
戸田覚が伝授するExcelのグラフ作成術
ワザありのグラフで質を高める
テーマ:Excelでひと工夫
企画書や提案書、報告書などにグラフを入れる機会は多いだろう。もちろんそのほとんどがExcelで作られている。誰もが標準機能でサッと作った似たようなグラフを利用しているのだが、お世辞にも見やすいとは言えない。今回はちょっと手を加えることでより質の高いグラフを作る方法を紹介する。
標準グラフにひと手間加える
Excelは挿入メニューから選ぶだけで簡単にグラフが作成できる。多くの人が種類を選んで自動的に作成して終了——と手抜きをしている。まあ、それでもよく見かけるようなグラフはできあがるだろう。わかりやすく言うと、ギリギリ合格の55点といったところだ。
挿入するだけで作れる、いわば標準のグラフの欠点は、どこを見ればよいかがわからないことだ。全体の傾向をつかむだけならそれでもかまわない。だが、どこかに注目して欲しいとなると、役割をなしていない。そこで、もっと見やすくわかりやすいグラフを作るテクニックを紹介しよう。標準でできあがるグラフにひと手間加えるのがコツだ。
さて、標準で作成できるグラフを改めて見るとスカスカではないだろうか? 特に棒グラフでは、棒と棒の間のスキマが大きく、その割に棒が細い。これが貧弱に見える理由の一つだ。そこで、グラフの棒クリックして選択し、右クリックして「書式設定」から、「系列の重なり」と「要素の間隔」を調整する。なるべく棒を太く、また、スキマを少なくなるように調整するのだ。これだけでもずいぶん見やすいグラフになるはずだ。
続いて色を考えていこう。グラフをクリックして「グラフツール」の「デザイン」から、グラフの色を選択できる。好みに合わせて変更してみるとよいのだが、実は、どれも美しいだけで機能が足りない。単に色を変えるだけだと美しくはなるのだが、注目させたい部分を強調できないのだ。
そこで、再びグラフの棒をクリックして選択し、右クリックの書式設定で色を変更しよう。色合いは好みでよいのだが、基本的には濃い色を選び、その上で全体の「透明度」を上げていく。さらに、枠線をオフにすると、薄い色合いのグラフが完成する。次に目立たせいデータの棒を単体で選択する。棒を一度クリックするとすべての要素が選択されるので、その状態で指定したい単体の棒を再度クリックすればよい。
一つの棒を選択できたら再び書式設定を開き、先ほどと同じ手順で今度は透明度を低くする。すると、同系色の中で目立たせたい棒だけが濃くなるのだ。この作業がポイントで、全体の色合いは項目の数に合わせつつ、色の濃淡で目立たせたいデータを強調していくのだ。
目盛線やラベルは不要
グラフは、要素が少ないほどスッキリとして見やすくなり、またデザインもよくなるものだ。標準で作ったグラフには、目盛線やラベルが付いているのだが、これは本当に必要だろうか?
そもそも、数値を仔細に比較したいのなら、グラフよりも表が適している。目盛線を入れたところで、細かな数字を見ることはできないし、そもそも全体の傾向は数値がなくてもわかるだろう。グラフのデータが多くなるほど、実はそれぞれの項目の数値は不要になっていくものだ。全体の数値が必要ならグラフの近くに表を置いておけばよいだけだ。
実は、グラフで必須なのは注目すべき部分の数値だけなのだ。そこで、数値ラベルと目盛線はすべて取り去ってしまい、目立たせたい部分にだけ吹き出しとラベルを付けるとよい。この際、デザインや色合いに迷うかもしれないが、考え方はシンプルで、無駄な色を使わない方が楽だしまとまりが良い。グラフの棒と同じ色で吹き出しを作り、文字も白抜きにすると見やすくなるはずだ。
これで基本的なデザインはだいたい完成だ。あとは、項目ラベルの文字サイズを大きくしたり、太字にするなどして見やすくしていこう。
たったこれだけの工夫で、グラフがずいぶんと見やすくなったはずだ。とにかく、「ごちゃごちゃさせない」のが最大のポイントで、標準で作れるグラフから、できる限りの要素を取り去るのだ。
同じ方法は、折れ線グラフにも役立つ。そもそも折れ線グラフこそ傾向が見られればよいので目盛りは不要。やはり最大値や最小値など、注目したい値を吹き出しで入れていくだけでOKだ。また、折れ線自体も、基本は透過率を上げて薄く作り、注目したいデータだけを濃くしよう。赤や青などで色を変えて注目させる手もあるのだが、ひと目でわかるのは濃淡だ。
このグラフ作成方法は、プレゼンでは非常に有効だが、印刷して配付する資料では色合いをきちんと確認しておきたい。薄く作りすぎると、画面では見ているのに紙の上で見づらいケースが少なくないからだ。
ExcelやPowerPointのグラフや図解機能はどんどん使いやすくなっているが、やはり手抜きをすると人との差は付けづらいので、自分なりのテクニックを編み出していきたい。
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