
戸田覚が教える商談に勝てるパワポ資料の作り方
テーマ PowerPointによる資料の作り方
商談に勝つ「読めないスライド」とは?
最近はPowerPointで企画書や商談の資料を作るケースが増えている。僕は多くの会社の資料を見る機会があるのだが、失敗する書類には共通するポイントがあるので、その解消法を中心に紹介していこう。ポイントは「スライドを読ませない」ように作ること。商談している相手が決定権者ではない場合には、さらにちょっとしたコツが必要だ。
スライドに説明は書かない
商談やプレゼンの際に、PowerPointの書類を使うケースが増えている。僕は、さまざまな業界の企画書やスライドを見てきた。驚かされるのが、ITに強いはずのSIerが作ったスライドの多くが「ダメ資料」になっていることだ。90%以上のSIerが、ぱっと見ても意味がよくわからないシステム図を中心にスライドを作っている。商談の資料は仕様書ではないので、これはもうやめた方がいいだろう。
SIerと情シスが商談するならそれでもよいという考え方もある。だが、決定権者は多くのケースで情シスではない。システムを入れる部署のトップや経営層がジャッジを下すのだ。彼らに仕様書のような書類を見せるのは愚の骨頂だ。では、どんな書類やスライドを作ればよいのだろうか?
まず、商談やプレゼンで使う書類に説明を書いてはいけない。説明は口頭でするから、商談・プレゼンなのだ。商談をしている際の相手の様子を思い出して欲しい。あなたの顔を見ずに、書類を見て説明を読んでいるようでは失格としか言えない。書類を読んでもらうだけならメールで送ればいいからだ。
まず、企画書やスライドには説明文を書かないこと。盛り込むべきなのは、説明する内容をフォローする抜粋や図解だ。要素の多い図なら、今の説明ではどこを見ればよいのかを指し示しておく。つまり、商談での書類やスライドに説明する役割を持たせてはいけないのだ。あくまでも、頭を整理し理解度を上げるための補足資料にするべきだ。
だから、自然と箇条書きや図が多くなる。「これから話す重要なことが三つあり、いまはその一つ目です」ということが相手に常時伝わるようにしたい。だから、スライドにはどの部分の説明なのかがわかりやすいように記載していく。
図解も同じだ。1枚のスライドには一つの図解しか入れない。大きな図の一部を説明するなら、取り外して拡大してもよいだろう。相手がスライドを見て瞬時に理解できたなら、視線は自動的にあなたに向かうはずだ。
仮に、図解を見ながら話を聞いたとしても、意識はあなたの“話の内容”にあるべきなのだ。そこを心かげてスライドを作っていこうではないか。
商談相手が決定権者ではない場合
さて、冒頭に書いたように相手が直接の決定権者ではないケースは実に多いものだ。
商談相手が、決定権者ではない情シスだとしよう。彼を説得できたなら、ほぼ商談には勝てる??というケースは少なくない。
だが、その担当者も最終決定権者である上司や役員などに、内容の説明が求められる。そこで、あなたが作った仕様書のような企画書を見せることになり、「わかりにくいから、任せる」といった結論になるのだ。
まず、企画書には導入の目的やコンセプト、目標と目的などをまとめていく。さらに、現状からの進化点やライバルとの比較で勝るポイントを簡潔にまとめる。その上で仕様書などが必要なら、別添えの書類として用意するといいだろう。
企画書やスライドには、前記のように説明は書かない。これはあなたが情シスに説明する際に邪魔になるからだ。相手の情シスが上司に書類を提出する際には、説明がきちんとできてほしいものだ。
ノート機能を活用する
そこで、スライドのノート機能を使う。あなたが商談をする際にはスライドだけを見せるので、相手は話しに集中してくれる。しかし、その内容すべてを相手が上司に伝えられるとは限らない。そこで、説明はスライドのノート機能に書いておき、相手が上司に渡す際に使ってもらえばよい。
多くの会社のプレゼンを見ているが、まずこういった基本の部分ができていないケースが非常に多い。とりあえず、誰かが作った企画書やスライドをひな形として作り直し、完成形だと考えてしまう。たくさん書いた実は難解な資料が「デキがよい」と思い込んでしまうケースが非常に多い。
大事なのは、相手の要望に合わせた資料をしっかり作ることだ。商談では資料がメインなのではなく説明が主役だ。だからこそ、情報をすべて書いてはいけない。
だが、相手に渡す資料では、そこにあなたはいない。資料を読んだだけですべてが理解できるようにする必要がある。ノート機能をうまく使えば、一つのファイルで両方の役目を果たせるはずだ。
商談では、事前準備の資料作りにも細心の注意を払う必要がある。最も大事なのは、自分が何を言いたいかではなく、相手が何を聞きたいかに尽きる。これを忘れずに事前準備を重ねていこうではないか。
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