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地域でのIoT 活用を支援する「福井県IoT 推進ラボ」の取り組み

地域でのIoT 活用を支援する「福井県IoT 推進ラボ」の取り組み

2017年11月20日更新

地域企業にIoT導入プロジェクトの創出を
〜「福井県IoT推進ラボ」の取り組み〜

インターネットであらゆるものをつなぐ「IoT」の活用が進んでいる。平成28年6月、経済産業省が地域でIoTビジネス創出を支援する制度「地方版IoT推進ラボ」を募集。同年7月、第1弾として全国29地域のプロジェクトが採用された。福井県では、IoTの活用を検討する企業の情報不足やビジネスマッチングの機会不足を解消することを目的にした取り組みが「福井県IoT推進ラボ」として認定された。その具体的な取り組みを聞いてみた。

情報不足やビジネスマッチング不足を支援

経済産業省とIoT推進ラボは、地域におけるIoTプロジェクト創出のための取り組みを「地方版IoTラボ」として選定している。昨年7月の第1弾に続き、今年3月の第2弾で24地域を、6月の第3弾で21地域を選定した(合計74地域)。ロゴマークの使用権付与、メルマガやラボイベントなどによるIoT推進ラボ会員への広報、プロジェクトへのメンターの派遣などの支援を行っている。

福井県IoT推進ラボ(以下、ラボ)は、ITやIoTの活用を検討する県内ものづくり企業の情報不足やビジネスマッチングの機会の不足を解消するため、次のような支援策を掲げている。

・セミナー、勉強会、交流会の開催・情報収集、情報発信
・メンター派遣
・企業間のネットワーク形成
・ビジネスマッチング

そして、KPI(重要業績評価指標)として次のような目標を掲げた。

・平成32年度までに、IoTの導入やウェアラブルについて研究する事業所を150社確保する
・ウェアラブル機器、関連アプリなどの関連製品を合計100件開発する

ラボは、福井県機械工業青年会、福井県農業機械商業協同組合青年部、eテキスタイル製品開発研究会、福井県眼鏡工業組合、福井県情報システム工業会などが中心になって設立された。福井県 新産業創出課 主査の岩井渉氏は、認定以後の取り組みを次のように話す。

「福井県にはメガネ、繊維などの基幹産業があります。IoTへの新しい取り組みとしては、メガネであればスマートグラス、繊維ならeテキスタイル(太陽光発電にも用いられる導電性の高い繊維)などが挙げられます。こうした最終製品を製造している企業がIoTを活用できるように中央の企業などとマッチングを図ったりして開発支援を行っています。当初、福井県眼鏡工業組合はスマートグラスへの取り組みとして参加していただきましたが、スマートグラスだけでなくメガネ自体の生産性の向上も喫緊の課題になっていることがわかりました。生産性の向上にもラボが活用できるため、中央からアドバイスをいただいています」

入会企業は128社、2カ月に1回セミナーを開催

福井県で新産業を推進する新産業創出課は今年度からスタートしたセクションだ。同課で掲げている新産業とは大きく、「IoTビジネス」「ライフサイエンス(医療産業の支援)」「県民衛星(県内の企業で小型の衛星を打ち上げるプロジェクト)」の三つ。ラボの推進は「IoTビジネス」分野の新しい取り組みとして位置づけられている。

では、取り組みはどのように進められているのだろうか。

■セミナー・勉強会・交流会の開催

昨年10月には、第1回IoTビジネス交流会を実施。12月には「中小企業のためのIoT導入支援セミナー」と「IoTプロジェクトチーム派遣」(福井県の補正事業)を、今年3月には「中小企業のためのIoT導入事例セミナー」、6月には「商業・サービス業のためのIT/IoT導入支援セミナー」「地域の課題を解決するIoTビジネスセミナー」を実施するなど、ほぼ2カ月に1回のペースでセミナーや勉強会を開催している。

「現在、入会企業は128社になりました。あらゆる業種にまたがっていますが、やはりものづくり企業(製造業)、システム関係の企業が多いですね。サービス業を対象にしたセミナーも行いましたが、参加したショッピングセンターからはポスレジを買い物予測、需要予測につなげていきたいといった要望が出ました。セミナーをやってみて、新しいニーズが明らかになる。今後の展開につなげていきたいですね」(岩井氏)
セミナーは会員企業に限らず、広く募集しているという。セミナーで呼ぶ中央からの講師は、中小企業庁などが計画を作る際にアドバイスを仰いでいるコンサルタントが多く、IoT関連のキーパーソンは決まった顔が多い。

セミナーなどで紹介される成功事例なども、登場人物はほぼ同じだという。

■情報収集・情報発信

国運営の地方版ラボを集めたサイトがあり、その中で福井県の取り組みを情報発信している。また、経済産業省や各省庁がツイッターで情報発信をしているので、福井県も独自のツイッターのアカウントを作り、福井県の企業が抱える課題などをリツイートしたり、福井県のセミナーの情報などをツイッターで発信している。ラボに入会している会員には、個別に情報提供をしている。

■メンター派遣

「メンターの派遣については、メガネに関して専門家を月に1回招いてIoT導入のアドバイスを受けています。繊維に関しては、eテキスタイルという新しい部材を売るための国内動向の情報共有が必要になります。国が行っている派遣支援策で中央のコンサルタントを呼び、県内の企業が勉強できる仕組みにしています」(岩井氏)

■企業間のネットワーク形成、ビジネスマッチング

これらはラボの取り組みの成果となる。現時点では、目に見える形では成果が得られる段階ではないという。

課題があるところにIoTのニーズがある

地方版IoT推進ラボに取り組む団体同士の情報交換や交流はどうなっているのだろう。経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営する「地方版IoT推進ラボ」のサイトがあり、全国のIoT推進ラボの情報がアップされている。

「経済産業省には積極的に担当者会議を主催していただいています。10月に開催されたCEATEC JAPAN 2017でも地方版IoT推進ラボの共同ブースで27地域の取り組み状況を報告しました。福井県もブースを出し、他県の取り組みも勉強させていただきました。今後はますます国レベルでの情報交換が大事になるでしょう」(岩井氏)

では、これからラボはどのように展開してゆくのだろうか。国がプロジェクトを募集した際に掲げたKPIは、ラボ認定してもらうために設定した条件のようなもの。状況に応じて目標を見直していかなければならないと岩井氏は言う。

「他の自治体との情報交換で、高知県や北海道などには農業IoTのニーズがあることを知りました。課題があるところにIoTのニーズがあるというのが共通していますね。本県の鯖江市は、メガネフレームの国内生産シェア96%というメガネのまちで、当初、スマートグラスなどのウェアラブル端末の開発はIoTの大きなテーマになると考えていました。動き出してみると、メガネの生産性向上といった、当初想定していなかったテーマも明らかになりました。企業の新しい課題、ニーズが見つかれば積極的に支援していきたいと考えています」(岩井氏)

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