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クラウド時代の販売店はITアドバイザーへシフトせよ

クラウド時代の販売店はITアドバイザーへシフトせよ

2017年06月27日更新

ストックビジネスに最適化した評価体制で 金融EDIの本格化によるクラウド需要に備えよ

先月号の本連載では、中小企業のクラウド活用が進み、基幹系システムにおいてもクラウド化が進んでいることや、それに伴いクラウドサービス間での連携が求められていることを解説した。今月号では、クラウドサービス間連携による大きなビジネスチャンスや、販売店に求められる評価体制の最適化について解説する。

Lesson 1 Fintechにより金融業界にもEDIが拡大

中小企業におけるクラウドサービス活用は、すでに基幹系システムにまで広がっている。基幹系クラウドを活用する上で、より業務の効率化を図ることを目的としたクラウドサービス間同士での連携が求められており、販売店がこのクラウドサービス間連携のサポートを行うことが、新たなビジネスチャンスにつながる。


このような、クラウドサービス間同士がつながり、新たな利益を生み出すことを、クラウドサービス推進機構では「クラウド4.0」と定義している。クラウドサービス推進機構の理事長を務める松島桂樹氏は、クラウド4.0について次のように話す。


「クラウドサービス同士がつながって電子上のデータを交換し、相互に連携する仕組みは、従来から『EDI』と呼ばれてきました。クラウドサービス同士を連携することで取引のリードタイムを短縮でき、業務のスピードアップが狙えるという効果があります。このEDIの動きが、金融業界にも広がっています。その背景には、『Fintech』(フィンテック)の普及があるのです」


Fintechとは、「finance」(ファイナンス)と「technology」(テクノロジー)を掛け合わせた造語で、ファイナンス・テクノロジーを意味する。経済産業省では、ICTを用いた革新的な金融サービスが、新たな産業を生み出し、資金に変えていく動きであると定義している。

Lesson 2  金融EDIの普及によって取引を円滑化

Fintechでは前述したようにICTを用いることで「新たな金融」のあり方を作る。それらの動きに伴って、従来大手金融機関以外は参入が難しかった金融業に、インターネット金融など非金融業からの参入が発生したり、キャッシュレス化やモバイル決済が進んだり、ブロックチェーン技術による新たな決済手段が登場することが予想されており、大きな成長市場として見込まれている。しかし、なぜFintechの普及が金融業界のEDIを加速させるのだろうか。


このFintechに関して、経済産業省は2017年5月に初めての総合的な報告・提言として「Fintechビジョン」を取りまとめ発表した。その中には、中小企業等のFintech活用を後押しするために「IT・クラウド投資の支援」を行い、バックオフィス業務のクラウド化を実現することなどが記されている。2018年から2020年の間に、Fintech対応の一環として国内送金システムへの移行、つまり金融EDIへの対応が行われることが銀行界で予定されており、各企業のバックオフィス業務のクラウド化、およびデータ連携を推進することで、さらなる生産性の向上や取引情報の活用が期待されている。


松島氏は「どの企業も、特定の一社だけと取引しているということはないでしょう。そうした取引を円滑化させるのが金融EDIによる連携で、受発注から回収までの業務を基幹クラウドとインターネットバンキングなどと連携させることで、発注や納品をスピードアップしたり、人為的なミスの削減につながる効率化を図れるのです」と語る。

Lesson 3  ストックビジネスに最適化した評価体制に

前述したような金融EDIが本格化すれば、今後クラウドサービスにはさらなる需要が見込まれる。多くの販売店ではすでにオンプレミスのパッケージだけでなくクラウドサービスも商材として取り扱っているだろう。しかし、パッケージビジネスとクラウドビジネスは、似ているようで全く別のビジネスであり、販売店は腰を据えてクラウドビジネスに取り組む必要があると松島氏は指摘する。


「クラウドビジネスを進めていくにあたり、経営指標を変える必要があります。ご存知のようにクラウドビジネスは、オンプレミスと異なり利益率が高くはありません。現在は営業職の評価を売上利益率で評価していると思いますが、クラウドビジネスを本格的に進めるならばその評価体制を変える必要があります」と松島氏は話す。


具体的には、三年間の売上の集計で評価するといった、ストックビジネスであるクラウドに合わせた評価体制に変える必要があるのだという。「保険外交員などの営業評価体制が参考になるかもしれません。保険外交員は契約してもらっただけでは評価されず、実際に支払われた保険料の金額などが評価のポイントになるそうです。例えば契約が成立してもすぐに解約されてしまえば、企業からみれば損失です。一定期間で解約されたら業績を取り消しにするといった評価体制に変えれば、解約されないように継続的なサポートを行うようになるので販売店側の利益につながります」(松島氏)

Lesson 4  クラウド時代に求められるITアドバイザー

クラウド時代に求められる販売店の新たな役割として、松島氏は「ITコーディネイターのような、企業を支援する中でアドバイスを行うようなITアドバイザーとしての役割が必要になるでしょう」と語る。例えばクラウドは、IoTシステムに組み込まれて企業の課題ポイントを改善するツールとして活用されるケースが多いが、IoTのような複数のツールを組み合わせて活用するシステムは、ユーザー企業にとって理解が及ばないポイントも多くある。


「そうしたユーザー企業が抱える課題を解決する支援ができる人材というのは非常に重要です。調剤薬局ではないドラッグストアなどに薬剤師が常駐しているように、企業の中に専門家を配備して、ユーザー企業に対する支援の契約をするようなサポートも一つのビジネスになるのではないでしょうか」(松島氏)


ユーザー企業のサポートをしていく中で、そこからハードウェアの販売やクラウドサービスの提案など、販売店のビジネスを展開できる可能性もある。ITアドバイザーとして内情を詳しく理解できていれば、よりユーザー企業のニーズに合わせた提案も可能になるだろう。


クラウドサービスはすでにオンプレミスの代替ではなくなり、それぞれが連携することで企業の業務をより効率化したり、IoTのインフラやFintechを推進する存在として欠かせない存在になっている。販売店は今後も常に最新の情報を収集しながら、ユーザー企業の視点に立った提案を行うことで、自社の利益につなげていきたいところだ。

本日の講師
クラウドサービス推進機構
理事長
松島桂樹 氏

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