
投映画面をタッチ操作できる「Xperia Touch」が未来を感じさせる
触れたらきっと欲しくなる
Xperia Touch
ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Touch」は、Androidを内蔵したスマートなプロジェクターだ。投映された画面にそのままタッチできる不思議な感覚で、スマートフォンやタブレットとは違った、近未来的でインタラクティブな体験を家庭からビジネスまで広げてくれる。最初のコンセプトが世に出てから約1年と4カ月を経て、近未来のスマートデバイスを手に入れられる準備が整った。
壁やテーブルをスマートスクリーンにする
Xperia TouchはAndroidデバイスとプロジェクター、そしてイメージセンサーを合体させたスマートなガジェット。スマートフォンの使い勝手をスクリーンで実現した革新的なスマートデバイスだ。その開発の背景には「ソニーが培ってきたセンサー技術を応用したタッチ操作の実現」がある。
もともと、ソニーの研究所で赤外線を使ったセンサーデバイスが開発されていた。それを新しい製品に応用できないか、という発想から2016年2月にスペインのバルセロナで開催されたMWC(Mobile World Congress)という大規模な展示会で、「Xperia Projector」という名前で披露された。発表は話題を呼び、多くの業界関係者やスマートフォンの利用者から、意見やアイデアが寄せられたという。それから約1年の開発期間を経て、Xperia Touchという製品名で日本でも発売されることになった。
そんなXperia Touchは、基本的にはAndroidデバイスなので使い方はとてもシンプル。電源をつないだら本体の上部にあるボタンを長押しして起動させるだけ。Androidが起動すると、本体前面にある小型超短焦点レンズから、テーブルや壁などに23インチのスクリーンが投映される。これだけならば、ただの小さなプロジェクターだが、Xperia Touchは投映されたAndroidの画面を指先のタッチで操作できる。スマートフォンやタブレットを使い慣れた筆者でも、テーブルに投映されたアイコンをタッチしてアプリが起動するのを体験するのは新鮮だった。
さらにXperia Touchにはマイクとスピーカーも装備され、ソニーの開発したボイスコントロールを使うと「Hi Xperia(ハイ エクスペリア)」と話しかけるだけで、天気予報やスケジュールなどを表示してくれる。海外で話題になり、日本ではまだ手に入らない「音声認識」スピーカーとしても使える優れモノなのだ。
シンプルなデザインに凝縮された高性能
Xperia Touchのデザインは、ボタンや凸凹がほとんどないソニーらしいシンプルさで、多様なインテリアにフィットする。特に白いテーブルや壁に置くと、投映されるスクリーンも綺麗に栄える。タッチ操作はできないが、壁面から約25cm離して投映すると、80インチの大画面が楽しめる。大画面にしたときには、Bluetoothで接続した入力デバイスを使うと便利だ。またAV機器メーカーのソニーらしい高音質なスピーカーも内蔵されている。その他には、撮影用のカメラと音量調整の操作パネルが上部にある。本体下部には、充電用のUSB Type-Cコネクターの他に、HDMIの入力端子も用意されている。HDMIケーブルで接続すれば、ブルーレイやPCのモニターとしてXperia Touchで80インチの大画面を投映できる。
Xperia Touchのタッチ操作を生かした専用アプリも用意している。例えば、最初に起動すると標準で表示されるオリジナルのウィジェットは、天気や時刻、カレンダーを表示する。また、指先で描ける落書きボードは、家族の伝言メモのような使い方もできる。そしてSkype通話も大画面で利用できる。Xperia Touchに特化したアプリに関しては「スクリーンに映したときに見栄えのする」コンテンツやインタラクティブさが重要だと考えている。ソニーモバイルが紹介しているプロモーションビデオでは、指先で丸や線を描くと、その中や上を歩く棒人間が現れる映像がある。残念ならが、このビデオで使われているアプリは提供されていないが、「タッチで魅せる」というアイデアは、これからのアプリ開発にとって新しい発想をもたらしてくれる。
サイネージ用途としてビジネス利用も進む
ソニーモバイルによれば、Xperia Touchはすでに高級輸入車のショールームで、カフェカウンターやソファーテーブルにクルマの3DCG映像を投映し、タッチ操作で回転・拡大させたりできるデジタルカタログとして活用されているという。またメニューを投映して閲覧できるサービスを試験的にスタートさせたホテルもある。あるバーカウンターでは、酒の銘柄を表示するだけではなく、その産地の情報などもスクリーンで投映して、顧客の体験を深めているという。
大きな画面と、複数の人たちが一緒になってワイワイとタッチできるので、自然と社交性も高くなるのだ。また一般のオフィスでも、スマートでインタラクティブな受付システムや、会議室での情報共有など、Android+プロジェクターのメリットを生かした導入が考えられる。Androidで動いているので、アプリケーションによっては新しい使い方も提案できるだろう。
将来的には、AIを組み合わせた音声アシスタントと連動することで、家庭ではインテリジェントなガジェットとして「今日の予定は?」と問いかけるだけで、Xperia Touchが「今日は家族で動物園に行く予定です。11時までに着くためには、車ならば10時には、電車ならば9時半までには、目的地に向かってください」と答えて、ルートや乗り換え案内を投映してくれるかもしれない。オフィスでは、ホワイトボードに代わるデジタルサイネージとして、スタッフが共有する情報を発信してくれるようになるかもしれない。
とにかく、Xperia Touchを実感するには、ぜひともショールームでタッチしてほしい。タブレットや大型モニターとは違う、新たなインタラクティブ感を体験できるはずだ。そこからきっと、魅力あるビジネスのアイデアが閃くだろう。
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