
2in1から15インチPCまでLTE対応ラインアップを拡充させたレノボ
LTE対応製品を一気に拡充
LTE対応製品のラインアップを大幅に拡充させたのはレノボ・ジャパンだ。今年2月に発表された法人向けの製品ラインアップにおいて、半数以上がLTE対応となっている(タブレット製品以外の各LTE対応モデルの提供は今年の4月以降に開始される予定)。その背景にあるのはやはり働き方の改善だ。レノボ・ジャパンでは「それぞれの働き方に、最適なデバイスを」というコンセプトのもと、製品のカテゴリーを以下のように分け、それぞれにおいて社内、社外でのPCの利用シーンを想定している。
・フィールドワーカー
社内:キーボードの装着でレポートの作成などを実施
社外:日々の基幹業務にタブレットで対応
・モバイルワーカー
社内:外付けモニターに接続してデスクワーク
社外:日々、高頻度で持ち歩いて、出先のカフェなどでも仕事
・ハイブリッドテレワーカー
社内:ペーパーレス化が進み、日々、オフィス内で持ち運び
社外:月1回〜週1回程度、自宅でテレワークを実施
・インターナルワーカー
社内:自席での利用がメイン。会議室に持ち運びも
社外:月1回程度テレワーク実施の可能性がある
それぞれのカテゴリーに応じた製品ラインアップとLTE対応は表のようになる。「新たなモデルではThinkPad T580といった15インチクラスの製品にまでLTE対応を拡充させました。非常に幅広いLTE対応製品の提供が当社の強みになったのです」とレノボ・ジャパン コマーシャル製品事業部 ノートブック担当の吉原敦子氏は解説する。
これまでは国内ではThinkPad X1シリーズとX270しかLTEに対応していなかった。それは、通信帯域の関係でLTEモジュールが国内独自仕様になっており、コストの面で他のモデルには搭載させていなかったからだ。今年からはグローバルで共通のLTEモジュールが使用可能になったことで、LTE対応モデルの拡充が実現した。
15インチもモバイルの時代に
LTE対応製品の販売について、吉原氏は次のように振り返る。「昨年は2in1のLTE搭載製品の販売が非常に好調でした。やはりタブレットとして利用できる製品の搭載率が高いですね。持ち出し時にもネットワーク接続できる環境をユーザーが考慮されているからでしょう。外出時の携帯率が高いほど、LTE対応製品の選択率が高まると想定できます。そうした状況と、今後のワークスタイルの変化を踏まえて、新たなモデルではLTE対応製品を増やしたのです。また、フラッグシップモデルであるThinkPad X1 CarbonのLTE対応モデルについては昨年初めて提供を開始したのですが、こちらもずっと待たれていたお客さまが多くいらっしゃいました」
LTE対応製品のメリットはやはりいつでもネットワークにつながる点にある。モバイルルーターを携帯しなくてもよく、ドングルなどを接続しなくてもいい。「Windows 10ではLTE接続が手軽に行えるのも利点です。お客さまの中にはLTE接続時の手順書を要望されるケースがありますが、目の前で簡単に設定できることを説明すると、手順書が不要なことをすぐに納得していただけます。Windows 10へのリプレース時などにもLTE対応製品の提案がしやすいのです」
15インチクラスの製品についてLTE対応モデルの提供を開始したのは、従来のモバイルワーカーだけでなく、テレワーカーや内勤者においてもLTE対応PCのメリットが必ず生きてくるとレノボ・ジャパンは考えているからだ。
「15インチクラスのPCでも、1日であれば十分に持ち帰ることはできます。内勤者であっても月に数回テレワークを行うような環境が今後は整備されていくでしょう。その際に、会社のデスクで利用しているノートPCをそのまま家に持ち帰って仕事ができれば、非常に効率的です。そうした内勤者にはWi-Fiルーターが支給されていないというケースも多いはずですから、なおさら、PCだけでLTE通信が可能な内蔵モデルの価値は高まります。自宅作業時の通信環境の面でも、会社が契約したLTEが自宅でも利用できれば利用者は通信費の面でも安心です。お客さまに対しては、今後、テレワークなどが普及し、PCの持ち出しが多くなることが想定されるのであれば、LTE対応PCを導入された方が効率的ですねという提案が可能でしょう」(吉原氏)
15インチモデルのLTE対応製品については、病院での導入実績もある。院内でのWi-Fi利用を避けるためだという。屋内でもあえてLTEを利用したいというニーズもあるのだ。
古いRFPから脱却し新たな選択を
LTE対応製品の提案は、未来型企業へのトランスフォーメーションをサポートすることになるとレノボ・ジャパンは考えている。「共創による価値創造」「流動性の高い資本・人材」「プロジェクトの成果優先」を基本とする未来型の企業では、単位時間あたりのアウトプットの増加、つまり生産性の向上が強く求められる。実現するには、働き方自体を変えなければ難しい。もちろんそれにはビジネスの基盤となるITについても新たな考え方で導入していく必要がある。
「PCのRFP(提案依頼書)は、いまだにB5のモバイルノート、A4のデスクノートという分類で行われているケースが多いでしょう。しかし、時代はすでに変わってきています。A4サイズでもモバイルは当たり前、さらに、15インチもモバイルの時代に突入しているのです。そもそも、B5とA4という考え方自体が時代遅れになってきています。そして、そうした環境の中では、モバイルの際にいつでもネットワークに接続できるLTE対応製品の魅力が高まっていくでしょう。LTE対応製品が有力な選択肢になるのです」(吉原氏)
企業のIT部門が率先して新たなITを採用していく必要もありそうだ。新しい時代に応じた新たな製品を採用していければ、IT部門の価値自体も高めていけると吉原氏は話す。「スマートフォンなどの利用で常にネットワークにつながっているデジタルネイティブがすでに新入社員として入社し始めています。IT部門としては、彼らの力を生かせるITを整備できれば、企業としての価値をいっそう高められるはずです。そうしたITの一つとして、LTE対応PCは存在感を増していくでしょう」
Windows 10へのリプレース需要がこれから佳境を迎えるが、3〜5年後までのPCの使われ方を想定した場合、LTE対応PCは顧客への製品提案において重要な選択肢となる。
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