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キングジムの「トレネ」でPCの置き引きを防止

キングジムの「トレネ」でPCの置き引きを防止

2018年05月22日更新

カフェやシェアオフィスでの置き引きを防止

トレネ

クラウドファンディングで目標金額の約10倍を集めて話題になった最新ガジェットが、キングジムの「トレネ」だ。「盗れねぇ」からネーミングされたモニタリングアラームのトレネは、カフェやシェアオフィスで活躍するノマドワーカーにとって、頼れる盗難防止グッズとなる。

振動を検知してアラーム音と光で警告

 トレネの使い方はとても簡単だ。電源を入れたらスマートフォンに専用アプリをインストールして、ペアリングを設定する。ペアリングが完了すると、アプリでトレネが反応する距離と動きを変更できる。

 距離の設定では、どのくらい離れたら見守りを開始するか指定できる。動きの設定では、振動を検知する度合いを3段階で調節できる。レベル1では、自宅やオフィスなど振動が少ない場所になり、レベル2がカフェやレストランのように少し動きのある場所となる。そしてレベル3では、新幹線の中のように振動の多い場所になる。推奨レベルは2となっているが、ユーザーの使い方に合わせて調整できるので便利だ。

 距離と動きを設定したら、あとはトレネをノートPCの上に置いてスマートフォンを持って離席すればいい。見守り開始後にトレネに予期しない振動が加わると、LEDを赤く点灯させてアラーム音を鳴らすことができる。その結果、トレネの周囲にいる人たちが注目して、ノートPCなどの持ち去りを防止できる。カフェなどでは周囲の人たちの善意に支えられている部分は多いが、わずか数分の離席でも、トレネがあるかないかでノートPCの安全には大きな差が出る。

 カフェだけではなく、新幹線などでのトレネ効果も大きい。走行中は持ち物を盗られる心配は低いとしても、やはりノートPCを置いたままで離席するのは不安になる。そんなときに、トレネがあると心強い。さらに、シェアオフィスなどでも利用価値は高い。

トイレ時にノートPCを席に置いていくのが不安

 トレネが誕生した背景には、キングジムの開発本部に所属する渡部純平氏の経験がある。カフェなどで仕事をする機会の多かった渡部氏は、ノートPCを使っている途中でトイレに行くのが悩みの種だったという。日本は治安が良い国ではあっても、高価なノートPCを離席時にテーブルに置いたままにするのは、やはり不安があったのだ。それがストレスになって、落ち着いてカフェで仕事に集中できないこともたびたびあった。そこで、自分に代わってノートPCを見守ってくれるガジェットがあれば、多くのノマドワーカーにも受け入れてもらえるのではないか、という着想でトレネの開発をスタートさせた。

 キングジムでは、開発担当者がプロダクトの企画から最終的な販売プロモーションまで、すべてを一貫してマネジメントする。そのおかげで、完成した製品には開発担当者の思いの丈が詰まっている。例えば、トレネのユニークな形状には、渡部氏の強いこだわりがある。その最大のポイントは美しさ。ノートPCの上に置いたときに、違和感なく存在する形や質感にこだわっている。

 着想は、道路などで注意を喚起する赤い円錐状の「カラーコーン」にあるという。トレネは、カフェのテーブルに置いたノートPCの上に乗せたときに、周囲に存在感を示しながら美しく映えるようにデザインされている。実際の製品がコーンの形ではなく、先端が切り落とされた形状になったのは、LEDのライトをしっかり見せるためと、コンパクトさを重視したからだ。

 警告音がしっかり鳴り響くように、本体の下部には複数の穴が開けられていて、一カ所を指で抑えても、音が消えないように工夫されている。さらに、主電源はボールペンの先などを使わないと切れないようになっている。こうしたこだわりの設計が高く評価されて、クラウドファンディングの募集では3時間で目標金額を達成した。

見守り時はオレンジ、アラーム時は赤く点灯させて、周囲に異常を知らせる。

コワーキングスペースの付加価値にもなる

 企画の段階から個人での利用を想定してきたトレネだが、ビジネスとしての提案も考えられる。それは、コワーキングスペースなどでサービスの付加価値としてトレネを貸し出すビジネスモデルだ。会員制のコワーキングスペースであっても、やはりノートPCなどを置いたままでの離席は、利用者も不安になる。そんなときにトレネがあれば、大きな安心につながる。そのトレネを貸し出すサービスをコワーキングスペースを運営する事業者の付加価値として提案すれば、まとまった商材になる。同じように、カフェなどでもフリーWi-Fiや電源提供に匹敵する付加サービスとしてトレネを提案できるだろう。

 トレネは製品の販売前から、クラウドファンディングでの人気が話題となって、SNSを中心にガジェット好きのユーザーたちからは高い期待が寄せられていた。キングジムという大手メーカーが、新製品の発売になぜクラウドファンディングを利用したのか。その疑問に対して渡部氏は「世の中にないものを作る」取り組みだったことから、テストマーケティングを兼ねて募集したという。

 すでに市場が明確な製品であれば、従来のマーケティング手法を活用できるが、先例のないトレネの場合には、どういう人が欲しがるのかをリサーチする上で、クラウドファンディングは効果的なマーケティングになった。ちなみに、トレネに高い関心を示したユーザーの傾向は、40〜50代の男性が中心で、首都圏や大阪、福岡などの都市生活者が多かったという。20代でもトレネの価値を見いだして出資したケースもある。

 TwitterなどのSNSでもトレネで検索すると、実際に使っているユーザーの反応や「欲しい」という呟きを多く見かける。今後、さらに認知度が広がっていけば、「あっ、『トレネ』が置いてあるから、あそこはちょっと離席しているのかな」と多くの人たちが気づくようになるのだろう。

トレネのアプリ画面。「アプリのデザインにもこだわりました」と渡部氏は話す。

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