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「世界最先端IT 国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」とは

「世界最先端IT 国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」とは

2017年10月23日更新

データが人を豊かにする社会の実現に向けて

〜世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画を策定〜

2001年の「e-Japan戦略」以降、数年おきに国のIT戦略が改訂され、発表されてきた。今回、4年ぶりに変更があり、2017年5月30日に「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が閣議決定された。いわば、これからの日本社会全体のIT推進計画。すべての国民がITの利活用を意識せず、便益を享受し、真に豊かさを実感できる社会を「官民データ利活用社会」と位置づけた。そのためにどう電子行政を進めていくかを示した「デジタル・ガバメント推進方針」も同時に発表された。新たな電子行政の方針で、国や自治体の取り組みはどう変わっていくのかを検証した。

「官民データ利活用社会」のモデル構築

「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(以下、基本計画)が目指す「官民データ利活用社会」とは、「データが人を豊かにする社会」「データの上でヒト、モノ、カネが活きる社会」といってよい。2001年の「e-Japan戦略」以来、目指してきた「世界最先端IT国家」の具体的な姿が「官民データ利活用社会」によって実現するというのだ。

ヒトとヒト、ヒトとモノ、モノとモノがつながりを深め、ネット上を流通するデータの共有・利活用が進展し、人間とAI、ロボットなどが共存する……。そのような時代の到来を見据えて、先進国に先駆けて新しい社会のモデルを構築する絶好の機会と捉えて対応していくことが必要であるという。具体的な方策として、次のような取り組みが示されている。

・国、地方公共団体等のオープンデータの促進
官民データをさまざまな主体が容易に活用できるようにするため、国、地方公共団体等におけるオープンデータを推進する

・紙中心の文化からの脱却
官民データ利活用に向けた行政手続などのオンライン化、システム改革・業務の見直し(BPR)の推進

・官民データの利活用ルールの整備、円滑なデータ流通に関連する制度の見直し
・官民データ連携のための標準化の促進

データの標準化(語彙、コード、文字など)やAPIの連携、分野横断的なサービスプラットフォームの整備
・デジタルデバイド対策、研究開発、人材育成、普及啓発

これらの施策を国や地方公共団体で実施するに当たっては、行政区域に関係なく官民データが流通し、横断的に利活用されるものと認識し、国と各地方公共団体、各地方公共団体間で施策の整合性が確保されるよう、全体を俯瞰しつつ総合的に進めるとしている。

「デジタル・ガバメント推進方針」の中身

基本計画では、八つの重要分野(①電子行政、②健康・医療・介護、③観光、④金融、⑤農林水産、⑥ものづくり、⑦インフラ・防災・減災等、⑧移動)を定め、重点分野ごとのメリット(各分野ごとの今後の姿)が図解で示されている。

右頁の図は、電子行政分野の今後(国民、事業者などにもたらされるメリット)をイメージしたもの。重点的に講ずべき施策には、

①オンライン化原則、業務の見直し(BPR)を踏まえたシステム改革
②オープンデータの促進
③マイナンバーカードの普及・活用

とがあり、国と地方自治体でシステム改革、BPR、自治体クラウド化、バックオフィス連携が進むことで、個人の側でワンスオンリー・ワンストップ、住民票・戸籍の提出不要、プッシュ型通知、民・民取引のオンライン化などが可能になるとしている。

こうした電子行政の施策を進めるために策定されたのが「デジタル・ガバメント推進方針」である。これまで国や地方自治体が獲得してきた実績やノウハウを生かし、これまで以上に国民や事業者の利便性を向上させ、官民データの流通を活発にさせるための新たな取り組みがまとめられている。

具体的な方針としては、以下の三つの柱のもと、これからの電子行政が目指すべき方向性が示されている。

①デジタル技術を徹底活用した利用者中心の行政サービス改革
・サービスデザイン思考に基づく業務改革(BPR)の推進
・デジタル技術に対応した情報提供のあり方の見直し

②官民共働を実現するためのプラットフォーム構築
・データ流通を促進する環境の整備
・官民データ活用のためのインターフェースの整備
・プラットフォームの共用化と民間サービスの活用

③価値を生み出すITガバナンス
・サービス改革に対応した推進体制の整備
・ITマネジメントの徹底と投資効果の最大化

さらに、これらを実現するための「デジタルファースト・アクションプラン」を策定。次のような三つの指針「行政手続きIT化にあたっての3原則」が示されている。

①デジタルファースト
国や自治体のオンライン化が進むことで、個々の手続きが一貫してデジタルで完結

②ワンストップ
民間サービスを含めて、どこでも、1カ所でサービスが実現

③ワンスオンリー
一度提出した情報は再提出不要(住民票の写し、戸籍謄抄本などの原則不要化)

概ね1年以内をめどにして、この3原則の取り組みを集中的に進めていくという。

どうなる地方自治体との連携・協力

官民データの利活用には、国と地方自治体間、各地方自治体間の施策について、一定の整合性を確保し、官民データを円滑に利活用することが不可欠である。

「官民データ活用推進基本計画について」(内閣官房IT総合戦略室)によると、地方公共団体における官民データ活用の推進に当たっては、都道府県は官民データ活用の推進に関する施策の基本的な計画(都道府県官民データ活用推進計画)の策定が義務付けられている。

一方、市町村は、官民データ活用の推進に関する施策の基本的な計画(市町村官民データ活用推進計画)の策定に努めることと定められており、こちらは「努力義務」とされている。地方公共団体の重点施策としては、次のような項目が挙げられている。

・行政手続きに係わるオンライン利用の原則化
・保有する官民データの活用の推進(オープンデータの推進)
・マイナンバーカードの普及および活用に関する計画の策定
・利用の機会均等などの是正
・情報システムに係わる規格の整備および互換性の確保、業務の見直し

これらの計画の策定に当たり、今秋をめどに、計画に盛り込むべき施策を記載した「地方版官民データ計画の雛型」を作成、地方公共団体に示し、国・地方と一体となった電子行政を推進していく。さらに、基本計画の周知広報、地方公共団体からの求めに応じた国からの情報提供、法制上の措置も含め必要な支援などを行っていくという。

都道府県及び市町村による計画が早期に策定され、関連する施策との連携が図られることで、国全体として官民データの利活用が一体的に進む。新たなフェーズに向けて、国と地方公共団体との連携・協力が進むことになりそうだ。

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