
プリンタービジネスはプロダクション向けにシフト、紙以外の印刷に商機を探る
プリンタービジネスはプロダクション向けにシフト
インクジェットによる紙以外の印刷に商機を探る
インクジェットへのシフトが始まる
プロダクション分野におけるプリンター市場ではインクジェットプリンターの製品比率が今後伸び、需要も拡大する可能性がある。現在のプリンター市場では7割以上をレーザープリンターが占めているが、高速インクジェットプリンターはランニングコストや印刷速度で優位性があり印刷品質も向上している。
また高速インクジェットプリンターの製品数も徐々に増加し、さらにオフセットコート紙への印刷が可能なインクが登場するなど用紙対応力も向上している。
このためレーザープリンターによる印刷の一部を置き換え始めており、今後も高速インクジェットプリンターによる印刷は増加すると見られる。
さらに高速インクジェットプリンターはレーザープリンターでは印刷できなかった布や木材など紙以外への印刷が可能で、用途が拡大するかもしれない。ただし現状はレーザープリンターが主流で、市場は横ばいで推移しているようだ。
現在の市場は横ばいで推移
IT専門調査会社のIDC Japanが017年7月11日に発表した国内プロダクションプリンター市場の2017年第1四半期(1月~3月)における調査結果によると、プロダクションプリンター全体の国内出荷台数は前年同期とほぼ同数の約1,610台だった。
市場全体の7割以上を占めているカラープロダクションプリンター(レーザー方式)は前年同期比2.7%減の1,150台、モノクロプロダクションプリンター(同上)は同9.2%増の450台、高速インクジェットプリンターは前年同期と同じ7台だった。
なおプロダクションプリンターとはカラーの印刷速度が70枚/分以上およびモノクロの印刷速度が110枚/分以上のプリンター(ラベル/パッケージ用プリンターを除く)となる。
■国内プロダクションプリンターの出荷台数推移(2014年第1四半期~2017年第1四半期)
印刷市場のデジタル化はこれから
カラープロダクションプリンターは2017年第1四半期に前年同期よりも減少したが、それは2015年、2016年と増加が続いていた反動によるものと考えられ、今後、出荷台数は再び増加に転じるとIDC Japanは予測している。
一方のモノクロプロダクションプリンターの増加は置き換え需要によるものと考えられ、依然としてモノクロ印刷の需要は底堅いと見られる。
プロダクションプリンター市場ではオフセットやグラビア印刷といったアナログ印刷からプロダクションプリンターによるデジタル印刷へのシフトが見られるものの、印刷市場全体に占めるデジタル印刷の割合はまだ非常に小さいようだ。
しかし可変データや少量印刷が可能なデジタル印刷は、企業における印刷物の内製化や少量多品種短納期の印刷を可能にするため、プロダクション市場は今後の拡大が期待できるだろう。
富士ゼロックスとリコーで85%を占める
プロダクションプリンターの出荷台数では富士ゼロックスとリコーが大きなシェアを持っており、この2社で85%以上を占めている。上位5社のうち富士通を除く4社(富士ゼロックス、リコー、コニカミノルタ、キヤノン)のすべてがオフィス向けレーザーMFPベンダーだ。
■国内プロダクションプリンターのベンダー別出荷台数シェア(2017年第1四半期)
今後オフィス市場ではドキュメントワークフローやビジネスプロセスの見直しによりプリント出力が徐々に減少し、オフィス機器の出荷台数も減少していくことが予測されている。このような状況の下でこれらのオフィスレーザーMFPベンダーは市場拡大が期待できる市場として、プロダクションプリンターに注力してくだろう。
デジタル印刷の特性を生かした需要開拓を
IDC Japanでイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューション シニアマーケットアナリストを務める三谷智子氏は「デジタル印刷では可変データ印刷、一部ずつ内容が異なる印刷や少量印刷が可能であるほか、オフィス用紙以外への印刷も拡大している。ベンダーはこうしたデジタル印刷の特性を生かして紙とデジタルを組み合わせたマーケティングや、紙以外の布や木材などへの印刷といった新たな用途の開拓を行い、ユーザーに提案していくことが必要である」と提言している。(レビューマガジン社 下地孝雄)
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