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国内のビジネスで必須のデジタルトランスフォーメーション

国内のビジネスで必須のデジタルトランスフォーメーション

2017年05月29日更新

推進を阻害する要因はITのケイパビリティへの認識の溝

DXによる変革を目指す必要は認識している

図1
ITのケイパビリティに対する認識:「最優先の経営課題」と「ITによって解決したい経営課題」
※n=345(経営層のみの回答を集計) 出所:IDC Japan

さまざまな分野が成熟市場となっている国内において企業ではデジタルトランスフォーメーション(DX)による変革を目指す必要があるとの認識が広まっている。しかし経営層と情報システム部門とではDXの実現に不可欠なITのケイパビリティに対する認識にギャップが存在しているようだ。
IT専門調査会社のIDC Japanが2017年5月8日に発表した国内エンタープライズインフラストラクチャ市場に関するユーザー動向の調査結果によると、優先順位が最も高い経営課題について上位三つは順に「新規ビジネスの創出」「営業力の強化」「ビジネスモデル変革」だった。
これは成熟市場である国内においてDXによる変革を目指す必要があるとの認識が広まっていると考えられる。これらの認識は経営層と情報システム部門の間で共有されている。

ITの活用によって解決したいとする経営課題は、経営層では「業務プロセスの改善/再構築」を挙げる回答者が突出していた(図1)。これに対して情報システム部門では順に「新規ビジネスの創出」「業務プロセスの改善/再構築」「ビジネスモデル変革」が上位を占めた。
これは経営層と情報システム部門の間にITのケイパビリティに対する認識にギャップが存在していることがうかがえる結果と言える。
なおこの調査はDXDXに取り組むに当たりITバイヤーが抱えている阻害要因について、経営課題の共有およびテクノロジーの活用に関する認識や、DX関連テクノロジーの活用実態、そして既存の基幹業務システムの課題などに関するユーザー調査を通して分析したものだ。

情シス部門は攻めのIT活用を進めたいのだが…

図2
基幹業務システムの課題への対処
※n=214(情報システム部門に対して業務システムのいずれかを「トラディショナル(クラウドではない)」「プライベートクラウド」「IaaS/PaaS」で導入しており、何らかの課題を抱えている回答者のみに質問した回答)
出所:IDC Japan

この調査では経営課題を解決する上でどのようにITを活用すべきなのか、そもそもITを活用できるのか、といった点について経営層と情報システム部門では異なる認識を持っていることもわかった。
また情報システム部門は自社の抱える課題として「経営組織のIT化に対する理解度が低い」を挙げる回答者が目立った。情報システム部門では優先順位の高い経営課題をITで解決したいと考えているものの、経営組織のITに対する理解度が低く、攻めのIT活用が進まないといったジレンマを抱えているケースが少なくないようだ。
基幹業務システムの抱える課題について情報システム部門にたずねたところ「保守技術者の確保が困難」「保守性が悪い」「データベース技術の陳腐化による技術者の確保が困難」を挙げる回答者が多数を占めた。ユーザー調査ではこれらの課題への対処方法として、リエンジニアリングを挙げる回答者(課題を抱えている回答者が母数)が4割を超えたた(図2)。

延命してきた基幹業務システムの抜本的な見直しが必要

レガシーマイグレーションは一通り完了しており、現在残っているプロプライエタリーシステムはカスタムアプリケーションが多いと思われる。延命してきた基幹業務システムを業務プロセスやビジネスロジックを見直した上で、ITインフラの更新時に抜本的に構築し直す対処方法が望ましいとの意向が強い。
DXに向けた新たなIT投資を行う上で基幹業務システムの経済性、柔軟性、保守性を高めるとともに、競争環境の変化に備え、人的リソースを確保したいとの認識が背景にあると考えられる。
IDC Japanでエンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーを務める福冨里志氏は「ITバイヤーがDXに取り組む上で『経営層と情報システム部門の間に存在するITのケイパビリティに対する認識ギャップ』と、一部のユーザー企業において『延命してきたプロプライエタリーシステム上の基幹業務システムの存在』が阻害要因となっている可能性が高い。ITバイヤーにおけるベンダー選定では、これらの阻害要因を取り除くためのコンサルテーションやソリューションの提案力が新たなベンダー選定基準として重視されるようになる」と述べている。(レビューマガジン社 下地孝雄)

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