
事業者データセンターの新設は拡大、企業内データセンターの新設は抑制傾向
事業者データセンターの新設は拡大
企業内データセンターの新設は抑制傾向
企業のデータセンターは縮小する!?
IT専門調査会社のIデータセンター Japanは国内のデータセンター管理者を対象とした調査結果を2017年6月20日に発表した。これは国内の294名のデータセンター管理者にアンケート調査を行い、データセンターファシリティ(建物、電気設備、空調設備、機械設備など)への投資やその運用課題などについて調査したもの。
調査対象の294名のうち金融機関や製造業などの一般企業が所有する企業内データセンターの管理者は241名、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者データセンターの管理者は53名だった。
発表によると事業者データセンターでは43%の管理者がデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答した。一方の企業内データセンターの管理者でデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答したのは8%にとどまった。
クラウドの普及が事業者の新設を後押し
企業内データセンターではIT資産を事業者データセンターやクラウド環境へマイグレーションする取り組みが加速しており、データセンターを新設する必要性が低下している結果だ。
一方の事業者データセンターではこうしたマイグレーションによって企業のITインフラを設置するファシリティが必要となり、データセンター新設の必要性が拡大している。
この調査は2012年から毎年実施されているが、2012年から今回調査(2017年)までの調査結果を見ると、事業者データセンターの「新設予定あり」の比率は、上昇と下降を繰り返しているという。
特に2016年時点における新設予定の見通し(21%)から、今回(2017年時点)の新設予定見通し(43%)へ大幅な上昇となっている。これは2013年から続いていた建設価格高騰に一服感が見られるようになり、事業者データセンターの新設意欲を後押しした結果であるとIDC Japanは分析している。
新しい用途にも対応すべき
今回の調査ではデータセンターファシリティ投資や運用に関する取り組みについても調査した。IDC JapanでITサービス リサーチマネージャーを務める伊藤未明氏は「データセンターはERPのような伝統的な企業/団体の定型業務システムサーバーだけでなく、IoTやAIのような新しいタイプのシステムのインフラとして利用されることが増える。データセンター新設にあたっては、こうした新しいワークロードに適したデータセンターの要件を考慮することが重要となる」と述べている。(レビューマガジン社 下地孝雄)
■データセンターの新設予定ありと回答したデータセンター管理者の比率の推移(2012年~2017年)