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無線LANのアクセスポイントにサーバーとセキュリティの機能を搭載したインテリジェントエッジが売れる!

無線LANのアクセスポイントにサーバーとセキュリティの機能を搭載したインテリジェントエッジが売れる!

2018年05月08日更新

VISION
リーダーたちのまなざし

世の中ではオンプレミスのITインフラやアプリケーションをパブリッククラウドへ移行する機運が高まっているように見える。しかしオンプレミスとパブリッククラウドにはそれぞれに利点があり、どれかの一択というわけにはいかない。オンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウドのいいとこ取りが主流になると日本ヒューレット・パッカード(HPE)は主張する。同社の代表取締役 社長執行役員 吉田仁志氏に国内市場の見通しと攻めどころを聞いた。

これからの主流となる「ハイブリッドIT」をコンサンプションモデルでサービス提供

パブリッククラウドかオンプレミスか

─国内では生産性の大幅な向上に向けて「働き方改革」をはじめ「デジタルトランスフォーメーション」への取り組みが広がっています。それらの取り組みの進展にはITの活用がこれまで以上に重要となっていますが、市場の動向や顧客ニーズ、需要の変化をどのように見られていますか。

吉田氏(以下、敬称略)■国内ではエンタープライズのITインフラがオンプレミスからパブリッククラウドに移行する流れが主流のように見られています。しかし実際にパブリッククラウドを導入した企業の中にはオンプレミスに戻る企業も見られます。

 これはクラウド化自体が目的になってしまっていることが原因です。クラウド化の目的はコストなのか、スピードなのか、従量課金などによる財務体質の改善なのかなど、目的によってクラウドの利用の仕方は変わってくるのが当然です。しかしながらトレンドがパブリッククラウドだから自社も利用してみた。しかし実際に利用してみると、パブリッククラウドだけでIT基盤を賄うことができないことに気付くわけです。

 例えばパブリッククラウドに対してサービスが停止するリスクやセキュリティを自社で管理できないリスクがあることは、サービスを利用する前から経営部門やIT部門は理解しています。しかし実際にパブリッククラウドを利用すると本当にサービスが停止したり、セキュリティ管理がプロバイダー任せになったりするなどの問題に直面します。

 またパブリッククラウドでコスト削減を期待した企業も、期待外れの結果になることもあります。こうした結果、経営や事業の命綱となるようなシステムやデータはオンプレミスに戻すことになるのです。

幅広いポートフォリオでニーズを網羅

─これから求められるITインフラとはどのようなものになるのでしょうか。

吉田■全てをパブリッククラウドに移行する、あるいはその逆で全てをオンプレミスのITインフラおよびアプリケーションで構築・運用するというのは現実的ではありません。オンプレミスとパブリックおよびプライベートのクラウドを混在させて適材適所で使い分ける「ハイブリッドIT」がこれからの主流になります。

 お客さまは自らの成長に適したオンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウドの最適な混成を求めています。ある部分ではスピードを重視したり、またある部分では柔軟性や拡張性を重視したり、そしてコストを重視したりというふうに、ハイブリッドITの中に複数の目的が混在します。

 こうしたお客さまの要望に応えるにはハードウェア、ソフトウェア、クラウドをはじめ、お客さまのビジネスの成長に合ったコンパクトなソリューションから高性能・大規模なソリューションまで幅広いラインアップが必要です。

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)にはお客さまのさまざまなデジタルトランスフォーメーションを支援できる幅広いポートフォリオがあります。

運用・管理の対象が増えて対応が難しくなる

─ハイブリッドITの流れの中で成長が期待できる製品分野をお聞かせください。

吉田■ハイブリッドITでは運用・管理の対象が増え、対応がとても難しくなるという課題があります。ハイブリッドIT環境の運用・管理を容易にするという点で仮想化技術の活用が欠かせません。そこでハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)の需要が今後数年間は成長を続けると見ています。ただしサーバーだけ、ストレージだけというポイントソリューションでは効果は期待できません。

 HPEではハイブリッドITを実現するうえで最も重要な課題となる運用・管理の負担を軽減するためのソリューションを「HPE SimpliVity」でトータルに提供できます。

 また仮想環境に最適化されたストレージ製品も成長を続けます。HPEではIoTとビッグデータ、そしてAIを活用してストレージの故障を事前に予測できるサービス「HPE InfoSight」が利用できるオールフラッシュアレイ製品「Nimble Storage」など、革新的な商材を豊富に提供しています。

 HPE InfoSightはNimble Storageだけではなく、ほかのストレージ製品やサーバー製品など対象を拡大していきます。HPE InfoSightによる故障予測や不具合の検知でお客さまは停止を回避できるほか、販売店さまが利用することで故障や寿命を把握して提案型の保守サービスが可能となります。

他社製品を含めて従量課金で提供

─企業や組織ではデジタルトランスフォーメーションの実現に効果的なITを必要とする一方で、コストは抑制したいという要求が強く、これがパブリッククラウドのブームに火をつけた一因だと思われます。

吉田■ハイブリッドITを使いやすくするにはIT全体をクラウド型の課金形態、「コンサンプションモデル」に移行する必要があります。しかしハイブリッドITにはオンプレミスも含まれます。そこでHPEはハイブリッドITがコンサンプションモデルで利用できる「HPE GreenLakeソリューション」をHPE Pointnextからサービスとして提供しています。

 例えば「HPE GreenLakeソリューション」ではオンプレミスのインフラならびにその設計・構築、ソフトウェア製品、さらにはこれらに付随するソリューションサービスや保守・運用サービスまでをクラウドと同様に従量課金で利用できます。

 HPE GreenLakeソリューションはHPEの全ての製品で利用できるほか、HPE以外の他社製品でも利用可能です。このサービスはお客さまのIT資産をHPEが買い取り、従量課金でサービス提供することで実現しています。

インテリジェントエッジが開花する

─ハイブリッドITへの移行とともにIoTの普及・拡大も新たなビジネスを生むと考えられます。

吉田■IoT時代を迎えてあらゆるモノがコンピュートする世界、「Everything Computes」に対応することが核心だと考えています。Everything Computesへの対応には先ほどお話ししましたハイブリッドITによる効率的なITの実現をはじめ、お客さまが必要とするあらゆるニーズをサービス化すること、そして「インテリジェントエッジ」の三つがポイントとなります。

 デバイスやセンサーが作り出すデータは爆発的に増加しており、ネットワークを通じて全てのデータをデータセンターに集約するのは非効率的です。そこで現場で利用するデータは現場で分析して利用すれば遅延も解消できますし、ネットワークやデータセンターのリソース効率も上がります。

 このように現場、すなわちエッジでデータを分析・活用する「インテリジェントエッジ」は国内では新しいビジネスとなります。今後、国内でもEverything Computesが進展し、インテリジェントエッジ市場は大きく成長すると確信しています。

 HPEでは無線ネットワークのアクセスポイントにセキュリティ機能やサーバー機能を搭載したArubaのネットワーク製品や「HPE Edgeline IoT System」など、エッジコンピューティングでもお客さまのさまざまなニーズに応えられます。

メモリー主導型コンピューティングの実証実験に成功

IoTの普及・拡大、すなわちHewlett Packard Enterprise(HPE)が言うところの「Everything Computes」によってデータが爆発的に増加すると、それを処理・分析するコンピューティングパワーが不足し、データセンターの消費電力も大きくなる。またエッジコンピューティングで分散処理したとしてもムーアの法則の限界により、やはりコンピューティングパワーの不足が懸念される。
そこでHP Labsは世界最大の単一メモリー空間を持つコンピューター「The Machine」の実証実験を2017年5月16日(現地時間)に行い、その可能性を実証した。
メモリー主導型コンピューティングはプロセッサーではなくメモリーが中心となる全く新しいアーキテクチャだ。現在のプロセッサー、メモリー、ストレージがやり取りをするコンピューターの非効率性を解消して処理時間を飛躍的に高速化する。
2020年に実用化を目指しているThe Machineでは、日本が誇るスーパーコンピューター「京」の5.5倍もの処理能力が実現されるという。
なおThe Machineに採用されている要素技術はHPEの製品にすでに採用されており、The Machineは現実的な計画であると言える。逆に言えばHPEは未来的な製品を提供しているとも言えよう。

「ボリューム」と「バリュー」で成長を継続

─最後に国内市場での成長に向けた取り組みについてお聞かせください。

吉田■「ボリューム」と「バリュー」の二つの柱でパートナーさまと成長を目指したいと考えています。パートナーさまと取り組んできたビジネスには伸びしろがまだまだあると考えています。

 HPEには半導体にセキュリティ機能を組み込んで高度な安全性を実現できる「HPE Gen10サーバー」や、旧SGIのHigh Performance Computing(HPC)製品など差別化できる商材が豊富にありますので、従来のビジネスのボリュームを増やせると確信しています。

 さらに数年後を見据えた成長市場への先行投資も大切です。それがバリューです。先ほどお話ししましたハイブリッドITに向けた「HPE SimpliVity」をはじめ、その進化型となるコンポーザブルインフラストラクチャ「HPE Synergy」、さらにオールフラッシュアレイ、インテリジェントエッジなど先進的、革新的な商材をお客さまに提案することで新しいビジネスを開拓して成長につなげていきます。

 ダイワボウ情報システム(DIS)さまは全国の販売店さまを通じて圧倒的なボリュームでビジネスを展開しています。特にオンプレミスのインフラ構築において両社で継続的に成長してきました。またオールフラッシュアレイ製品もDISさまと一緒に展開しております。

 今後はハイブリッドITやデジタルトランスフォーメーションの流れに乗り、「HPE SimpliVity」やNimble Storageなどの付加価値の高い製品も展開して新たなビジネスを開拓できると期待しています。

「革新的な商材をお客さまに提案することで、新しいビジネスを開拓して成長につなげていきます」

日本ヒューレット・パッカード株式会社
代表取締役 社長執行役員
吉田 仁志 氏


PROFILE
米タフツ大学にてコンピューター・サイエンスと音楽を専攻(Bachelor of Science)、米スタンフォード大学大学院にてコンピューター・サイエンス修士号(Master of Science)、米ハーバード大学ビジネススクールより経営修士号(Master of Business Administration)を取得。
1983年に伊藤忠グループ事業会社へ入社、米ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 代表取締役社長、ノベル株式会社 代表取締役社長および米ノベル 上級副社長、SAS Institute Japan株式会社 代表取締役社長、SAS Institute Inc.副社長 北アジア地域統括を経て2015年1月1日より現職。

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