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中小企業の生産性向上のカギはIT投資にあり

中小企業の生産性向上のカギはIT投資にあり

2018年05月16日更新

中小企業のIT導入を後押しする IT導入補助金の仕組みと手続き

企業の生産性を向上させる新しいITツールが次々と登場しているなか、中小企業や小規模企業はそれらのITツールの導入に積極的でないケースが多い。既存のITツールの利用で満足していたり、そもそもIT投資への予算がないことがその背景にある。そうしたユーザー企業に対する販売提案に有効となるのが、「IT導入補助金」である。今回はこのIT導入補助金をキーワードに、販売店のビジネスチャンスを紹介していく。

中小企業の生産性低下問題に歯止めをかけろ

経済産業省が発表した資料によると、中小企業の生産性は直近の20年平均で低下傾向にある。改善するためには、既存の環境で業務を進めるのではなく、ITツールをはじめとした業務環境を改善するツールを導入する必要がある。

生産性の高い企業はIT投資を積極的に行う

 中小企業の生産性低下が問題になっている。2017年10月に実施された未来投資会議構造改革徹底推進会合「地域経済・インフラ」にて経済産業省が配布した資料「中小企業・小規模事業者の生産性向上について」によると、“近年は改善傾向にあるものの、20年平均で見れば、中小企業は製造業、非製造業とも、労働生産性が低下”“他方、大企業は生産性を向上させており、大企業と中小企業の生産性の差は拡大”していると記載されている。

 しかし、そうした中小企業の中にも、生産性の高い企業は存在している。経済産業省は同資料において“こうした企業は、成長投資に積極的に取り組んでいる”と指摘している。具体的には、生産性の高い中小企業は、設備投資やIT投資に積極的であり、一人当たりの賃金が高い傾向にあるのだという。特に大企業以上の高収益を獲得している中小企業では、設備投資やIT投資を積極的に行うほか、情報セキュリティなどのリスクへの対応も進んでいる。

 また、IT投資を積極的に行う中小企業の方が、売上高・売上高経常利益率の水準が高いとも指摘されている。つまり、中小企業や小規模事業者が今後利益を獲得していくためには、既存のIT資産を継続して使い続けるよりも、新たなITツールを導入するための投資を積極的に進めていく必要があるのだ。また、業種によってはIT化に対応できていない業務も存在するため、そうした業務に対してITツールを導入すれば、間違いなく生産性は向上するだろう。

 しかし、利益率が思うように上がらない中小企業にとって、IT投資のために予算を確保することは難しい。そのため、販売店がITツールなどの提案をしてもなかなか商談に結びつかないケースも多いだろう。

 経済産業省は、こうした中小企業の生産性問題を解決するため、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」を実施している。2018年度においては、2017年度補正予算から500億円の予算が投じられている。

ITツール導入の一部経費を補助するIT導入補助金

 そもそもサービス等生産性向上IT導入支援事業とはなにか。本事業の事務局を務める一般社団法人サービスデザイン推進協議会 後藤康夫氏は本事業について次のように説明する。「中小企業の生産性を向上させることを目的にスタートした事業です。具体的には“足腰の強い経済を構築するため、中小企業・小規模事業者等における生産性の向上に資するソフトウェア、サービス等を導入する事業を実施する者に対する事業費等に要する経費の一部を補助する事業を行うことにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上の実現を図る”ことを目的としています。本事業で補助する一部経費を、IT導入補助金と呼びます」

 IT導入補助金の対象となるのは、前述した通りソフトウェア、サービスなどのITツールだ。サーバーやPCなどのハードウェアはIT導入補助金の対象にはならない。これはハードウェアは資産性を有していることや、今回の事業目的以外の用途に利用される可能性があることが背景にある。

 今年度のIT補助金予算は前述した通り500億円。「昨年度は100億円の予算がありましたが、補助金の申請が相次ぎ即座になくなりました。そこで今年は、予算を増やしつつ、昨年と比較して事業者あたりの補助額上限を100万円から50万円に下げました。より多くの事業者にIT導入補助金を利用してもらい、ITツールを導入することで自社の生産性を向上させてほしいというのが狙いです」と後藤氏は語る。

 IT導入補助金の一次公募交付申請期間は4月20日から6月4日まで。二次公募は6月中旬、三次公募は8月中旬に交付申請を開始する予定だ。しかし、IT導入補助金を申請するためには、ITツールを導入するユーザー企業だけでは手続きができない。後藤氏は「IT導入補助金の事業目的の一つに、“自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売り上げアップといった経営力の向上・強化を図ってもらう”というものがあります。この目的を実現するためには、生産性向上のためのITツールによく精通しており、提案や導入および経営診断ツールを利用した事業計画の策定の支援等を行う“IT導入支援事業者”が必要になります」と語る。

まずはIT導入支援事業者の登録から

 本事業において、ITツールを導入するユーザー企業は“補助事業者”、ユーザー企業にITツールを提案するITベンダーやサービス事業者は“IT導入支援事業者”と呼ばれている。IT導入支援事業者の役割は、ユーザー企業である補助事業者による補助事業の遂行を支援することで、ITツールの導入支援および生産性の向上を最大限に引き出すことだ。具体的には、ユーザー企業が抱える課題に対して、最適なITツールの提案や、導入支援、サポートといった、販売店が常日頃から行っている業務に加えて、補助金交付申請や事業実績報告などを事務局に行うことが求められている。

「IT導入支援事業者の登録申請も3月28日からスタートしています。説明会は3月に実施されており、すでに終了してしまっていますが、説明会で配布された資料や講演内容の動画などを、後日IT導入補助金ホームページ(https://www.it-hojo.jp/)で公開する予定です。IT導入支援事業者として登録申請をする場合も、事務局が提供するホームページから登録申請をしてもらえれば、関係分野の専門家で構成された外部審査委員会において審査を実施し、採否を伝えます」(後藤氏)

 IT導入支援事業者については、以下の要件を全て満たすことが採択の条件になる。

①日本国において登録された法人であること。
②安定的な事業基盤を有していること。
③経済産業省の所管補助金交付等の停止および契約に係る指名停止措置を受けていないこと。
④事務局が定める要件を満たすITツールを提供できること。
⑤ソフトウェア、それに類するサービスを提供・販売した実績を有していること。
⑥本事業期間のみならず、補助金の交付以降も、補助事業者への十分な支援(導入支援、定着支援、活用支援、フォローアップ)を行える体制を整えること。
⑦実施する補助事業に係る情報等については、必要に応じ補助事業者の同意を得て、その情報を事務局へ報告できること。

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