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分散コアコンピューティングでモノのIQを高める

分散コアコンピューティングでモノのIQを高める

2018年03月07日更新

IQT(IQ of Things)

DellとEMCの統合によって生まれたDell Technologiesは、モダンITを実現する包括的な製品群を持つ総合ITグループとなった。そのDell Technologiesのエッジコンピューティングに対する取り組みは、「IQT(IQ of Things)」と呼ばれている。

3年間で10億米ドルを投資

「IQTとはその名称の通り、IQを持ったモノを意味します。エッジ、コア、クラウドというIoTのシステムにおいて、コアを分散化させることでモノの側のIQを高めて、トータルのIQを引き上げる仕組みを目指しているのがIQTとなります」(デル CTOオフィス 事業開発 ディレクター 二通宏久氏)

 コアを分散化させる「分散型コア」(Distributed Core)コンピューティングモデルは、Dell TechnologiesのIoT戦略の基盤となる。センサーを搭載したさまざまなデバイスがネットワークに接続されるIoTの世界において、情報のリアルタイム処理に焦点を当てた、よりデバイスに近い部分で処理を行える分散型コアモデルが求められていると考えているからだ。分散型コアを用いたコンピューティングモデルは、IoTとAIをエッジからコア、クラウドに至る一つの互いに連携したエコシステムに統合することだとDell Technologiesは説明している。

 このようなIQTの世界を広げるためにDell Technologiesでは、産業分野におけるIoTの幅広いポートフォリオを展開している。それが下図になる。エッジ側におけるエンベデッド、ゲートウェイ、コア側のオンプレミスアプライアンス、データセンター、そしてクラウドにおける各種サービスなど。デルやデルEMC、Virtustream、Pivotalが提供する製品やサービスでそれらを網羅し、さらにエッジからクラウドまでの管理、セキュリティなどはVMwareやRSA、SecureWorksのソリューションでカバーする。Dell Technologiesはこのような体制でIoTに取り組んでおり、IQTの実現に邁進している。「これらに加えて、ソリューションパートナープログラムも用意しています」(二通氏)

 Dell Technologiesでは、同グループを横断し、IoT製品とサービスの開発を統括する新たなIoT事業部を創設、新しいIoT製品、ソリューション、ラボ、パートナープログラム、エコシステムの開発のために、3年間で10億米ドルを投資すると昨年10月に発表している。

デル テクノロジーズ
二通宏久氏(左) 杉本昌隆氏(中央) ジル・リー氏(右)

エッジからコアに至る複数プロジェクトを推進

 Dell Technologiesは分散型コアコンピューティングモデルを推進するために、製品やソリューション開発のプロジェクトを立ち上げている。例えば、Dell Technologiesのエッジコンピューティング用デバイスやその上で稼働するソフトウェアの管理・監視が可能な「VMware Pulse IoT Center」というソリューションがすでに提供されている。

 これは、VMwareのエンタープライズ モビリティ管理ソリューション「AirWatch」や仮想環境の監視・管理ソリューション「VMware vRealize Operations」などの技術を活用しており、センサーやゲートウェイといったIoTデバイスのバージョン管理や死活管理、監視などを実現する。すでに自動車やテーマパーク、医療機関のインフラ管理などに利用されている。

 さらに、ハイパーコンバージドインフラなどにVMware Pulse IoT Centerやサードパーティ製のソフトウェアを組み込んだ形での提供を目指す「Project Fire」というプロジェクトも稼働している。こちらはプロジェクト段階でありリリースはこれからだ。

 実際にエッジデバイスとしてデルが用意しているのが、「Dell Embedded Box PC 5000」「Dell Embedded Box PC 3000」と「Dell Edge Gateway 5000シリーズ」「Dell Edge Gateway 3000シリーズ」だ。いずれの製品も米国防総省制定MIL規格(MIL-STD-810G)に準拠しており、ファンレス設計でホコリの侵入を防ぐなど産業現場で使いやすい製品となっている。

 組み込みタイプのDell Embedded Box PCシリーズは、3000の方がインテル Atomプロセッサーを、5000の方がインテル Celeronプロセッサーからインテル Core i7プロセッサーまでを選択でき、製造プロセスと個別生産、キオスク、監視、自動小売りソリューションなどさまざまな用途に使用できる。一方、Dell Edge Gatewayシリーズはどちらもインテル Atomプロセッサーを採用していて、3000が車載やキオスク端末用途などに、5000がビルや産業施設などへの設置用途に適している。各種センサーや機器からのデータを集計、保護、分析、中継するために設計されたゲートウェイ製品だ。

「Dell Embedded Box PCシリーズもDell Edge Gatewayシリーズも、グローバルで展開するデルのサプライチェーンによる短納期や、グローバルのどこでも同様のサポートが受けられる利便性が特長です」とデル OEM&IoTソリューションズ事業本部 ビジネス・デベロプメント・マネージャーのジル・リー氏はアピールする。

新しいストレージを開発中

 コア部分の取り組みとしては、「Project Nautilus」が進行中で、IoTゲートウェイから送られてくるデータのリアルタイムの取り込みとクエリーを実現するソリューションの開発が進められている。「コア部分では、大量に収集されるデータの処理などにともなうレイテンシーをいかに抑えるかが重要になります。そこで、データの蓄積と処理における階層化の技術を利用したログストレージという新しいストレージを開発しています。IoTを支えるコアの基盤になるストレージです」(EMCジャパン システムズ エンジニアリング統括本部 サービス プロバイダSE部 アドバイザリー システムズ エンジニア 杉本昌隆氏)

 分散型コアコンピューティングモデルを推進するためのセキュリティ強化においては、セキュリティ監視プラットフォームである「RSA Security Analytics」の機能拡張で脅威を可視化し、エッジまでの完全なモニタリングの実現を目指す「Project IRIS」が進行中だ。「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けてセキュリティはさらに重要な課題になります。エッジ側でもふるまい検知などのセキュリティ対策が要求されるようになります。そうした中で、エッジデバイス上にコンテナを作成してその上にファイアウォールのような機能を構築し、通信の可視化などを実現します。分散型コアコンピューティングモデルにおける強固なセキュリティの確保を目指しているのです」(二通氏)

 さらに、グローバルで事業を展開している企業が地理的に分散しているデータの分析を行いやすくするための「Worldwide Herd」の開発も進められている。開発されているのは、データサイズやプライバシー、規制などの理由で移動させられないデータの統合的な分析を実現するソリューションだ。

 こうした取り組みはもちろんDell Technologiesだけで普及させることは難しい。そのため、Dell EMCに加えてサムスンや東芝など60を超える企業が参加する「EdgeX Foundry」というオープンソースプロジェクトによって、エッジコンピューティングのエコシステム拡大にも努めていくという。

Dell Embedded Box PCシリーズとDell Edge Gatewayシリーズ。多様なシーンをカバーするラインアップが魅力だ。

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