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田辺三菱製薬株式会社 代表取締役社長 三津家正之氏 インタビュー

田辺三菱製薬株式会社 代表取締役社長 三津家正之氏 インタビュー

2017年09月15日更新

医療の未来を切り拓く、田辺三菱製薬の取り組み
~デジタルヘルスケア時代への挑戦~

NEC iEXPO KANSAI 2017 セミナーレポート

NECグループは今年も「NEC iEXPO KANSAI」を2017年7月7日に大阪のグランフロント大阪 ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターで開催した。展示会場ではNECグループの「社会ソリューション事業」への取り組みやIoTおよびAIなど最新テクノロジーを活用した同社のソリューションが紹介されたほか、セミナー会場では企業のトップや各分野の第一人者が登壇し、これからのビジネスに役立つテーマで講演が行われた。ここでは田辺三菱製薬株式会社 代表取締役社長 三津家正之氏の特別講演をレポートする。

田辺三菱製薬株式会社 代表取締役社長 三津家正之氏

65歳以上の医療費の負担が激増

田辺三菱製薬は田辺製薬が創業した1678年から数えて約340年の歴史を誇る、世界で二番目に古い製薬会社だ。同社は2007年に田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併して誕生し、今年で10年がたつ。

同社の代表取締役社長 三津家正之氏は同社の沿革や主力製品を紹介し、最新の話題となる米国でALS治療薬として20年ぶりに承認され、2017年8月より発売を予定している製品を紹介した後、社会のサスティナビリティーに貢献する同社の取り組みを説明した。

まず三津家氏は世界各国で高齢化が進んでいるが、「中でも日本は非常に速い速度で高齢化が進行しており、世界に先駆けて医療費高騰の課題が顕在化している」と指摘した。

その具体例として年間の医療費を示し、65歳未満と65歳以上とで4倍もの差があると指摘、その金額は65歳以上で年間一人当たり約72万円になるという。

さらに国民医療費の負担額が2014年は約40兆円であったが、現在の状況のまま高齢化が進むと2025年には1.5倍の60兆円に膨れ上がると警鐘を鳴らした。

平均寿命ではなく健康寿命の延伸が必要

高齢化による国民医療費の負担増をはじめとした社会的費用増大の要因として三津家氏は平均寿命と健康寿命の差を指摘し、日本は男女ともに平均寿命が世界一だが、健康寿命は平均寿命よりも男性で約9年、女性で約12年低いとデータを示した。つまり男性は約9年間、女性は約12年間、活動できないまま寿命を迎えることになる。

三津家氏は「平均寿命ではなく健康寿命を延伸して差を限りなく短くすることが医薬品の役割であり製薬会社の社会的な使命だ」と強調した。

その具体策として同社は疾患の対処療法や疾病の進行阻止といった従来型医薬品および手術から、ワクチンや先制医療製品といった予防・対策、あるいは再生医療などによる治癒・根治に注力していくという。

三津家氏は「当社は単に寿命を延ばすことだけを目的とした医薬品の開発に取り組んでいない。医療費の増大を抑制することができる未来の医薬品の開発に注力している。つまり、少子高齢化で働き手が減る中、自立し社会活動を送ることができる高齢者を増やすことで社会のサスティナビリティーに貢献することが我々、製薬産業の使命である」と説明する。

デジタルヘルスケア活用で健康寿命を延伸

製薬会社の役割である医薬品の開発、すなわち創薬はきわめて難しいことには変わりがないという。化合物およびその組み合わせを探し出し、検証して発売に至るまでに長い時間と労力、そして成功の確率はわずか3万分の1という経営資源の消費が必要となるからだ。

三津家氏はこの創薬の過程にAIを活用することで創薬を効率化し、確率を向上させられると期待する。また、営業ビッグデータの解析によって製薬会社のMR(医薬情報担当者)からの情報を、より個々の医師のニーズに合致した内容に近づけることで最適治療の実現に貢献したり、画像解析によって症状を把握したり、診断を的確化したりできるなどデジタルヘルスケア活用の可能性を語った。

そして三津家氏はデジタルヘルスケア活用にはIT企業と連携が必要となるため、田辺三菱製薬では「ICTマネジメント部」と「フューチャーデザイン部」という部署を新設するなど社内組織の構造改革を推進していると説明した。(レビューマガジン社 下地孝雄)

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