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DXの影響で拡大するクライアント仮想化市場

DXの影響で拡大するクライアント仮想化市場

2017年09月02日更新

サーバー仮想化環境との比較提案が有効

Hyper-Converged Infrastructure

ノークリサーチは、「2017年版 中堅・中小企業におけるサーバ導入の実態と展望レポート」を発表した。

2017年に実施した調査によれば「すでに導入済みである」と回答した企業の割合は1割程度に留まる。しかし、2016年から2017年の導入率回答割合を比較すると、ハイパーコンバージドインフラ製品の導入は進みつつある。

ハイパーコンバージドインフラ製品をすでに導入している企業が課題として挙げているのは、通常のサーバーと比較して価格が高価であるという点だ。半面、「従来のサーバー仮想化より導入負担が大きい」という回答割合は低いため、ベンダーや販売店/SIerがハイパーコンバージドインフラ製品を訴求する際には、通常のサーバー機器の価格と比較するのではなく、SANなどを含めた既存のサーバー仮想化環境の費用と比較するべきであることを伝える必要があると同社は指摘している。

「HCI製品の活用状況」のグラフを見てみると、年商100億円以上〜300億円未満の企業が「導入を計画/予定している」および「導入を検討している」と回答した割合が2016年から2017年にかけてともに高まっており、今後市場を牽引する市場層だと判断できる。しかし、年商30億円以上〜50億円未満および年商50億円以上〜100億円未満の企業では、2016年から2017年にかけて「導入を検討している」もしくは「導入を計画/予定している」のどちらかの割合が若干減っている傾向にある。「導入済み」の回答割合を今後も伸ばしてくためには、これらの企業層も視野に入れる必要があると同社は指摘している。

アプライアンス製品の普及が6割を超える

Hyper-Converged Infrastructure

ハイパーコンバージドインフラは、サーバー機器に内蔵されたHDDやSSDをソフトウェアにより共有し、サーバー仮想化に欠かせないストレージ環境を組み立てる構造を指す。この共有の際に必要となるソフトウェアはハイパーコンバージドインフラ基盤ソフトウェアと呼ばれている。サーバー機器とハイパーコンバージドインフラ基盤ソフトウェアの組み合わせにより、ハイパーコンバージド製品は構成されている。これらの構成を踏まえると、ハイパーコンバージド製品は3つの種類に分類できる。アプライアンス製品、自社作業型、他社委託型だ。

一つ目のアプライアンス製品はサーバー機器にハイパーコンバージドインフラ基盤ソフトウェアが組み込まれているもので、サーバーベンダーから購入する形態だ。自社作業型は、サーバーとハイパーコンバージドインフラ基盤ソフトウェアを別々に購入し、ユーザー企業が自ら導入や設定を行う。他社委託型は、サーバーとハイパーコンバージドインフラ基盤ソフトウェアを別々に購入し、販社/SIerなどに設定や導入を依頼する形態だ。

「導入済み/導入予定のHCI製品の形態」のグラフを見てみると、現時点で普及が最も進んでいるハイパーコンバージドインフラ製品はアプライアンスで、導入及び導入予定の割合が62.1%となっている。次いで割合が高いのが、自社作業形式で、27.8%という割合になった。他社に導入/設定を委託するという形態の導入/導入予定の割合は13.7%という割合となっている。

導入済み/導入予定のハイパーコンバージドインフラベンダー別シェアは、ハイパーコンバージドインフラ基盤ソフトウェアとサーバー機器の各々の購入の割合が40.4%と一番高くなっている。それに次ぐのが、デル/EMCジャパンの17.0%、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の11.2%となった。また、ベンダーがまだ決まっていないという企業も多く、15.2%となった。ベンダー別のシェアとしては、外資系のベンダーが国産ベンダーよりもやや優勢だ。

DXの影響で2021年までの年平均成長率は9%で推移

Virtualization

IDC Japanは「国内クライアント仮想化市場予測」を発表した。同調査によると、国内クライアント仮想化ソリューション市場は、2021年に8,927億円まで拡大し、2016年〜2021年の年平均成長率は9%と予測された。市場拡大の背景としては、デジタルトランスフォーメーション、重視型IT投資、インターネット分離対策、ワークスタイル変革などが挙げられている。

昨年に引き続き、2017年もクラウド、ビックデータ、モビリティ、ソーシャルの4つの要素で形成される第三のプラットフォームが実現させるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が、すべての業界に影響を与えると予測された。特にクライアント仮想化技術はDXにおいて重要な役割を果たすと同社は指摘しており、「ワークスペースの複雑化、高度化」「次世代のクライアント仮想化(VDI2.0など)」「VDIとGPU仮想化の一般業務への浸透」など技術的要因がクライアント仮想化市場拡大に寄与するという。

前述したような市場拡大に伴い、2021年のクライアント仮想化利用ユーザー数は745万人、モバイル仮想化利用ユーザー数は1,100万までに拡大すると予測された。なお、このユーザー数はクライアント仮想化製品とモバイル仮想化製品を両方利用するユーザーも一定数存在する数値とした値である。

産業分野別のユーザー数においては、2016年の段階では、セキュリティを重視する金融産業のユーザーが最も多いものの、製造、小売り、一般サービスといった産業と比較して非常に少ないため、ユーザー数の増加ペースは限定的なものとされる。2021年には、社数/従業員数の多い製造のユーザー数が152万人、自治体/教育のユーザー数が143万人にまで拡大すると予測されている。

SaaS利用が中小企業から大企業へ広がる

Cloud Computing

富士キメラ総研は、「2017 クラウドコンピューティングの現状と将来展望」を取りまとめた。市場は拡大を続けており、2020年度には2015年度比76.6%増の3兆6,922億円となる予測だ。

特に大きな伸びが予測されるのが、SaaS、DaaS、IaaS/PaaS(オートセルフ型)、IaaS/PaaS(オーダーメイド型)で構成されるパブリッククラウドである。

中でもSaaS(業種共通型/業種特化型)は当初、中小企業を中心に使用されていたが、短期間で導入が可能なこともあり、近年は大企業での利用が増加している。業務共有型の利用としては、メールやグループウェアのような情報系のアプリケーションが中心となっており、メガクラウドベンダーの提供するサービスが好調だ。加えて、業務プロセスの共通性が高い財務/会計、人事/給与などの基幹系システムや、セキュリティ関連での伸びも期待されている。業務特化型は、流通業やサービス業などの比較的小規模な企業が多い業種での導入が進んでいる。今後はさらに製造業におけるスマート工場や、地域医療連携/地域包括ケアの医療/福祉介護、教育のIT化による学校教育などを目的とした導入が期待されている。

DaaSはIaaSの付加価値サービスとして展開するベンダーが増加傾向にある。既存ユーザーは金融業、自治体、大規模製造業が中心だったが、中小企業での導入も増えている。中小企業の導入の背景としては、ワークスタイル改革やインターネット分離による、ニーズの拡大があると同社は指摘した。

業種別業種別の動向は、エンターテイメント系の業種では落ち着きがみられた。しかし、他の業種では金融業の一部でクラウドの積極的な利用が起こっている。また、海外を拠点とする製造業のニーズも高っている。

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