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人工知能やARなど最新の教育コンテンツ活用も進む

人工知能やARなど最新の教育コンテンツ活用も進む

2018年04月16日更新

最新の教育ICTコンテンツと強力なサポートが学校現場の情報化を後押し

電子黒板機能付きプロジェクターが普及の起爆剤に

 市場調査会社シード・プランニングは、2009年から電子黒板市場の調査をスタートし、以後定期的に教育ICT市場の調査結果を発表している。同社の直近の教育ICT市場調査は2016年11月に発表されており、それによると2017年の教育ICT市場予測は439億円。2020年には795億円となる予測だ。

 シード・プランニング リサーチ&コンサルティング部 エレクトロニクス・ITチーム 2Gリーダ 主任研究員の原 健二氏は、教育ICT市場を次のように説明する。「教育ICT市場、特に教育タブレットについては、2020年までに児童生徒に1人1台のタブレットを普及させるという理想のもと整備を進めていましたが、政権交代の影響で予算が縮小したり、震災の影響で学校の耐震強化などの設備投資に予算が割かれました。そのため、ここ数年は市場の拡大が鈍化していたように思います。しかしデジタル教科書を正式な教科書に位置づける学校教育改正案が閣議決定されるなど、教育現場の情報化にまつわる方向性が定まりつつあります」

 同社の教育ICT市場調査は、「教育用タブレット」「電子黒板」「デジタル教科書」「教育用ソリューション」から構成されており、特に電子黒板市場については「着実に伸びている」と原氏。実際に数値を見ても、電子黒板市場は2015年の46億円から2020年には105億円市場に成長する予測だ。「特に需要が高まっているのが、電子黒板機能付きのプロジェクターで、場所を取らず教室に設置がしやすいと高い評価を得ています。電子黒板市場拡大の起爆剤になった製品と言えます」と原氏は語る。

 教育用タブレットは2015年は52億円、2017年に82億円、2020年に128億円市場にまで拡大する予測だ。導入傾向として、国や自治体が端末を購入して、児童生徒に文房具の一つとして貸与する手法が多いという。「導入している端末の傾向としては、Windows端末とiPadが多いです。特にWindowsは教材として使いやすいソフトウェアがそろっているため、教員がICT教育をスタートする際に使いやすいのだと思います。またiPadも教育向けアプリケーションがそろっていることや使いやすさから、人気が高い端末ですね」と原氏。

シード・プランニング 原 健二 氏

遠隔授業の拡大で電子黒板の需要が高まる

 デジタル教科書については2015年に165億円、2017年に226億円、2020年に302億円市場となる見込み。デジタル教科書の導入傾向としては、教員が電子黒板などで表示して説明するために使用する指導者用電子黒板の導入が多く、児童生徒が使用する教材としてのデジタル教科書の導入率は高くない。これらの導入傾向は、デジタル教科書を正式な教科書に位置づける動きによっては大きく変化する可能性がある。

 教育用ソリューションは2015年に42億円、2017年に77億円、2020年に260億円市場となる予測だ。同市場はそれぞれ、学習支援ソリューション、校務支援ソリューション、学生支援ソリューションと分類した調査も行っており、学習支援ソリューションが全体の5割を占めるという。

 2018年度の文部科学関係予算を踏まえ、原氏は電子黒板市場のビジネスチャンスを指摘する。「遠隔授業の導入が進むことで、Web会議やビデオチャットツールの需要が増加していきます。ビジネスの場合Web会議ツールは1対1で会話できればよいケースも多いですが、遠隔授業で使用する場合1対多数で会話をできるようにする必要があります。マイクやスピーカーを遠隔会議などで使用するような製品を導入したり、Web会議などもできる電子黒板を利用して、音声や映像を児童生徒にクリアに伝えられる環境を構築する必要があります。特に遠隔授業を実施する場合、音声がクリアでなければストレスがたまりますし、授業として成立しなくなりますので、最適なツール選びは重要です」

 プログラミング教育についても、同社は、2018年3月16日に「プログラミング教育関連市場の将来展望」を発表している。調査によると、プログラミング教育に関わる事業領域は学校外の施設である「プログラミング教室・スクール」、公教育をはじめ私教育においてもプログラミング教育を行う際の支援ツールとなる「教材・プログラミングツール」、授業を行う教員の研修や育成、外部専門家であるICT支援員の増員などの「人材関連支援」の三つに分類されている。市場全体を見てみると、2016年度の39.9億円から、2025年度には230.5億円となると予測されている。2020年度前後に「教材・プログラミングツール」や「人材関連支援」の需要が高まり、2020年以降に「プログラミング教室・スクール」の需要増が見込まれている。

教材コンテンツとして人工知能やARの活用進む

 人工知能やVR/AR/MRといった先端技術を用いた教材も、今後市場拡大が期待できる分野だ。「人工知能はすでに教育効果を測定するために教材に採用されている事例があります。また、ARは教科書にマーカーを埋め込んで、そこにタブレットをかざすと動画などが浮き出る仕組みを採用している教科書会社もあります」と原氏。VRやMRも教育効果が見込まれているが、現在のところ教材コンテンツが少ないため、本格的な活用には今後2〜3年かかるのではないかと原氏は予測した。

「教育ICT市場に製品を提案していく際には、顧客が学校や教育委員会になります。基本的には、ICTに詳しくないユーザーが顧客になるでしょう。電子黒板普及当初も、簡単なマニュアルを作成したり使い方のサポートをする必要があったりと、実際の活用まで時間がかかったケースも多いです。販売店側は、企業への提案以上に機器の活用に関してサポートを強化する必要があるかも知れません。また、現在の学校現場は人材不足が顕著です。プログラミング教育をはじめとして補助スタッフを取り入れるなど改善へ向けての取り組みを進めている学校現場もありますが、ICTツールで働き方改革を提案することも、こうした教員の働き方の課題を解決するために必要となるでしょう」と原氏は教育ICT市場のビジネスチャンスを語った。

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