
AR/VRヘッドセットは海外ではスクリーンレスタイプ、国内はPlayStation VRが主流
AR/VRヘッドセットの世界・国内の市場動向 海外ではスクリーンレスタイプ、国内はPlayStation VRが主流
ハードは十分だがコンテンツの進化が遅い
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)はホビー利用から法人での業務利用へと広がっており、それに伴うビジネスの拡大が期待されている。しかし市場はまだ形成され始めたばかりのようだ。
世界的なIT専門調査会社であるIDCでMobile Device Trackersのシニアリサーチアナリストを務めるジテシュ・ウブラニ氏じゃ「VR市場は依然として初期段階にあり、消費者は慎重な態度を取っている」と指摘している。
そして「ヘッドセットは既に市場にあるものやこれから登場するものも含めると十分な選択肢があると言えるが、もはやハードウェアは問題ではない。より大きな課題は多数の視聴者にアピールするようなコンテンツの進化が遅く、クロスプラットフォームのサポート不足に起因する混乱がそれに拍車を掛けていることである」と分析している。
スクリーンレスタイプが60%以上
IDC JapanではAR/VR用ヘッドセットの2017年第1四半期(2017年1~3月)の国内および世界の出荷台数を調査し2017年6月14日に発表した。
発表によるとAR/VRヘッドセットの世界出荷台数はARが前年同期比77.4%増の3.8万台、VRが同69.7%増の224.2万台だったという。VR市場ではスマートフォンをヘッドセットにはめ込む「スクリーンレス」タイプ(サムスンのGear VRやグーグルのDaydream Viewなど)が141万台の出荷を記録したが、これは市場の62.1%に当たり依然として市場を牽引している。またPlayStation VRやHTC Viveなどのケーブル型VRヘッドセットも前年同期に比べ著しい増加を示している。
ARは前年同期比77.4%の成長を示し新たな製品の出荷が始まると同時に、既存の製品もより多くの国々に出荷されるようになってきている。
市場形成と呼ぶには時期尚早
IDCでAR/VR及び各種デバイスのプログラムバイスプレジデントを務めるトム・マイネリ氏は「大多数のARヘッドセットはデベロッパー向けの製品が市場に出荷され始めた段階であり、市場形成と呼ぶにはあまりにも時期尚早だ」と指摘している。
また「その一方で多くの消費者がスマートフォンやタブレットなど既存のモバイル機器のカメラや画面を通じて、ARを最初に体験するのではないかと期待している」と述べている。
ソニーのPlayStation VRが国内市場をけん引
2017年第1四半期における日本国内のAR/VRヘッドセット出荷台数は合計で5.3万台となり、うちPlayStation VRが4.2万台だった。またエンタープライズ用途でのGear VRの利用が目立つサムスンは約6千台を出荷した。
IDC JapanでPC、携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストを務める菅原 啓氏は「スマートフォンに装着するだけで簡易的なVRが体験できるスクリーンレスタイプが市場を牽引する海外と異なり、日本のVRマーケットを主導しているのはPlayStation VRを擁するソニーだ」とコメントしている。
さらに「PlayStation VRはエコシステムの完成度の点で際立っているが、同時に手軽さの点で勝るスクリーンレスタイプのヘッドセットによるVR体験の裾野がさらに拡大することが期待される」と続ける。(レビューマガジン社 下地孝雄)
■世界ARヘッドセット出荷台数・ベンダー別シェア(2017年第1四半期)
■世界VRヘッドセット出荷台数・ベンダー別シェア(2017年第1四半期)
■国内ARヘッドセット出荷台数・ベンダー(2017年第1四半期)
■国内VRヘッドセット出荷台数・ベンダー別シェア(2017年第1四半期)
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