなった。

 実際飲食業で原価管理・業務管理および給与の業務を担うITツールを導入したユーザー企業では、店舗の原価率を見える化したことで、原価率の高さが可視化され、仕入れ価格の削減に努めるといった経営体質改善を図れたという。また従来は手書きで実施していた給与計算もITツールを導入したことで、半日から1時間と大幅な時間削減を実現できたという。ある介護・福祉業のユーザー企業は、IT導入補助金をきっかけに事業計画書を作成したことで、自社の課題を発見でき、生産性向上に向けて全社員の意識改革に取り組むきっかけになったという。

「労働生産性を上げるためにはITツールの導入など、新しい取り組みが不可欠です。しかし、従来はコスト面の課題などで新しい取り組みをためらっていた企業が多く、その課題を解決する手段として、IT導入補助金を積極的に活用してもらえたらと考えています。しかし、ITツールを導入することで、企業が抱えている課題全てが解決できるとは考えていません。特に自社が抱えている課題や、その課題解決に最適なITツールなどは補助事業者である中小企業や小規模事業者だけでは知ることができません。そのためにIT導入支援事業者の手助けが不可欠であり、足並みをそろえて二人三脚で歩んでもらえたらと考えています」と後藤氏。

中小企業の生産性向上をサポートする販売店の役割

 昨年度のIT導入補助事業において、補助金を受けた企業についても、機能がバッティングしないソフトウェアやサービスであれば、今年度も新たに補助金が受けられる。「例えば昨年度はミドル業務とバックオフィス業務をサポートするためのITツールを導入したので、今年度はそれらのツールをつなぐフロント業務をサポートするITツールを導入する、といった用途にも補助金を活用できます。しかし、段階的にITツールを導入していく手段として補助金を利用するのではなく、昨年度の導入によって向上させた生産性を、今年度さらに向上させていくために補助金申請をしてほしいですね」(後藤氏)

 ユーザー企業が経営課題を解決するためにITツールを導入する予算を一部負担できるIT導入補助金。ITツールの新規導入を促す効果があるため、販売店にとっては大きなビジネスチャンスとなる。加えて、本事業は後藤氏が語ったように、1年間の事業終了後も5年間にわたって導入先のユーザー企業の生産性向上等に関する情報を事務局に報告する必要がある。これは一見IT導入支援事業者である販売店にとって負担であるように感じるかも知れないが、裏を返せばユーザー企業と5年間継続的な付き合いが確約されているということに他ならない。継続的にユーザー企業に対して生産性向上についてのヒアリングを実施できる環境が整えば、ユーザー企業が抱える新たな業務課題も見えてくるはずだ。その業務課題を解決するITツールを継続的に提案すれば、アフターフォローだけにとどまらない継続的なビジネスが実現できる。

 後藤氏は「IT導入補助金は、あくまで中小企業や小規模事業者のビジネスを支援する事業です。生産性を向上させるのは事業者ごとの創意工夫が必要であるため、そのサポートとしてIT導入支援事業者の存在は必須なのです。そのサポートを、ITツールの販売提案のノウハウを持つ販売店に、ぜひお願いしたいと考えています」と締めくくった。

 IT導入補助金のホームページでは、今後、事業効率化・売り上げアップに向けたコンテンツを順次公開していく予定だ。まずはIT導入支援事業者の申し込みからスタートしてみてはいかがだろうか。

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