
データセンターの需要拡大とともに競争も熾烈化、データセンターインフラ管理ソフト(DCIM)の成長に期待
●国内DCIM市場はわずか9億円
データセンターの運用効率の改善や電力コストの削減を目的として2013年ごろから国内でも内データセンターインフラ管理ソフト(DCIM)の販売が本格的に始まった。
DCIMとはデータセンターやサーバールーム内のICT機器(サーバー、ストレージ、ネットワーク機器など)や電源装置、空調設備、サーバーラックなどの管理を行うパッケージソフトウェアのことで、これらの機器や設備の資産管理、変更管理とともに、消費電力の監視、サーバールームの温度監視などによってデータセンター内の機器や設備の運転状況や稼働状況を一元管理するための機能を備えている。
しかし国内データセンターではまだ導入が進んでいないようだ。IT専門調査会社のIDC Japanが2017年1月16日に発表した「国内データセンターインフラストラクチャマネージメント(DCIM)市場予測」によると2016年の国内DCIM市場の規模はわずか約9億円だという。
●クラウド環境の実装拡大が契機
国内のデータセンターでDCIMの導入が進んでいない理由として、DCIM導入効果の評価が難しいことが挙げられる。DCIMによってデータセンター運用コスト削減効果がどの程度達成できるかは、導入後すぐに把握できない。また電力コストの削減効果については春夏秋冬を通じた冷却コストの評価を実施する必要があるため、最短でも導入後1年経過しないと導入効果を客観的に評価できない。
しかし今後は国内データセンターでもDCIM導入が緩やかに加速するとIDC Japanは分析する。その要因としてデータセンターサービス市場の競争は激化しており、データセンター事業者におけるデータセンター建設コストの回収が厳しくなっていること。
そしてデータセンターにおけるクラウド環境の実装拡大は、より多くの電気設備や冷却設備を要求するため、データセンターの建設コストは上昇する傾向にあることなどがある。
事業者データセンターではデータセンターキャパシティを無駄なく効率的に利用する必要に迫られるようになり、DCIMはそのためのツールとして活用され市場が拡大するというシナリオだ。
●2021年には2016年の4倍に市場が拡大
同社の予測によると国内DCIM市場の2016年~2021年のCAGR(年間平均成長率)は30.5%で、2021年に約35億円になると予測している。
IDC JapanでITサービス リサーチマネージャーを務める伊藤未明氏は「当面のDCIM導入はデータセンター運転状況の可視化を目的としたものが多い傾向が続く。DCIMの導入効果をフルに実現するためには可視化するだけでは足りない。可視化された運用状況データを分析し、その結果を運用プロセスに組み込むことが重要だ」と述べている。
(レビューマガジン社 下地孝雄)
■国内データセンターインフラ管理ソフト(DCIM)の売上額予測(2016年~2021年)
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