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『Autodesk University Japan 2017』レポート 2020年に向けて日本のモノづくりに大きな商機

『Autodesk University Japan 2017』レポート 2020年に向けて日本のモノづくりに大きな商機

2017年11月10日更新

2020年に向けて「モノづくり」に大きな商機
何でも作れる環境をオートデスクが提供する

『Autodesk University Japan 2017』

オートデスクは同社製品のユーザーとなる製造、建築、土木、メディア&エンターテイメントなどの業界に向けた情報発信と参加者の交流を目的としたカンファレンス「Autodesk University Japan 2017」を9月21日と22日の2日間にわたり都内のホテルで開催した。モノづくりにおける最新テクノロジーの動向や同社製品の紹介をはじめ、オートデスク製品を活用したイノベーションの実例の紹介など興味深い内容だった。

2020年に向けてモノづくりを支援

「Autodesk University Japan 2017」の開会の挨拶を述べたオートデスク アジア太平洋地域担当 上級副社長でオートデスク株式会社 代表取締役を務めるパトリック・ウィリアムス氏は「オートデスクの使命は何でも作れる環境を整えること」だと強調し、日本政府が推進するモノづくりを基盤とした経済再生計画や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて鉄道、道路、空港などのインフラを整備するプロジェクトなどを支援したいと話した。

ウィリアムス氏は日本のモノづくりには世界に誇れる最先端の技術と開発能力があると評価し、日本のモノづくりにオートデスク製品が貢献していると説明。その実例として渋谷駅の再開発プロジェクトを挙げた。

渋谷駅およびその周辺は東京の中でも古く複雑な鉄道システムと建物のインフラで構成されており、渋谷駅の再開発には高度な技術が求められると説明。そのプロジェクトを担う東急建設は渋谷駅において通常のサービスを提供しながら再開発を進めており、オートデスクのテクノロジーによる高い精度の精密な設計によってそれが実現できているとアピールした。

モノづくりを進化させる三つのトレンド

オートデスク ワールドワイド・セールス・サービス担当 上級副社長 スティーブ・ブラム氏は「The Future of Making Things−創造の未来」をテーマに基調講演を行った。ブラム氏はこれからの変革は三つのトレンドによって実現されると語り、「製造」「コネクション」「機械学習」をテーマに挙げた。まず製造ではボーイングの事例を紹介した。

ボーイングでは航空機であるB787の機体で使用するチタン製の構造部品を3Dプリンターで製造し始めた。これは3Dプリンターで製造した構造部品の使用を米国連邦航空局が初めて認めた快挙だと評価し、同時に1機あたりの製造コストを300万ドル削減できる効果を説明した。
このように製造プロセスの進化に伴い、今後は「As Designed」が「as-built」に変わっていくだろうとブラム氏は予測し、「ボタンを押すことでマシンのアルゴリズムがデザインからエンジニアリング、シミュレーション、パブリケーションに至るまで自動化してくれる」未来が訪れると予見した。

続いてコネクションについて、ビルや高速道路、自動車、映画など、作るものすべてがお互いにネットワークでつながっており、そこから非常に大きなデータが生み出され、それを機械学習やAIを通じて活用することで洞察できるようになったと説明した。

三つのトレンドの加速によって今後はロボットがデザインのやり方、製造のやり方、仕事の仕方を変えていくだろうと語り、「ロボットが人間の仕事を奪うのではなく人間の仕事を強化してくれる。人間とロボットがパートナーシップを組むことでよりスマートに、よりよい製品や建物が実現できる」と語った。

持続可能なデザインで未来に備える

ブラム氏は三つのトレンドによる変革よりも大きな破壊的変革があると話を続けた。それは資源の制約だ。すでに地球上の資源は人間を支えるぎりぎりの状態だと指摘し、今後は気候変動によってあらゆる業界でモノづくりを考え直す必要があると強調した。その解決策として持続可能なデザインを挙げた。

2050年までに70億人が都市に住むようになり、これから毎日1,000棟のビルを建てなければならないと例を挙げ、より軽い、再利用できるモノをデザインしたり、エネルギーや水の利用効率が高い、材料を無駄にしない建物をデザインしたりする、持続可能なデザインが必要になると説明した。

ブラム氏は持続可能なデザインの実例としていくつかの取り組みを紹介した。まずRoyal BAM Groupのオランダ・アムステルダムの本社だ。この建物は別の建設現場の廃材を再利用したり、社員が寄付したデニムを断熱に使用したりして建築されたという。

このような建築を「循環型建築(Circular Construction)」と言い、低炭素製品およびサービスには5.5兆ドルの市場規模があるとビジネスチャンスの魅力を強調した。

日本のクラウドビジネスに期待

ブラム氏の基調講演に続いてオートデスク製品のユーザーで象徴的な活用事例を持つ建築家の藤本壮介氏(藤本壮介建築設計事務所)と株式会社カブク インダストリアルデザイナー オープンイノベーション推進事業 事業責任者 横井康秀氏がそれぞれ自身の取り組みを紹介した。

藤本氏は自身が手掛けた世界各地のユニークな建物のデザインや設計のプロセスおよび街づくりの考え方について解説した。そしてカブクの横井氏は3Dプリンターを活用した同社のモノづくりの実例を紹介し、オートデスク製品の有用性を高く評価した。

最後にオートデスクのパトリック・ウィリアムス氏は「イノベーションは競合との差別化および競争優位の獲得に不可欠。ただしイノベーションにはツールやテクノロジー、ワークフロー、デザイン、サービスを最新にすることが求められる。中でもツールはコネクテッドを推進するものでなければならない。なぜならチームの枠を超えてコラボレーションするなど全てモノやヒトがつながっており、コネクテッドエコシステムに関わっているからだ」と説明し、クラウドの重要性を強調した。

オートデスクのスティーブ・ブラム氏も「三つのトレンドによるイノベーションを実践できるのは大企業だったが、これからはクラウドを活用することで中小企業も実践できる。オートデスクはクラウドを積極的に展開している」と説明した。

そして日本市場についてウィリアムス氏は「世界で第二位の市場規模」だと説明し、「日本市場におけるオートデスクのクラウドサービスのサブスクライバーは直近の1年間で2倍に増えた」と今後の成長に向けて大いに期待している様子だった。

(左)オートデスク アジア太平洋地域担当 上級副社長 パトリック・ウィリアムス 氏

(左中央)オートデスク ワールドワイド・セールス・サービス担当 上級副社長 スティーブ・ブラム 氏

(右中央)藤本壮介建築設計事務所 建築家 藤本壮介 氏

(右)株式会社カブク インダストリアルデザイナー オープンイノベーション推進事業 事業責任者 横井康秀 氏
オートデスク製品の最新ソリューションを紹介する展示会場も盛況だった。

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