
ソニーが考える映像監視のキーワードは4K、クラウド、画像解析
映像資産から情報資産へ
Sony
ソニーが考える映像監視のこれからのキーワードは、「高画質(4K)」「クラウドサービス」「アナリティクス(画像解析)」の三つだ。ソニービジネスソリューション バリュー・クリエイション部門 マーケティング部 MK3課の野村幸司氏は次のように話す。
「今後はアナリティクスをクラウドサービスとして低コストで利用できる基盤が整備されていくでしょう。これからはネットワークカメラの基本的な価値であった“見る”“録る”に加えて、アナリティクスの活用が不可欠になりますが、オンプレの環境でアナリティクスを実現するのはコストがかかるからです」
ネットワークカメラとクラウドサービスを組み合わせる基本的なメリットは、映像を記録するためのレコーダーが不要になり、運用・管理の手間やコストが削減できる点にある。そしてこれからは、単純に記録したり見るだけではなく、顔認識やナンバープレート認識、行動認証のようなインテリジェントな機能が付加されていき、さらに記録されたデータのビッグデータ分析によるマーケティングへの活用などが促進されるとソニーは考えている。
ソニーでは映像クラウドサービス「Eagle Eye」を用意しており、Eagle Eyeを介した映像の記録やモニタリングを月額料金で提供するが、将来的にはEagle Eye上で画像解析サービスも実現する予定だ。「クラウドや画像解析の活用によって、ネットワークカメラで撮影したデータは、単なる映像資産からさまざまな価値を生み出す情報資産へと生まれ変わります」(野村氏)
単焦点モデルや全方位モデルが売れ筋
ソニーが提供するネットワークカメラ製品の販売傾向はどうか。まず、市場の傾向として「高解像度化の流れが強まっています」と野村氏は指摘する。同社製品の出荷ベースではすでに2015年時点でフルHDとHDを合わせた比率が全体の97%、フルHD単体の比率も全体の26%まで上昇している。「今後はフルHDモデルへの移行が加速するでしょう」(野村氏)
単焦点モデルの普及も著しい。「小型で低コストが理由です。画質も遜色なく、現在急速に販売が伸びています。単焦点モデルの普及はフルHD移行の原動力にもなっているのです」と野村氏は解説する。続けて、「1台で広範囲をカバーできる全方位カメラも売上が増えています。こちらはオフィス、マンション、工場などに幅広く浸透しています」
ソニーのネットワークカメラには、フラッグシップモデルの「Wシリーズ」、スタンダードモデルの「Vシリーズ」、ハイコストパフォーマンスモデルの「Xシリーズ」などがあるが、特長は暗所性能と逆光性能にある。「Exmor」「Exmor R」CMOSイメージセンサーの採用とノイズリダクション機能の改善によって、低照度環境でもノイズの少ないクリアな映像撮影を可能にしているのだ。
大半の機種にワイドダイナミックレンジ機能である「View-DR」も搭載させいる。これは、1フレーム内でシャッタースピードが異なる4枚もしくは2枚の画像を合成し、さらに明暗部コントラスト補正機能を組み合わせることで、明部と暗部の視認性を向上させる機能だ。建物の出入り口など明暗差が激しく逆光状態にある人物などの視認性を高めたりすることができる。「当社のネットワークカメラは、感度や逆光性能については高機能モデルとエントリーモデルで差がありません。いずれのモデルでもクリアな映像を記録できる製品を提供しています」(野村氏)
銀座の商店街でオールインワンモデルが活躍
実際に売れているモデルに、レンズ交換が可能な固定焦点モデル「SNC-XM631」(屋内ドーム型)、「SNC-XM632」(屋外ドーム型)がある。小型、軽量、低価格が特長だが、やはりレンズを交換できるのが一番の魅力だ。標準の画角は113度だが、画角が25度、51度、83度のレンズがオプションとして用意されている。そのため、使用目的に応じて画角を選択できるのだ。
例えば、フロア全体を撮影したい場合は113度、顧客の列などを確認したい場合は83度、カウンターだけを撮影したい場合は51度、レジの部分だけにフォーカスした場合は25度といった具合に使い分けられる。もちろん複数台それぞれを異なる画角のレンズで組み合わせて運用してもいいだろう。
オールインワンモデルも注目を集めている。「SNC-CX600W」は、人感センサー、白色LED、ローカルストレージ用のMicro SD/SDHCカードスロット、マイク、スピーカーが搭載されていて、Wi-Fiモジュールも付属しているため、映像の記録から通信までが1台で完結できる優れものだ。人感センサーと白色LEDは連動し、夜間などは自動的に白色LEDを点灯させることでカラー撮影を実現する。また、内蔵マイクによる音声の記録に加えて、あらかじめ録音しておいた音声ファイルを人感センサーと連動させて内蔵スピーカーから再生することも可能だ。
通常はSDカードに映像を記録しておいて、必要なときにWi-Fi経由でPCにダウンロードするような使い方ができる。実際に銀座では店頭のショーウィンドウ内に約30台のSNC-CX600Wが設置されて見守りの役割を果たしている。カメラ内に録画でき、サーバーなどを設置しなくてもいいため、コストや運用管理の面で評価されたという。
高感度の面では、夜間や暗所でも高精細なカラー映像を撮影できる超高感度4Kネットワークカメラ「SNC-VB770」を提供している。同製品は35mmフルサイズのExmor CMOSイメージセンサーの搭載によって最低被写体照度 0.004ルクス以下を可能にしており、ほとんど光源がない場所でも鮮明な30fpsのカラー映像撮影が行える。レンズはソニーが提供するデジタル一眼レフカメラαのEマウントレンズを使用。高い解像感を持つ映像が記録できるのだ。
これらのラインアップは、さまざまな場所におけるネットワークカメラ活用を促進するだろう。