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ARで白隠禅画の世界に浸る(神勝禅寺 荘厳堂)

ARで白隠禅画の世界に浸る(神勝禅寺 荘厳堂)

2018年02月16日更新

ARの動画解説で作品への理解を深める

AR/Telepathy Walker/神勝禅寺 荘厳堂

現実世界に情報が重なるAR(拡張現実)。その技術を活用して、白隠禅画の作品鑑賞に生かしている施設がある。

ツネイシホールディングス コーポレート本部 経営管理部
課長 金政和宏氏(左)、経営管理部 山口 誠氏(右)

作品鑑賞と解説視聴を同時にできる

 広島県福山市沼隈町に位置する天心山神勝寺(神勝禅寺)は、1965年に建立された臨済宗建仁寺派の特例地寺院だ。神勝寺が2016年にオープンしたのが「神勝寺 禅と庭のミュージアム」と呼ばれる禅を気軽に体感するミュージアムで、その中の常設展示館「荘厳堂」では、臨済宗中興の祖とされる白隠禅師が描いた禅画や墨跡およそ200点が、季節に応じて掛け替えて展示されている。その荘厳堂において、2018年1月1日からAR HMDである「Telepathy Walker」を導入して作品鑑賞をしながら同時に解説を見聞きできるサービスを提供している。サービス提供は、Telepathy Walkerを提供するテレパシージャパンと、位置・空間情報技術を活用したサービスやソリューション開発を手がけるマルティスープ、海運・造船・エネルギー・ライフ&リゾートなどの事業を手がける常石グループの企業であり、新規事業の創出と支援を行うツネイシキャピタルパートナーズが連携して行っている。

 ツネイシホールディングス コーポレート本部 経営管理部 課長でツネイシキャピタルパートナーズにも所属する金政和宏氏は「もともとはTelepathy Walkerの製品やサービス概要を見て、当グループの事業に生かせるのではないかと出資したのがきっかけです。今回の荘厳堂でのサービス提供はあくまで実証実験段階であり、実際に体験したユーザーからの声を聞きながら製品のバージョンアップにつなげていきたいと考えています」と経緯を語った。

 荘厳堂で利用されているTelepathy Walkerは単眼型ウェアラブルアイウェアで、視界を遮らない独自のモニターを搭載しており、オープンな視界と目の前に浮いているような映像を表示できる製品だ。今回の解説サービスでは、このTelepathy Walkerのモニターに禅文化研究者の芳澤勝弘氏による白隠禅画の解説が表示されることで、目の前で解説を見聞きしているかのように作品を鑑賞しながら白隠禅画の理解を深められる。解説動画の切り替えは手元のリモコンで行う。「当初は禅画の前にTelepathy Walkerを装着したユーザーが立ったら、該当の禅画が自動的に再生されるようにしたかったのですが、ビーコンが互いに干渉してしまいうまくいかなかったため、部屋を移動すると表示される解説動画の種類が切り替わるという手法に変更しました」とツネイシホールディングス 経営管理部の山口 誠氏は話す。

空間デザインを壊さない解説を実現

 荘厳堂の管理を担当する檀上貴美氏は、実際にTelepathy Walkerを使って解説動画を視聴した利用者の声を次のように説明する。「操作が難しかったり、モニター部分が見えにくかったりと少々使いにくいという声はありました。また50〜60代の年配の方などはこういった端末の操作に慣れず、途中で頭部から外して、首から下げて音声だけ聞いているというシーンも目にしました。半面、20代くらいの若い利用者は、以前来たときよりも理解が深まった、分かりやすかったなど好意的な意見が多かったですね」と語る。

 荘厳堂で常設されている白隠禅画は、見て感じたままを受け入れることに重きをおいているため解説のパネル等は設置されていない。その空間を壊すことなく、説明を聞いて理解が深められるという点において、Telepathy Walkerは大きな効果を発揮したのだ。

 金政氏は「実は今回のTelepathy Walkerの活用は、禅と庭のミュージアムの屋外スペースでやってみようと考えていましたが、没入してしまって転ぶ危険性があったため屋内で検証をスタートしました。今回の実証実験を経て危険性や使いにくい点などが解消されていけば、庭園や常石グループが運営している遊園地などでも利用していけたらと考えています」と今後の展望を語った。

Telepathy Walker上では芳澤氏による解説動画が表示される。話に合せて書の内容がテキストで示される。

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