
ITのプロが「トイレ問題」をIoTで解決!!
トイレの個室の空き状況がPCやスマホから リアルタイムに確認できるIoTサービス
誰にとっても身近な課題を解決してくれる、とてもうれしいサービスが提供されている。そのサービスが解決してくれる課題とは「トイレ問題」だ。使いたいトイレに長蛇の列ができていて限界に達しそうになる苦痛から、IoTを活用したトイレの個室の空き状況をリアルタイムに確認できるサービスが助けてくれる。
社内コンテストでトイレ問題を提起 見事採用されて事業化が決定
不安定な世界情勢の中、日々差し迫った危機が報道されているが、我々とて例外ではない。日常生活においても差し迫った危機に直面することが誰しもたびたびある。通勤途中の電車の中や駅、移動中の路上で、突然便意を催したとき駆け込んだトイレの個室に長蛇の列ができていたら、これは差し迫った危機以外の何物でもないはずだ。
このような経験をしたことがないという読者は、よほどの幸運の持ち主に違いない。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) 情報通信事業グループ プロジェクト統括部 デジタルビジネス推進課 課長の寺西 努氏は幾度も差し迫った危機に直面し、そのたびに問題意識を強くしていた。
そしてITのプロとしてITを活用した「トイレ問題」の解決策を温めていたところ、世直しをする機会に恵まれた。CTCの社内で業務改善や問題解決に役立つツール作成のコンテストが2015年に開催され、寺西氏は同僚と二人でトイレの利用を改善するツールを提案し、見事採用されて事業化することになったのだ。
寺西氏らが開発した「IoTトイレサービス」はトイレの個室のドアにマグネットを用いた開閉センサーを取り付け、ドアが開閉されてセンサーが反応すると、トイレ内またはトイレ周辺に設置したIoTゲートウェイに近距離系無線で情報が発信され、IoTゲートウェイから3Gネットワークを介してクラウド上のサーバーにデータが蓄積される。
そのデータをPCやスマートフォンからWebブラウザーで閲覧することで、トイレの個室の空き状況がリアルタイムで確認できる仕組みだ。混み具合によってトイレに行く時間をずらしたり、空いているトイレを探したりすることができ、トイレをより便利に利用できるようになる。
なお空き状況を確認する際はユーザー認証によって、確認できるトイレの場所や男女を制限できる。
トイレは生産性に影響を及ぼす 利用実態を把握して改善できる
IoTトイレサービスの事業化に先立ちCTCは三井不動産と共同でCTCが入居する霞が関ビル内のトイレで2016年4月から7月まで実証実験を実施し、開閉センサーとIoTゲートウェイの設置方法の検討やセンサーの感度調整、データ送受信に関するプログラムの改修のほか、サービス品質の向上などを図り、昨秋から三井不動産のオフィスビルをはじめ都内のオフィスビル等の業務施設への販売を開始している。
誰もが体験し共感できるトイレ問題を解決するサービスとして発表当初より注目を集め、販売開始からわずか約半年ですでに数件の導入実績を上げ、現在も数件の商談が進んでいるという。
IoTトイレサービスは「トイレの個室を至急使いたい」という人を救済するだけではなく、業務の効率化にも効果が期待できる。例えばオフィスからトイレに行くのに往復5分を要するとする。さらに用を足すまでの待ち時間、用を足し終わるまでの時間を積み上げると、1回のトイレ休憩で15分、20分の時間が消費されることになる。
さらに1日に数度、トイレに行くことを加味し、これを社員の人数分を積算すると、たかがトイレの待ち時間と見過ごせない生産性の低下が露見するのだ。
そこでIoTトイレサービスにはトイレの利用を適正化するための機能も用意されている。開閉センサーから取得したデータを蓄積して分析することで、トイレの利用実態を把握して改善策の検討・実施に役立てることができる。
設置・運用が容易で導入しやすい さまざまなビジネスの可能性に期待
例えば個別ブースの稼働状況を時間推移で確認することで、ブースごとに混雑する時間帯を把握でき、その要因を推測できる。また他のブースやフロアの稼働状況と比較することで、空いているブースやフロアに誘導するなど混雑を平準化するための方策も見出せる。
またブースの利用時間を分析することで個室内でのスマートフォンの利用や化粧、睡眠など長時間の滞在の実態が把握でき、利用の適正化を促して生産性への悪影響を抑制することも可能だ。
IoTトイレサービスは開閉センサーにトイレ内の照明で発電できるパネルを搭載して電源を不要としているほか、IoTゲートウェイがコンパクトで通常のコンセントの電源で駆動するなど設置しやすく運用も簡単にできる利点もある。さらにIoTゲートウェイを、よりコストパフォーマンスの高い仕様に変更することも検討している。
「トイレ問題」はあらゆる場所で発生している。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて増加する訪日外国人向けサービスや、駅や公園などの公共施設やイベント会場での活用のほかに、スマートフォンのGPSや各種案内サービス(アプリ)との連動など、IoTトイレサービスにはさまざまなビジネスの可能性がある。
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