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すべてがコンピューティングになる社会、エンタープライズITの次の姿 〜ハイブリッドITとインテリジェント・エッジ

すべてがコンピューティングになる社会、エンタープライズITの次の姿 〜ハイブリッドITとインテリジェント・エッジ

2017年08月30日更新

すべてがコンピューティングになる社会、エンタープライズITの次の姿
~ハイブリッドITとインテリジェント・エッジ

IT Japan 2017レポート

日経BP社は「デジタルイノベーションで創る競争戦略」をテーマに2017年7月5日?6日の三日間、都内のホテルにおいて「IT Japan 2017」を開催した。講演には経営トップや有識者、著名人を招き、IoTやAIなどの最新テクノロジーを活用して「何をするのか」についてさまざまな知見が紹介された。ここでは日本ヒューレット・パッカード株式会社 代表取締役 社長執行役員 吉田仁志氏が語る次世代エンタープライスITの姿についてレポートする。

日本ヒューレット・パッカード株式会社 代表取締役 社長執行役員 吉田 仁志 氏

すべてがコンピューティングになる社会

データ爆発の時代が到来し、2020年には40ZB(ゼタバイト)の世界に突入する。人口は77億人、コネクテッドデバイスは1000億個、利用されるアプリケーションは1兆にも及ぶ。あらゆるデバイスがデータを生む世界となる。世界経済フォーラム主催者のクラウス・シュワブは2025年までに起きると予測されるティンピング・ポイントとして次のような例を挙げる。

・人口の90%がインターネットに常時アクセスする
・1兆個のセンサーがインターネットに接続する
・インターネットトラフィックの50%が家電製品やデバイスとなる
・米国の10%が自動運転になる
・すべての消費財の5%が3Dプリンターでせいぞうされる

そのような世界では、「すべてがコンピューティングになる社会」だと吉田氏は指摘する。あらゆる場所にテクノロジーが組み込まれ、すべての人とモノが接続され、すべてが把握される社会だ。製造業などではすでにIoTの取り組みが進んでおり、例えば、製造工程において、製造機械と作業員の行動データを照合して歩留まりを改善したり機器の消耗を抑えるような仕組みが構築されている。

Hybrid ITを利用すべき

日本ヒューレット・パッカードはエンタープライズITをどのように支えていくのか。ポイントとして吉田氏は、「Hybrid IT時代の到来」「IoTによる作業革命を促進するインテリジェント・エッッジ」「サービスの重要化」を挙げる。

Hybrid ITについて吉田氏はまず、クラウドの目的は何かと問いかける。クラウド化自体が目的になってしまっていると危険だと警鐘を鳴らす。コストか、スピードか、財務体質の改善か、それぞれによってクラウドの導入の仕方は変わる。また、クラウドに全面移行する戦略なのか、必要な部分だけ移行する戦略なのか。IT戦略がビジネス戦略に直結する中では、それらを明確にする必要がある。

クラウド移行において課題は二つある。一つは価格。継続的に使用しているとオンプレミスと比較して高くなるケースがあるからだ。また、いきなりの全面移行は不可能なので、既存のシステムとの接続が必要になる。そのため、クラウド移行のプラン設計、さらにはクラウドの先を見越したプラン設計が求められる。ここで吉田氏はHarvard Business Review誌による次のような調査結果を示した。

・63%の企業がHybrid ITを利用すべきだと回答している

実際に、クラウド化を行ってクラウドのメリット、デメリットを経験した企業はHybrid ITにすべきだと考えるケースが少なくないと吉田氏は話す。そこで日本ヒューレット・パッカードでは、Hybrid ITをシンプルにする戦略を推進している。具体的には、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オプレミスをシームレスにつないで管理できるようにする製品の提供であり、実際には、コンポーザブルというコンセプトのもとで「HPE Synergy」という製品の提供で企業のHybrid IT化を支援していく。

クラウドの先にある「The Machine」

IDCによれば、2020年には3000億のIoTエンドポイント(データを生成するポイント)が発生していると予測されている。その半分のデータはエッジポイントで分析される。例えば自動運転の開発が進められているが、自動運転では収集したデータをクラウドを経由してデータセンターで分析していては事故につながってしまう可能性が高い。そのため、エッジ、つまり自動車などでさまざまなデータを処理する必要がある。また、データ爆発の時代ではデータセンターの消費電力の課題も大きくなる。さらにムーアの法則も限界に近づいてきていて、データの増大にコンピューティング能力が追いつかなくなる日は近い。こうした課題を解決するために日本ヒューレット・パッカードでは、「The Machine」というコンセプトを作り上げた。

従来のCPU中心のアーキテクチャではなくメモリーを中心としたアーキテクチャとなるThe Machineは、不揮発性メモリーを利用することで消費電力を7~8割程度削減できる。回路は光回線を利用するため、非常に効率の良いデータ伝送が実現する。これらはすでに実用レベルにあり、2020年に発表予定だ。今年の5月には160TBのメモリー、40ノードのプロトタイプを公開した。The Machineが完成すると、スーパーコンピューター「京」の5.5倍の速度になるという。筐体は車のダッシュボードに収納可能だ。そして、The Machineの技術をエッジでも活用できるようにしていく。

こうした世界が、クラウドの先に待っていると吉田氏は展望を語った。

(レビューマガジン社 山崎慎介)

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