
Cisco Startのエントリーモデル向けネットワーク管理ツールとは
ネットワーク管理を簡素に
Cisco Startが好調
中小企業向けのネットワーク製品シリーズ「Cisco Start」やクラウド管理型ソリューション「Cisco Meraki」の提供で、ひとり情シスや無人情シス環境にある企業をサポートしているのがシスコシステムズだ。同社 エンタープライズ ネットワーク事業 ビジネス開発担当の渡邊靖博氏は、「セットアップから管理、監視などの導入後まで手軽に運用できる製品がひとり情シスや無人情シス環境の企業では求められます」と話す。
例えば、中小企業向けの製品であってもLANスイッチなどはVLANなどの設定が必要になるケースは少なくない。そうした設定を自動化できるような環境がひとり情シスや無人情シス環境の企業は必要だ。「LANスイッチなどをいかに簡単に導入・運用できるかがポイントになります。そうしたニーズに対して、設定や管理を簡易化できる仕組みをオンプレミスで実現するのがCisco Startであり、クラウドで実現するのがCisco Merakiになるのです」(渡邊氏)
Cisco Startは「シンプル」「スマート」「セキュア」をキーワードに、専任のIT管理者がいないような中小企業でもシスコブランドのネットワーク製品を購入しやすい価格で導入できる中小企業向けの戦略製品だ。LANスイッチ、ルーター、セキュリティアプライアンス、サーバー、クラウドサービス、コラボレーションサービスで構成されていて、2015年9月のブランドの立ち上げ以来、シェアを拡大させ続けている。
3月に行われた記者発表会では、昨年度の売上を半年で達成するなど好調ぶりがアピールされた。販売パートナーの数も2015年10月時点の60から2017年3月時点で4,100にまで拡大し、80%の販売パートナーから高い評価を得ているという。2月からは販売パートナー向けのポータルサイトが開設され、Cisco Startシリーズの販売促進資料の入手やオンラインセミナー、トレーニング情報なども確認可能。Cisco Start全体を把握できるポータルサイトとなっているようだ。
「エントリーモデル向けのネットワーク設定・管理ツール『FindIT Network Management』で、中小企業ユーザーのネットワーク管理をサポートします」
エントリーモデル向けのネットワーク管理ツールを用意
このCisco Startで、エントリーモデル向けのネットワーク設定・管理ツールとして提供開始されたのが「FindIT Network Management」だ。オンプレミス型のネットワークマネージメントソフトで、以下のような特長を備えている。
・簡単設定
自動でネットワーク情報を収集し(デバイス自動検出)、ネットワークトポロジーを自動で生成。
・自動インベントリ管理
OSバージョン、シリアルナンバー、MACアドレスなどのインベントリ情報を自動で収集。
・サブスクリプション
管理機器ごとのサブスクリプションライセンス。10デバイスまでは無償利用が可能。
・日本語UI対応
FindIT Network Managementの画面では、地図上に拠点などが表示され、その拠点をクリックするとネットワークの情報が確認できる。接続されている端末の数なども把握可能だ。
「拠点のネットワーク管理下にあるデバイスなどの情報を自動で収集し、リモートで確認できます。例えば機器交換時などに必要なシリアルナンバーがすぐに把握できるなど、ネットワーク管理における手間を省けます。Excelなどでネットワーク製品のシリアルナンバーを管理する必要がなくなるのです。また、障害検知機能によって、ネットワーク内で異常が発生した場合にはメールで通知するなど、ひとり情シスや無人情シス環境にある中小企業ユーザーのネットワーク管理をサポートします」(渡邊氏)
スイッチなど10デバイスまでの管理は無償で行えるため、コスト負担も気にしなくていい。「例えば、スイッチ5台、無線LAN AP 5台ならば、無償で管理できるのです」(渡邊氏)
FindIT Network Managementが利用できるCisco Startのエントリーモデルにはシスコシステムズがエンドユーザーと販売パートナー向けに「スモールビジネスサポートセンター」という相談窓口も用意して、導入時や故障時などの問い合わせを受けている。「お客さまに最適な製品の相談から設定の疑問までお答えしています」(渡邊氏)
クラウド経由で自動設定
クラウド管理型ソリューションであるCisco Merakiは、無線LAN AP、セキュリティアプライアンス、スイッチ、モバイル管理製品で構成されているが、いずれの設定・管理もクラウド経由で行えるシリーズだ。以下のような特長を備えている。
・俊敏性
自動でクラウドから設定をダウンロード。ゼロタッチ導入による迅速な展開が可能。
・シンプル
Webから全機器、全ネットワークを設定できる。現地に行く必要がない。数クリックで無線もVPNも簡単に実装可能。
・コスト削減
各種レポーティング、ログ、パケットキャプチャなどもWebから実施。導入後の運用管理コストが削減できる。
「クラウドから設定を自動でダウンロードするため、人手による設定が不要です。専任の管理者が不在の企業や拠点、店舗などでは特に効果を発揮するでしょう。また、無線LAN製品は特別な機器を導入しなくても電波強度を把握して自動で調整するなど、管理者の手を煩わせません」(渡邊氏)
このような特長を持つCisco Merakiは、複数店舗を展開する企業などで導入が進んでいる。各店舗に赴いてネットワーク機器の設定を1台1台実施するのは非常に手間がかかるが、Cisco Merakiならばクラウド経由で一括設定・管理が可能になるからだ。
また、クラウドでの設定・管理が行えることから、Cisco Merakiを利用したマネージドサービスの展開も可能だという。「販売パートナーのみなさまにとっては、新たなビジネスチャンスになるはずです」と渡邊氏は提案する。
Cisco StartとCisco Merakiはどちらもひとり情シスや無人情シスにやさしい機能を備えているが、その選定ポイントはどこにあるのか。渡邊氏は一つの目安として「拠点数」を挙げる。拠点数がそれほど多くなければCisco Startを、拠点数が多ければCisco Merakiを選定するとさらに効率的なネットワーク運用が可能になるだろう。