
AI技術を搭載したXGenの展開
トレンドマイクロは3月29日、2017年法人向け事業戦略についての記者発表会を東京本社で開催しました。発表会では、ランサムウェアなどの脅威に対応するためにAIを搭載した製品の提供を発表しました。
AIを活用した勝ちの方程式
トレンドマイクロは、2017年法人向け事業戦略において2016年10月19日にリリースした機械学習の手法「XGen」(エックスジェン)を活用した三つのセキュリティ分野と、パートナーとの協業によるマネージドセキュリティサービス(以下、MSS)の二つの点に注力して事業を展開していくと発表しました。
XGenは、機械学習(AI)を含むさまざまな世代の脅威防御技術を組み合わせた防御アプローチです。同社代表取締役社長 兼 CEOのエバ・チェン氏は「2016年、ランサムウェアの数は前年比748%増で、247ファミリーが新たに確認されました。また、当社は10億ものランサムウェアの脅威をブロックし、多くのユーザーや情報資産を守っています」と話しました。ランサムウェアが増加する中で、同社はAIやサンドボックスのような先進的な技術とパターンマッチングなどを融合した防御アプローチであるXGenを搭載したセキュリティソリューションを、三つのレイヤー向けに提供します。
・User Protection(多様な環境におけるユーザーの保護)
AI技術を搭載する製品を拡大します。具体的には、XGenに基づいた企業向け総合セキュリティソフト「ウイルスバスター コーポレートエディション XG」です。加えて、クラウド型総合ゲートウェイセキュリティアプライアンス「Cloud Edge」、クラウドアプリケーション向けセキュリティサービス「Trend Micro Cloud App Security」、クラウド型エンドポイントセキュリティサービス「ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス」にXGenに基づいたAI技術による機械学習型検索機能を搭載します。
・Hybrid Cloud Security(クラウド&仮想化セキュリティ)
Hybrid Cloud Securityでは、総合サーバーセキュリティ対策製品「Trend Micro Deep Security」が新たなITインフラ(Docker)に対応しました。今後、XGenに基づいたAI技術による機械学習型検索機能を搭載し、増加するランサムウェアの対策を強化します。また、サンドボックス連携により標的型サイバー攻撃への防御力を向上します。
・Network Defense(複雑化するネットワークの防御)
Network Defenseでは、ネットワーク型脅威対策製品「Deep Discovery Inspector」と、Webフィルタリング、ネットワーク検疫、デバイス制御などの国内の他社セキュリティ製品との連携を強化します。
エバ氏は「変化が早いセキュリティ業界において、これで良いという戦略はありません。既知、未知の脅威に過去、現在、未来と世代を超えて対抗するにはクロスジェネレーションの方程式が必要です」と指摘しました。それは、「X(ユーザーのセキュリティ課題)=I(ITインフラ)+U(ユーザー行動)-T(脅威)」という勝ちの方程式だとエバ氏は解説しました。
IoTの脅威対策ソリューションも提供
MSSでパートナーとの連携強化を行い、中小企業から大企業まで顧客の環境に最適なセキュリティソリューションを提供していきます。中小企業には、エンドポイントやネットワークのセキュリティをSaaS型で提供し、顧客のITインフラを包括的に運用・監視するパートナーと協業し、標的型サイバー攻撃・ランサムウェア対策製品の販売促進を行います。
また、同社はIoT時代に向けたホーム/自動車/工場向けIoTセキュリティソリューションの提供も推進していきます。
・Connected Home(ホーム)
家庭内の複数のスマート家電をまとめて守るホームネットワークセキュリティ製品「ウイルスバスター for Home Network」を既に提供しています。今後は、ルーターなどを提供するネットワーク機器ベンダーに、ネットワークレイヤーで保護するセキュリティ技術「Trend Micro Smart Home Network」をOEM提供することで、家庭内のスマート家電を保護します。
・Connected Car(自動車)
ソフトウェア開発キット(SDK)を含むIoT機器向けセキュリティソリューション「Trend Micro IoT Security」を自動車/車載機器メーカーに提供し、自動車のリスク検知(システム整合性確認、異常検知、脆弱性検知など)とシステム保護(アクセス制御、仮想パッチなど)を実現します。
・Smart Factory(工場)
工作機械や産業用ロボットを製造するメーカーに対して、ネットワーク型脅威対策製品「Deep Discovery Inspector」、ロックダウン型ウイルス対策ソフト「Trend Micro Safe Lock」、「Trend Micro IoT Security」を組み込んだ製品を提供します。
トレンドマイクロ 取締役副社長の大三川彰彦氏は「増大する脅威にはこれまでのソリューションの対応では間に合いません。パートナーと共に、ユーザーのセキュリティ環境に最適なソリューションを提供していきます」と意気込みを語りました。
(レビューマガジン社 松尾好江)
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