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VAIOが収益構造の改善から成長戦略へと進展、法人向けPC販売とVR事業、中国市場で攻める

VAIOが収益構造の改善から成長戦略へと進展、法人向けPC販売とVR事業、中国市場で攻める

2017年08月08日更新

VAIOが収益構造の改善から成長戦略へと進展 法人向けPC販売とVR事業、中国市場で攻める

VAIO株式会社 代表取締役社長 吉田秀俊氏

VAIOがソニーから独立して三代目の社長が2017年6月に就任した。日本ビクターなどで社長を務めた吉田秀俊氏だ。吉田氏はこれからのVAIOの成長に向けて「VAIOはブランド名であるが社名でもある。企業価値を高めるにはVAIOブランドの価値を高めるしかない」と話し、その戦略を説明した。

法人向けPC販売が倍増

VAIOの代表取締役社長 吉田秀俊氏は2014年の設立から3年間で大きな成長を遂げたと強調する。主力のPC事業について従来のVAIOはB2Cのイメージが強かったが、この3年間で法人向けPCの出荷台数を倍増させるなど、法人向けビジネスを大きく伸ばしてきた。

吉田氏は「法人向けの販売体制や営業体制、保守・メンテ体制が整いビジネスを伸ばすことができた。その結果、2014年は100億円未満だった売り上げが3年間で2倍の200億円になった。営業利益は昨年比3.2倍、営業利益は二期連続で黒字、最終利益も黒字を達成した。まだまだ筋肉質にして高収益体質を目指す」と勢いを見せる。

PC事業の収益構造の改善には第二の事業であるEMS事業も貢献しているという。PC事業だけだと固定費が大きく利益が出しづらいが、PC事業の資産を活用してEMS事業を展開し、その売り上げが上がることで固定費をカバーできる。PC事業の負担が軽減されるとともに、EMS事業も単独で採算が狙えるという仕組みだ。そのEMS事業も昨年収支が改善し、今後は黒字化が狙えるという。

四つの領域で特異な技術、リソースをフル活用

吉田氏は「構造改革の第一段階は完了した。これからは今後3年~5年の長期の成長戦略の段階に入る。その目標は一つ。ブランド価値を高めることだ」と強調する。

その方策について「安定した高収益企業になること」「特異な技術、リソースをフル活用すること」「ハードだけに依存しないこと」の三つの条件を挙げた。

中でも「得意」ではなく「特異」な差別化できる技術を、「活用」ではなく「フル活用」してリソースを使い切ることを強調した。

そして具体的な施策として四つの領域を挙げた。従来からのPC事業とEMS事業に加えて、そして新たに中国市場への「再」進出、第三のコア事業としてVRソリューション事業を開始する。

PC事業については法人向け販売が好調とはいえ課題もあるとして、「ビジネスマンのためのPC」であることや「信頼性と安心」、そして仕事で使うための条件を満たす」ことを挙げた。

吉田氏は「ビジネスマンのためのPCは改善できている。信頼性と安全に関しては本来の強みであるがきちんと伝わっていないことが課題だ。仕事で使うための条件については有線LANポートが必要などの要望を取り入れていくと説明し、弱みを強くして強みを伸ばしていく」と説明した。

中国市場ではECサイトのみで販売

海外進出についてはすでにビジネスを展開している北米、南米(ブラジル、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ)に加えて、今回発表した中国市場で6カ国目となる。

PCブランドのVAIOとして中国市場は再進出ということになる。ただし今回の中国市場での販売方法はネット通販のみとなる。しかも販売するのは「VAIO Z」と「VAIO S13」というハイエンドおよびハイスタンダードな製品が選ばれており、顧客を絞って中国市場におけるVAIOのブランド力強化を目指していることがうかがえる。

中国市場で販売提携するのはJD.COMの1社だけだ。JD.COM(京東商城)は中国市場で売上高トップレベルのECサイトを運営する。ECサイトに加えて中国の人口99%をカバーする物流インフラも構築している強みがあるという。

360度VRで第三のコア事業を展開

第三のコア事業を目指すのがソリューション事業だ。ソリューション事業は2018年度から事業部として本格的に事業を開始するが、今年度(2017年度)から準備室としてすでに活動を開始している。

ソリューション事業部は社内のリソースを活用して新しい事業を展開できるアイデアの受け皿となる役割を担う。つまり将来、コア事業を増やしていくための培養室といったところか。

ただしアイデアを事業化する際にVAIOのリソースだけでは実現できないため、足りないリソースを持つ企業と提携する。

そのお手本として最初に開始するのがVRソリューションだ。VRソリューションはABALと業務提携して事業展開する。ABALはVRシステムおよびコンテンツの開発、制作、運営のノウハウを持つ企業で、360度VRを活用して恐竜世界を体験できるイベントが「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION 」で開催されている(2017年8月27日まで)。

ソリューション事業で最初にVRソリューションを選んだ理由について吉田氏は「すでに複数の商談が進んでおり、事業として立ち上がりが早いため先行させた」と説明する。

そして吉田氏は「2D、3Dを経験して360度VRを体験すると、360度VR時代は間違いなく来る。この事業について深堀をしていくことは有意義なことだ」と興奮気味に語った。(レビューマガジン社 下地孝雄)

写真右から代表取締役社長 吉田秀俊氏、執行役員副社長 赤羽良介氏、執行役員 花里隆志氏、PC事業部 事業部長 林 薫氏、
執行役員専務 今井 透氏、NB事業部 事業部長 橋本克博氏らがVAIOのこれからの成長に向けて陣頭指揮を執る。

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