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HPC技術に一日の長を持つ富士通は新たな市場開拓へ

HPC技術に一日の長を持つ富士通は新たな市場開拓へ

2017年12月11日更新

長年培ったHPC技術をAI活用に生かす

HPC技術は新しい適用分野へ

「これからはさまざまな企業が全社的にAI基盤を用意する時代に突入します。そうした状況に向けて、体制作りを急いでいます」——。このように語るのは、富士通 プラットフォーム技術本部の高山 均氏だ。同社は従来から取り組んでいるHPC領域の技術をもとに、AI分野へのビジネス拡大を推進している。

 そもそも富士通はHPCの技術開発において長年にわたる経験とノウハウを有している。1977年に発表したベクトル型※1のスーパーコンピューターを皮切りに、スカラ型※2スーパーコンピューター、そしてPCクラスター型のシステムの開発を進めてきた。そうした中で、「HPC技術は現在、新しい適用分野へ拡大しているのです」と高山氏は状況を説明する。

 実際、HPC技術が利用されてきた従来の領域では、CAE(Computer Aided Engineering)などでの車の衝突解析や車体の空気抵抗解析、材料や部品のひずみや応力解析といった専門領域での活用が多かった。しかし、昨今では、CG制作や金融工学、サイバーセキュリティ、災害予測、医療などにおけるHPC技術の活用が徐々に広がっており、そうした領域におけるビッグデータやAIの利用もまた活性化してきている。

「例えば車のCMで使用されるCGを制作する際に、車体に映り込む光や色などを正確に描写するためには膨大な計算が必要です。そうしたCGの制作期間をHPCの技術を利用することで大幅に短縮できるのです」(高山氏)

※1 大規模なデータを流れ作業的に処理できるため、似たような計算を非常に多くのデータに対して実施する処理に威力を発揮する。
※2 一般的な構造のマイクロプロセッサーの搭載が可能で、サーバー用などのマイクロプロセッサーを流用できる。専用のプロセッサーを開発する必要があるベクトル型に比べて汎用性が高くコストパフォーマンスに優れる。

富士通 プラットフォーム技術本部 クラウドインフラセンター AI/PCクラスタ商談担当 シニアマネージャー 高山 均 氏

顧客規模を問わずに商談が進む

 高速演算を実現するGPUに対応し、HPCやAI用途で利用できるIAサーバーとして富士通が用意しているのが2Wayマルチノードサーバー「PRIMERGY CX2570 M4」や2Way2Uラック型サーバー「PRIMERGY RX2540 M4」だ。PRIMERGY CX2570 M4は、1ノードあたり最大4基のGPU「NVIDIA Tesla P100」を搭載でき、GPU間の接続にはPCIeより高速通信が可能な「NVIDIA NVLink」が利用可能だ。従来製品比で2.2倍の処理性能の向上を実現しているという。一方、PRIMERGY RX2540 M4は、1ノードあたり最大2枚のTesla P100を搭載できる。こちらはPCIe接続となる。

 PRIMERGY CX2570 M4やPRIMERGY RX2540 M4は特にAIやディープラーニング需要に向けたオンプレ製品として富士通は提案していくというが、オンプレとクラウドにおけるシステムの利用ニーズについてはどう考えているのか。高山氏は次のように説明する。

「AIなどではノウハウを自社で所有しておきたいと考える企業は多いでしょう。また、セキュリティ面や毎日稼働させることによるクラウドでの従量制のコスト課題を考慮した場合は、自社に設置できるサーバーでの利用が選択されるでしょう。ただし、“使用頻度が少ない”“サーバーを導入する予算がない”“最新のGPUを導入してもすぐに陳腐化するのを避けたい”といったケースではクラウドサービスを利用されるほうが効果的ですね」

 注目が集まっているAIの活用については「お客さまの規模を問わずに商談が進んでいます」と高山氏は話す。特に画像を利用した監視や判断支援などの需要に商機がありそうだという。例えば、食品の製造工場において、異物混入をみつけるために常時製造ラインを撮影し、その映像をもとにAIシステムに異物の混入を判断させるような例だ。いわゆるフードディフェンスなどの領域である。同様の使い方として、空港内で怪しい行動をしている人物を検知したりもできる。また、介護施設などでは、入所者にジャイロセンサーなどを身につけさせることで、転倒の検知なども可能になるという。「医療の分野ではレントゲンなどの画像から診断支援をAIが行うことも可能になりつつあります。このようにモノづくり以外の分野での利用も見込まれます」(高山氏)

 右肩上がりの市場拡大が予測されているなか、「HPCで培った技術やノウハウを生かしてビジネスを作り出し、お客さまとともに価値を生み出していきます」と高山氏は意気込む。

「FUJITSU Server PRIMERGY CX2570 M4」(Tesla P100×4:NVLink対応)
「FUJITSU Server PRIMERGY RX2540 M4」(Tesla P100×2:PCIe対応)

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