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NEC、富士通、レノボ、HPE、デルのWindows Server 2016サーバー戦略

NEC、富士通、レノボ、HPE、デルのWindows Server 2016サーバー戦略

2017年03月08日更新

chapter 2
MAKER STRATEGY

Windows Server 2016を搭載したサーバーのビジネスチャンスはどこにあるのか。NEC、富士通、レノボ、HPE、デルの各サーバーメーカーに市場の展望を聞いた。

顔認証ソフトとADを連携

企業システムにおけるハイブリッドクラウドの状況について、NEC パートナーズプラットフォーム事業部 シニアマネージャーの渡辺一敏氏は、「従来型のオンプレミスの各サーバーが、機能や運用面からクラウドを交えた最適な形に再配置されつつあります。このような環境下では、オンプレミスとクラウドの連携を強めながら、各サーバーに必要とされる性能や機能を高めていくことが求められます」と話す。


Windows Server 2016を利用したハイブリッドクラウド型のシステムとしてまずNECが描くのは、クラウドサービスと連携してセキュリティを強化したシステムだ。「Windows Server 2016で実現するセキュリティ強化は、大きな訴求ポイントになります」とNEC パートナーズプラットフォーム事業部 主任の濱岡真由氏は指摘する。


特にNECの強みを生かす利用方法としては、同社が提供する顔認証セキュリティソフト「NeoFace Monitor」を利用したActive Directoryドメインへのログオン連携がある。NeoFace Monitorを使えば、顔認証によるPCのログオンが可能になり、さらにNeoFace Monitorの認証サーバーとActive Directory、Azure ADを連携させることで、Office 365などのクラウドサービスとのシングルサインオン環境までが実現する。


「NeoFace MonitorとActive Directoryの連携は、情報セキュリティ強靱化対策が進められている自治体を中心に多くの導入例があります」と渡辺氏は話す。もちろんセキュリティの強化は一般企業にとっても大きな課題であり、多くのビジネスチャンスが期待できる。


IoTの観点では、ネットワークカメラと顔認証ソフトを連携させた顔認証システムや、映像の管理で防犯・安全対策を実現するビデオマネジメントシステムについても積極的に推進していくという。いずれもWindows OSベースのシステムであり、Windows Server 2016にも順次対応させていく予定だ。「これらの商材をもとに、販売パートナーとIoTサービスを共創していきます」(濱岡氏)


NECでは、販売パートナー向けのハンズオンセミナー「Windows Server 2016 サーバ販売師養成塾」も全国で展開している。Windows Server 2016の強化ポイントや提案ストーリー、ライセンスの変更点などを学べる集中講座で、Windows Server 2008 R2からWindows Server 2016へのAD移行のポイントなどを実機を利用して説明する。非常に好評を博しているセミナーだ。


また、サーバーの提案時には、SSDの採用提案も効果的だと渡辺氏は話す。「重くなってしまっているオンプレミスサーバーでの処理性能がSSDの採用で大幅に向上します」。NECでは同社サーバーの増設用SSDのキャンペーンも行っているが、売上がかなり伸びているという。

セキュリティと運用性に期待

「ハイブリッドクラウド化が進展する中、サーバーOSや構築されるシステムには高いセキュリティと運用性が求められます」??。こう見解を語るのは、富士通 プラットフォーム技術本部 クラウドインフラセンター センター長の押川智浩氏だ。


そもそも、クラウドファーストの時代においてあえてオンプレミスで稼働させるシステムには、外に出せないデータなどが扱われているケースが高く、そうしたデータは狙われやすい。また、セキュリティ対策と同様に、多くの企業において、システムの運用管理コストの削減が課題となっている。そうした中で、「セキュリティと運用性の面で、Windows Server 2016を評価しています。例えば、Windows Server 2016ではハイブリッドクラウドインフラとして運用の自動化が行いやすくなっています」と押川氏は話す。


富士通ではハイブリッドクラウドのシナリオを作成して顧客への提案に活用している。オンプレミスのデータをクラウドにバックアップするシナリオからはじまり、オンプレミスとクラウドでワークロードを自動的に負荷分散させたりするようなシナリオなどいくつものパターンが用意されているが、現状でユーザーが採用するのは、クラウドを活用したバックアップやディザスタリカバリー体制の構築が多いという。


従来、富士通はクラウドへのバックアップやディザスタリカバリーなどの実現にはサーバーに加えてバックアップ・リカバリーソフトも別途用意して提案していた。しかし、Windows Server 2016ならばOSの機能だけでそれらの環境が整いそうだと押川氏は期待する。富士通では、Azureをベースに、導入、アプリ移行、構築、運用、サポートまでの周辺サービスやAzureアプリケーションの運用、監視機能を充実させたパブリッククラウドサービス「FUJITSU Cloud Service A5 for Microsoft Azure」を提供しているが、同サービスを活用したハイブリッドクラウド提案も加速しそうだ。


「Windows Server 2016の登場に合わせて、販売パートナー向けにハイブリッドクラウド提案を後押しする販売ガイドを作成しています。システムのリファレンスモデルも提供しているので、多くの販売パートナーに活用していただきたいですね」(押川氏)

ワークスタイル変革の切り口で提案

「タブレットやPCなどのデバイスとサーバーを組み合わせた提案がワンストップでできる。それがレノボ・ジャパンの強みです」??。このようにアピールするレノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 ビジネス開発本部 本部長の星 雅貴氏は、ワークスタイル変革を切り口にしたWindows Server 2016の提案シナリオを説明する。


その軸になるのはActive Directory連携だ。指紋センサーを搭載した同社製PCを活用し、Windows 10のWindows HelloとWindows Server 2016のActive Directoryを連携させてパスワードレスの生体認証の仕組みを構築して、オンプレミスのシステムやOffice 365などのクラウドサービスへのシングルサインオンを実現する。いつでもどこからでも安全なシステム活用を可能にする環境でワークスタイルの変革を後押ししようというものだ。


合わせて同社ではVDIとWindows 10 Mobileを利用したワークスタイルも提案している。Windows 10 Mobileに搭載されたContinuumという機能を活用してスマートフォンをディスプレイに接続すると、スマートフォンをPCのように使えるようになるが、そのスマートフォンでVDIにアクセスできれば、いつでもオフィス環境で業務をするように作業が可能になる。もちろんこのときも、Windows Server 2016のActive Directory、Azure AD連携を活用すれば、クラウドサービスへのセキュアなシングルサインオンが実現する。


レノボ・ジャパンでは、Windows Server 2016の記憶域スペースダイレクトにも注目している。「OSレベルでハイパーコンバージドインフラの構築が可能な記憶域スペースダイレクトの機能と当社のサーバーを組み合わせれば、お客さまの要件に応じた柔軟なハイパーコンバージドインフラの提案が可能になります」とレノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 DCG製品統括本部 ソリューション推進部の坂巻宏亮氏は期待する。


レノボ・ジャパンは、同社のSystem xサーバーとWindows Server 2016の記憶域スペースダイレクトの組み合わせで、NVMeフラッシュをキャッシュにして高速アクセスを実現する「パフォーマンス重視構成」、性能と容量のバランスをとった「バランス構成」、GB単価に優れたバックアップ、アーカイブ用途としての「キャパシティ重視構成」の3パターンを用意して、顧客ニーズに応えていくという。

NVDIMM-Nネイティブ対応で高速化

日本ヒューレット・パッカード(HPE)がWindows Server 2016で注目しているのは、電源をオフにしてもデータが消失しない不揮発性メモリーである「NVDIMM-N」をネイティブサポートしたことだ。


NVDIMMは、揮発性のメモリーであるDRAMと、SSDなどで利用される不揮発性のNANDフラッシュメモリーの中間に位置し、メモリーならではの高速性と従来型ストレージの不揮発性を併せ持つテクノロジー。NVDIMMには、NANDをDRAMのバックアップ用として用いる「NVDIMM-N」、システムから直接NANDにアクセスできる「NVDIMM-F」、NVDIMM-NとNVDIMM-Fのハイブリッドである「NVDIMM-P」の3種類が存在する。


Windows Server 2016でネイティブサポート(従来までは別途ドライバーなどが必要だった)されたNVDIMM-Nは、DRAMと不揮発性メモリーを同じ記憶容量で混在させたDIMM(メモリー基板)であり、通常はDRAM DIMMとして使用され、電源が遮断されたときのバックアップメモリーとして不揮発性メモリーが使われる。このNVDIMM-Nをサーバーのメモリースロットに搭載すると、従来のSSDやNVMeと比較して10?100倍近いI/O性能を発揮するという。「NVDIMM-Nの利用によって処理性能が倍増するなど、異次元のデータベースサーバーを実現できます。当社では、このNVDIMM-Nを製品化した『HPE 8GB NVDIMM-Nメモリ』を提供しており、HPE ProLiant Generation 9 サーバーで利用可能です」(HPE プリセールス統括本部 データセンター・ハイブリッドクラウド技術本部 凌 宇氏)


また、新しい市場を開拓できる製品として、非常にコンパクトで静音性の高いサーバー「HPE ProLiant Thin Micro TM200」も提供する予定だ。片手で持てるサイズで、スタンドオプションや壁掛けオプションを利用して縦置きや壁掛けも可能。小規模オフィスに加えて、店舗設置、デジタルサイネージ用途、クラウドゲートウェイ、ポータブルサーバー、UTM、監視カメラ用ストレージ、公共施設端末などの利用が想定されている。
「ウルトラコンパクトサーバーと名付けたTM200は、あらゆる場所に設置が可能な新時代のITソリューションプラットフォームです。クラウドにつながるエッジサーバーとして利用するなど、Windows Server 2016との組み合わせで、さまざまなシーンでクラウドと連携させたインフラの構築が実現します。これまで入り込めていなかった顧客層に、クラウドをキーワードにオンプレミスのサーバー製品の提案が可能になる製品なのです」(凌氏)

HPE 8GB NVDIMM-N メモリ
メモリースロットに搭載して利用する不揮発性のメモリー。従来のSSDと比べて10〜100倍のI/O性能を有する。
HPE ProLiant Thin Micro TM200
片手で持てるコンパクトサイズのサーバー。HPEは、ハイブリッドITの導入を促進する新時代のサーバーと謳う。

包括的なセキュリティ対策

左上から [NEC]渡辺氏、濱岡氏 [富士通]押川氏 [レノボ・ジャパン]星氏
左下から [レノボ・ジャパン]坂巻氏 [HPE]凌氏 [デル]守山氏

EMCと統合したデルは総合力が武器となるが、Windows Server 2016の商機においては、フルラインアップで提供できるセキュリティソリューションの提案が鍵を握るとデル APJエンタープライズ製品マーケティング ブランド・マネージャの守山茂邦氏は話す。


その提案内容は、端末の管理から業務システム、ネットワークのセキュリティまでが網羅されている。端末の管理はWindows 10の自動アップデートと標的型攻撃・マルウェア対策として機能する「Dell Data Protection | Threat Defense」の併用、業務システムにおいては、セキュリティの強化が実施されたWindows Server 2016の活用や、Active Directoryを利用したアクセス制限、Azureと連携したバックアップ、そして、認証基盤を強化できる「RSA SecurID Appliance」や、不正侵入を防止できる「SecureWorks iSensor」でネットワークを守る。


「これらのソリューションの複合的な活用によって、サイバー攻撃による被害や不正な情報持ち出しなどを防げるのです」(守山氏)


デルはハイパーコンバージド製品においても幅広いラインアップを用意している点が特長だが、Windows Server 2016がOSの機能でハイパーコンバージドインフラの構築が可能になったことについては、「VMwareを利用するのであれば『VxRail』、Hyper-Vの環境で一から構築したいのであればWindows Server 2016搭載サーバー、Hyper-Vの環境でも手軽に導入したいのであればニュータニックスのソフトを採用した『Dell XCシリーズ』といった、ユーザーニーズに応じた提案がさらにしやすくなりました」と守山氏は評価する。

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