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IDC Japan 森山アナリストがストレージ市場を分析

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2018年01月18日更新

オールフラッシュは普及期に

ビジネスモデルそのものを変える

 ストレージ市場はこれから微増傾向が予測されています。ハイエンドモデルはマイナス成長を見通していますが、ミッドレンジ製品は堅調に成長する見込みです。理由はサーバー仮想化やプライベートクラウド需要の高まりであり、IoTやビッグデータのアナリティクス用途などでのニーズも増えていくでしょう。ローエンドモデルもプラス成長を見越していますが、サーバーの更新需要などに影響される傾向があります。

 オールフラッシュ製品については、以前は大企業の導入が主流でしたが、現在は中堅中小企業においても採用されるケースが増えてきました。普及期に入っているのですね。用途も限定的なものではなく、幅広く利用されるようになってきています。市場に製品が投入されて数年が経過しており、利用するメリットや信頼性の高さなどがエンドユーザーから理解されてきているのでしょう。

 オールフラッシュモデルは価格が高いイメージがありますが、HDDモデルなどと比較してパフォーマンスが圧倒的に向上します。そのため、単純なシステム単価ではなく、パフォーマンスあたりの単価を考慮すべきでしょう。導入することでどれくらい業務が改善できるのかといった視点からの判断が重要です。例えば、従来はストレージがボトルネックになって週次でしか行えなかった業務処理が、オールフラッシュモデルの導入によって日次でできるようになれば、それだけで大きな改善になります。場合によってはビジネスモデルそのものを変えてしまう可能性もあるでしょう。

電力や家賃の管理部門にも訴求できる

 また、パフォーマンスだけにとらわれがちですが、オールフラッシュモデルはHDDモデルと比較して、設置面積を大幅に減らせるとともに、消費電力も抑えられます。パフォーマンスが高いゆえに、システムの台数そのものも少なくできます。そのため、サーバールームやデータセンターにかかる費用を低減できるのです。これは、製品の訴求対象として、従来のIT管理者に加えて、電力コストや家賃などを管理している部門の担当者にもアピールできることを意味しています。

 もちろん、パフォーマンスとコストを検討した上でSSDとHDDのハイブリッドモデルを選択すべきケースもあるでしょう。それほどコストをかける必要がないワークロードやアプリケーションを動かすのであれば、ハイブリッドモデルで十分なケースが当然あるからです。一方、HDDモデルは市場全体としては減少傾向です。バックアップやアーカイブ用途として導入されるケースはまだまだありますが、それ以外のストレージ利用においては何らかの形でフラッシュが搭載されるようになってきていますね。例えばキャッシュで利用するといったケースです。

 オールフラッシュモデルやハイブリッドモデル製品の選定ポイントとしては、パフォーマンスに加えて、さまざまなデータサービスなどの用意も挙げられます。例えば、仮想化、スナップショット、レプリケーションといった機能をフラッシュのパフォーマンスと合わせてどれだけ利用する意図があるかで、選択は分かれるでしょう。モデルによって差が出る部分です。

 新しいワークロード用途のパフォーマンス重視であれば、データサービスが充実していないモデルを選択するケースは十分にあります。一方、基幹系で利用していたストレージのリプレースで導入する場合には、データサービスが充実したモデルを選ぶケースは多いでしょう。

ストレージへの支出パターンに変化

 ストレージをとりまく課題として、人材の問題もあります。ITの管理者不足や管理者のスキル不足が顕著になってきている現在では、なるべく運用管理に手間がかからない製品が求められるからです。現在は、サーバー仮想化のためにサーバー管理者がストレージの管理もしなければならなくなっていたります。そうした状況においては、場合によってはハイパーコンバージドインフラのような製品が選定されるケースもあります。

 現在は、ストレージ専用製品(アプライアンス)、SDS、コンバージドインフラ、ハイパーコンバージドインフラ、クラウド利用やオンプレでの従量課金など、ストレージの利用モデルが多様化しており、ユーザーの支出パターンに大きな変化が生じています。ユーザーが購入できるモデルの多様化によって、予算や管理者のスキル、ビジネスモデルに即した選択肢が増えてきているのです。サプライヤー側は、エンドユーザーにとっての多様な選択肢を踏まえた上で、提案活動をしていくべきでしょう。

IDC Japan リサーチ第1ユニット(エンタープライズインフラストラクチャ/PCs) グループディレクター 森山正秋 氏

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