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教育用端末にはハードウェアキーボードが必須に

教育用端末にはハードウェアキーボードが必須に

2018年04月13日更新

カリキュラム・マネジメントとは何か

 カリキュラム・マネジメントとは各学校が設定する教育目標を実現するために、学習指導要領等にもとづき、どのような教育課程を編成しどのようにそれを実施・評価し改善していくのかという、教育課程(カリキュラム)を核にした教育活動や組織運営などの在り方の改善を図るサイクル等を示す。つまり、情報活用能力を育成するために、学校全体で教科、単元、学年をまたいだ学びを推進していく必要があるのだ。

 このカリキュラム・マネジメントについて、稲葉氏は「カリキュラム・マネジメントの実践校として『情報教育推進校(IE-School)』を指定して調査研究を進めていきます。情報教育を実践する教科や単元にも相性があるため、必要な内容を教科や単元をまたいで配置して、アクティブラーニングを実践していってもらいたいですね」と語る。これらを実現するために配備された予算が、次世代の教育情報化推進事業に投じられた1億800万円となる。

 また、情報活用能力を育成していく上で欠かすことができないのがプログラミング教育だ。前述したように新学習指導要領では小学校においてプログラミング教育が必修化されており、教員は各教科の授業の中で、児童のプログラミング的思考能力を育成していく必要がある。しかし、学校の授業の中でプログラミング教育を実践する場合、教員にとってはなかなかわかりにくく、実際の授業に抵抗感を覚えてしまうのも実情だ。そうしたプログラミング教育に対する不安を解消し、授業への理解を深めてもらうため、「小学校のプログラミング教育指針」(仮称)なども発表していく予定だ。「特に来年度は、次世代の教育情報化事業を推進していく中で、新学習指導要領で実施されるプログラミング教育の趣旨にあった指導例を普及していく必要があると感じています。そのためには、前述したようなプログラミング教育の指針や、指導事例をもとに、教員の方々が校内研修の教材やセミナーに活用してもらうなど、どんな授業をやったらいいのかということを先生方に考えてもらうための材料を提供していきたいですね」と林氏。

文部科学省 吉田 潔氏(左)、稲葉 敦氏(中央)、林 健吾氏(右)

官民連携コンソーシアムから情報発信

 前述のようなプログラミング教育を実践していくためのノウハウを共有するための団体として、文部科学省、総務省、経済産業省は民間企業と連携した官民コンソーシアム「未来の学びコンソーシアム」を昨年3月に設立している。本コンソーシアムの目的は二つあり、一つ目は学校の先生が授業で使いやすいプログラミング教材の開発・推進、二つ目は、プログラミング教育実践の上で、外部人材の活用を進めるために人的支援を得られる仕組みづくりだ。

「プログラミング教育は、教育課程内だけでなく教育課程外で実施するケースもあります。そうした学校外での学びも紹介して、教育の良い事例を集めて提供していきたいと考えています」と林氏。教育課程内の実践では、指導要領において小学5年生の算数の教科内における図形描画の学びや、小学6年生の理科の教科内における電気の性質などで実践するプログラミング教育が明示されているが、国語などほかの教科においてもプログラミング学習に適した単元はある。プログラミング教育だけでなく、情報活用能力を育てるための授業も同様だ。とくにプログラミング教育を実践する上での基盤になる情報活用能力は、教科や学年を横断しながら段階的に児童生徒に身に着けてもらう必要があるといえる。

「例えばキーボードで文字入力するタイピングスキルは、情報活用能力を育成していく上でも、CBT方式(2024年度以降からスタートするPCを利用した大学入試)テストに対応していくため非常に重要です。小学校であれば3年生でローマ字を習います。その授業と絡めてタイピングスキルを習得していくといった授業実践が重要になります」と稲葉氏。

 このようなプログラミング教育、そして情報活用能力を育成していく上で重要となるのが、学習者用PCの存在だ。平成25年(2013年)6月14日に閣議決定された「第2期教育振興基本計画」においては、平成26年度(2014年度)から2017年度までを対象とした「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」が打ち出されており、目標水準として「教育用コンピューター1台あたりの児童生徒数3.6人」「電子黒板・実物投影機の整備1学級あたり1台」「超高速インターネット接続率および無線LAN整備率100%」といった基準が示されていた。

 しかし、2016年度3月当時の学習者用のPCの普及率を見てみると5.9人に1台と、目標数値よりも少ないのが現状だ。

教育現場にはデタッチャブル端末の提案を

 そこで、文部科学省はこれらの実態調査に基づき、2017年12月26日に「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について」という文書をまとめている。それによると、学習者用PCは各クラスで1日1コマ分程度を目安とした活用が保証されるよう、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校および特別支援学校において3クラスに1クラス分程度の配備を求める指針を発表している。また注記として「最終的には『1人1台専用』が望ましいが、当面、全国的な学習者用コンピューターの配備状況等も踏まえ、各クラスで1日1コマ分程度を目安とした学習者用コンピューターの配置を想定することが適当である」と記載されており、前述した3クラスにつき1クラス程度の整備状況は、あくまで1人1台環境を実現するための段階的な整備の一つであることが示されている。

 これらの学習者用PCを導入する上での基本的な考え方は次の通りだ。

①ワープロソフトや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトその他の教科等横断的に活用できる学習用ソフトウェアが安定して動作する機能を有すること。
②授業運営に支障がないように短時間で起動する機能を有すること。
③安定した高速接続が可能な無線LANが利用できる機能を有すること。
④コンテンツの見やすさ、文字の判別のしやすさを踏まえた画面サイズを有すること。
⑤キーボードの「機能」を有すること。なお、小学校中学年以上では、いわゆるハードウェアキーボードを必須とすることが適当であること。
⑥観察等の際に写真撮影ができるよう「カメラ機能」があることが望ましいこと。

 特にプログラミング教育を実践する上では、ハードウェアキーボードは欠かせない。これらの前提を踏まえると、ハードウェアキーボードが備えられたコンバーチブルタイプのPCや、デタッチャブルタイプのPCが教育現場に適していることがわかる。タブレットとBluetoothキーボードを組み合わせて活用している学校現場ももちろんあるが、基本的には1台ですべての役割をまかなえる端末であるほうが、学校側の管理負担も低減できるだろう。また、デジカメ代わりに端末を使用するケースも多いため、カメラ機能は欠かせない。例えば校外学習などで、見つけた植物などを撮影して、授業で発表するためには、キーボードとタブレット本体が脱着できるモデルのほうが都合がよいため、学習者用PCとして需要が高いのはデタッチャブルタイプのPCということになる。学習者用PCや電子黒板などの学校の設備投資予算については地方財政でまかなわれるため、本特集における予算案の中には計上されていないが、今回発表された新たな指針をもとに整備を強化していく学校現場も少なくないため、ポイントを押さえておくと良いだろう。

 学習者用PCでは、児童生徒が学んだ学習履歴や学習成果物などの学習記録データが作成され、端末本体や校内サーバー等に保存される。これらの学習記録データと校務情報を接続し、学びの可視化を図る「次世代学校支援モデル構築支援事業」に1億1,900万円(前年度比1,900万円減)の予算が配分されている。これは総務省と文科省が連携して学習記録と校務データを連携させることで、教員による学習指導や生徒指導等の質の向上、学級・学校運営の改善などに資することを目指し、学校におけるデータ活用のあり方、学習記録のデータ化の方法、システム要件等についての実証実験を行うための予算だ。

新学習指導要領実施に向けて活性化する教育の情報化

 平成30年2月には、デジタル教科書を正式な教科書として位置づける学校教育法改正案が閣議決定されている。2018年度予算の中でも、新学習指導要領の実施を見据えたデジタル教科書の導入に向けて、各教科ごとの学習者用デジタル教材の活用例などについての調査研究を踏まえ、デジタル教科書の効果的な活用のあり方についてのガイドライン策定を行うため「デジタル教科書の制度化に関する検討」に1,400万円(前年同期比同)の予算が配分されている。

 2018年度予算を見ていくと、おもに新学習指導要領実施に向けて、教育の情報化を推進していこうとする動きが活発化していることがわかる。設備投資等については前述したとおり地域財政に依存するが、各自治体の教育委員会や学校現場に製品の提案を進めていく上では「使い方を考えた最適な機器を提案してほしい」と吉田氏。

「学校現場によっては業者の提案をそのまま受け入れてしまい、授業で使わない機能などが盛り込まれた高い端末を導入してしまっているケースがあります。新学習指導要領や整備方針などをしっかりと理解した上で、学校現場のニーズを捉えた提案をしてもらえたら嬉しいですね」と語る。

 また、学校でICT環境の整備が進まない理由として自治体の財政当局が、その必要性をしっかりと認識できていないことが挙げられるという。つまり学校現場から導入してほしいと言う声が上がっても、エビデンスや効果が明示されないため実際に導入に至らないケースがあるのだ。教育現場へのICT普及を進めていくためには、実際の導入効果が第三者の視点から見てもわかるようなデータに基づいて提案することが必要となりそうだ。 

 続きを読む  人工知能やARなど最新の教育コンテンツ活用も進む

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