ホーム > PC-Webzineアーカイブ > 混在する企業インフラの統合管理を実現する新アーキテクチャー"SD-HCI"

混在する企業インフラの統合管理を実現する新アーキテクチャー

混在する企業インフラの統合管理を実現する新アーキテクチャー"SD-HCI"

2017年10月20日更新

企業の混在するインフラ環境の統合管理が可能な
新たなアーキテクチャー“SD-HCI”がSIerのニーズを生む

企業でのクラウドサービス導入が増加するなか、新たな課題が生まれている。それは従来のインフラ環境との統合的な管理が行えない点だ。そうした課題を解決するため、「SD-HCI」というアーキテクチャーを提唱しているのがネットワンコネクトだ。SD-HCIとはどのようなアーキテクチャーなのか、担当者に話を聞いた。

Lesson 1 パブリッククラウドの利用増加で生じた課題

従来、自社のオンプレミスサーバーやプライベートクラウドではない場所にデータを預けることは、セキュリティの観点から望ましくないとされており、特に大企業はパブリッククラウドの利用を避ける傾向にあった。

しかし最近では、金融業をはじめとしたセキュリティを重視する大企業がパブリッククラウドの利用をスタートさせるなど、クラウド利用の選択肢に変化が生じている。例えば外部で処理できない重要なデータは自社内サーバーやデータセンター上のプライベートクラウドで扱い、それ以外のデータはパブリッククラウドを利用するようなハイブリッドクラウド環境が、昨今の企業内インフラとして増加傾向にあるのだ。

このようなオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドが混在した環境は、企業が運用していく上で負担が大きい。それぞれのインフラが異なるため、統合的な管理が行えないからだ。

企業のネットワークインフラやプラットフォームの開発・運用などを手がけるネットワンシステムズは、前述したような企業が抱えるインフラの課題を受けて、クラウドネットワーキングソフトウェアパッケージの開発・販売に特化した新しい会社「ネットワンコネクト」を4月3日に設立した。このネットワンコネクトが提唱しているのが、オンプレミスとパブリッククラウドを単一ポリシーでセキュアに接続し、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境での容易な統合管理を実現する「SD-HCI」(Software Defined Hyper Converged Infrastructure)というアーキテクチャーだ。

Lesson 2 混在する企業インフラの課題を解決するSD-HCI

そもそもSD-HCIとはどのようなアーキテクチャーなのか。端的に説明するのであれば、ソフトウェアで柔軟に定義できるネットワークSDN(Software Defined Network)のサーバー版だ。昨今では仮想化環境を柔軟に構築・管理できるハイパーコンバージドインフラストラクチャー(Hyper Converged Infrastructure)が大きな注目を集めているが、SD-HCIはパブリッククラウドも含めたインフラ環境をアーキテクチャーベースで構築・管理できるのが特長だ。

このSD-HCIのコアとして開発されたのが、物理環境と仮想環境の統合管理および、ハイブリッドクラウドのためのオーケストレーション機能を提供するソフトウェア「Artimate Package」だ。

Artimate Packageについて、ネットワンコネクトの代表執行役社長を務める平川慎二氏は「本製品は、ネットワーク機器メーカーであるアリスタネットワークスと、仮想化ソフトウェアの製造、販売を手がけるヴイエムウェアと連携して、現在の企業インフラの課題解決に向けた製品作りのための戦略的提携を行い開発しました。プライベートクラウドやパブリッククラウドなどが混在したIT環境を、あたかも単一のクラウドであるかのように一元的に管理するための機能群をパッケージ化したもので、企業側の運用管理の負担を大幅に低減できます」とその利用メリットを語る。

Lesson 3 統合管理によって障害切り分けを容易に

ネットワンコネクトの事業統括部 部長を務める中嶋二三男氏は「ユーザー企業からは、パブリッククラウドだけとか、データセンターだけではなくて、統合して運用できるインフラが求められています。それらをソフトウェア化して柔軟に管理できるようにするのがArtimate Packageです」と話す。

例えば、オンプレミス上の仮想サーバーとパブリッククラウド、プライベートクラウドをそれぞれ使用している環境で異常を検知した場合、どの環境でどのような障害が発生してトラブルが起きているのかを管理者側が切り分けをしていく必要がある。こうしたトラブルへの対処といった運用保守も管理者の業務の一つではあるが、トラブルへの対処に時間がとられすぎてしまい、戦略的な攻めのIT投資に取り組めていない企業も数多い。

中嶋氏は「Artimate Packageの可視化(テレメトリ)機能を活用すればオンプレミス環境もクラウド環境も、すべて一元的に管理ができるので管理負担を低減できます。将来的にはマルチベンダーに対応することでユーザー企業がメーカーを気にせず、セキュリティやネットワークを含めた一元管理ができるような製品にしていきたいですね」と語る。

Artimate Packageは今年提供をスタートしたばかりの製品で、7月にデータセンター向けのソリューションをリリースしている。また10月以降に統合管理を行えるハイブリッドクラウドネットワーキング機能とセキュリティ機能を追加するとともに、複数のクラウドを接続できる「クラウドHUBサービス」(ネットワンシステムズ提供)と連携することで、セキュアなハイブリッドクラウドの活用を可能にする機能拡張を実施していく予定だ。

Lesson 4 多様なクラウドサービス普及によってSlerのニーズは増加

Artimate Packageは現在テストパイロットによる試験運用を進めており、段階的に一般販売への展開を進めていく。現在はサーバーへインストールするソフトウェアとしての提供のみだが、今後はサブスクリプション形式での提供も予定しているという。

平川氏は「さまざまなベンダーが多様な製品を提供していますが、多くのユーザーが望むのはその製品のもっともよい機能や、簡単で使いやすい部分です。そのため、シンプルな機能として各ベンダーのサービスを利用でき、統合管理や運用が行えるArtimate Packageには大きな需要があると考えています」と話す。

またクラウドサービスの普及によって、ユーザー企業はインフラ構築よりも、利用できる機能を重視する傾向が強くなっている。

「ネットワンコネクトはソフトウェアを販売するベンダーの立場ではありますが、企業のインフラを統合管理する製品ですので根幹を設計していくアドバイザーの立場も兼ねています。ネットワークインフラなどの構築を手がけていたネットワンシステムズの経験をもとに、ベンダーでありながらSIerとしてのスキルも提供できるのが強みです」と平川氏。

クラウドサービスの普及によって、Slerの仕事がなくなるといった危機感を持つ企業は多くあるが、現在の企業インフラを見ると実態は大きく異なる。さまざまなクラウドサービスが登場しユーザー企業に使われているからこそ、それらをつなげて使えるようにできるSIerの需要が高まってきているといえるだろう。

本日の講師

(左) ネットワンコネクト 代表執行役社長 平川慎二 氏
(右) ネットワンコネクト 事業統括部 部長 中島二三男 氏

キーワードから記事を探す